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同級生

 おれ、日野陽助は比渡ヒトリの犬になった。




 首輪を付けてお散歩お散歩、マーキングマーキング……なんてしていないから安心してくれ。




 ただ、物申したい。




「日野君、パン買ってきて」




 おれをパシリに使うな。おれを扱う時はもっと優しく扱ってくれ。そうしなきゃ嫌いになっちゃうよ? いいの? 飼い犬に嫌われたら嫌でしょ? ワンワン! (好きです)




「あ、カレーパンとたまごサンドとあんぱんとクリームパンを願いします」




 と、おれは言われた通り購買でパンを買ったわけだ。さすが犬、お使いも出来て偉い。




「あれ? 日野じゃん。ちーっす」




 おれに話しかけてきた派手ギャルをおれは知っている。




「お、おう。暗子か」




「なになに、ひとりでパン四つも食うの?」




 こいつの名前は、影乃暗子かげのあんこ。名前に似つかわしくない目立った印象の彼女はおれの中学の時の同級生だ。




「いいや、流石にひとりでは食わん」




「え、じゃあ誰と?」




 こいつおれが中学でボッチだったのを知っているからって、高校の今もボッチ扱いか? 酷い奴だ、まあボッチなんだけどね。




「友達だ」




「へー、その友達とやらにパシられてんのな。それって友達じゃなくね?」




 痛い痛い、痛いところ突かないでくれ。確かに友達じゃないね、おれ犬扱いされてるから。てか犬になったの自分からなんですけどね。




「ねぇ、ついて行っていい? その友達とやらの顔を見てみたいんだけど」




「はぁ? 嫌だよ」




 まずいまずいって、流石に人前では犬扱いされていないけど、友達ってのが比渡ヒトリだとばれたくない。友達じゃないけど。




「いいじゃん、どうせその友達って男なんだろ? おまえのこと友達とも思っていないクズなんだから助けてやるよ」




 ちなみにこの暗子は中学の時に柔道で全国取っている化け物だ。




「いや、男友達とは限らないだろ」




「じゃあ女なわけ? 昔勘違いで隣の席の女に告白して派手に振られたあんたに女友達なんて出来ないでしょ」




 あらやだ、この女嫌い! 昔のことは昔のこと、それにそんな理由で女友達出来ないなんて思われてるのは心外だ。嫌い嫌い大嫌い!




「女だったら何か? 気になるのか?」




「いいや、別に」




「なんだそれ、てか友達待たせるの悪いからおれ行くわ」




「あ、日野」




「何?」




「今度なんだけど……」




 と、暗子が何か言おうとした時、




「暗子、ごはんいこ!」「誰その人?」




「ああ、中学の同級生。久しぶりだったから話しかけただけ、友達でも何でもないから」




 暗子の友達らしき人物が登場してきた。てかさ、友達でも何でもないって普通おれの前で言う? 酷いよ、中学の同級生だよ? 友達でいいじゃん。いいや、おれに友達なんていない。




「じゃあおれは行くわ」




「あ、うん、じゃあ」




 おれは屋上へ、暗子は友達と教室へ、それぞれ違う派閥へと向かうのだった。

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