「呪いの絵の具」〜惨〜
■まえがき
これも前回からの続きの話。
商店街のイベントで描いて貰った絵画と同じ姿になってしまった栗子とお母さん。
二人が大変なった所にシズが助けに来たものの、お母さんとシズの小ボケに翻弄されてた栗子に、遂に呪いを解こうとシズが動き出す。
■本文
シズ、絵の匂い嗅いで首傾げとるけど、素人に絵の具の違いなんか判るんか?
S「ふむぅ……」
探偵気取りか思たけどまぁ、絵を確認するなら虫眼鏡も頷けるわな。
ただその虫眼鏡、どっから出してん!
アンタのキャスケットは徹子の頭と同じか?
ほんでアンタさっきから何処見てんのよ?
胸元そんな凝視してからに……
『そこに何か疑うポイントあるかあ?』
S「無いなあ! 疑う余地も揉むもんも何も、色々無いわ!」
・・・色々て何よ?
『シバクで、ほんま』
S「ええのんか? 今私帰ったら悲惨やで。このバンドエイドも絵の方張っとるから絵の具と一緒にスグ剥がれる思うで」
母「そやったんか! ほなコレでガッチャンコした方がええかなぁ?」
・・・・・ん?
『ちょ、お母さん何でホッチキス持っとるねん。そんなんしたら私の腕に穴開いてまうやん! ヤメてよ!』
S「私帰った方がええんかなあ? 栗子のお母さんこんな親身に心配しとるし」
この女ほんま・・・勝てる気せえへん。
『すみません・居て下さい・お願いします……』
私、何でこがいシズに頭下げなアカンのやろか。
母「そやで栗子、シズちゃん心配して来てくれてんのやから」
S「私も何とか出来るよう頑張りますね」
母「優しいなぁシズちゃん、ほんまええ友達持って、良かったな栗子」
いやお母さん、色々可怪しいで。
S「ほいで先ずは栗子の身体何とかしいひんとやろ思てな、写真見せて描いて貰て来てん」
『ほなオッサン居ったんやん! アンタ描いて貰て来てるやん! さっきの話何処行ってん?』
ほんでその絵、何で顔以外を別の紙で隠してんの?
めっちゃ怪しいねんけど……
そもそれ何時の何した時の写真見したんよ?
これ何かあるなあ絶対。
S「栗子、この似顔絵を観て自分に似てる思うか?」
『そらまあ写真見て書いただけあって似てる思うけど』
S「似てるか似てないかハッキリ言うてや」
『そらまあ、似とるよ』
・・・ん?
何やろ、この違和感?
視界めっちゃ広なった気がするねんけど……
え、何やコレ?
いや、ほぼほぼ360度丸見えなっとるやん。
いや、何コレ?
何やそのシズのしたり顔。
私横向いてんのに正面視えるやん。
ワケワカラン……
S「成功やな! 先ずは乗り換え出来たで」
『何がよ? んん、乗り換え?』
母「はああぁん、便利そうなったな栗子。お母さんもそれ欲しいわ」
『いや、どういう事?』
S「どうもこうもないで栗子、今あんた修羅の国で仏教警護の正義に燃える戦闘神なっとんのやで! もっと誇りい!」
・・・修羅の国で仏教敬語の正義に燃える千頭身?
何?
て、何やこの手?
手、手、手手手?
1・2・3・4・5・何で手六本もあんねん?
まさかこれ!?
顔が三つのアレか?
『シズ、その絵に描いてある身体見せてみっ!』
S「あ、……」
何やコレ、封筒みたいなんに穴開いて絵入れてあるだけか、中の絵抜きゃええだけやな。
・・・んぐっ!
『これ、阿修羅やん……』
母「その手、片付けすんの楽そうやな!」
S「これやったら腕何個かもげても問題無いやろ」
『いや、腕治すのに何で三面六臂までする必要あるねん。てかコレ男の人の身体と違うか? 今どの手動かしとるんか自分でも判れへんしやな……』
いや、何を今更スマホで確認しとんの?
S「仏教の警護する人やし男も女も無いん違うかぁ、知らんけど」
何で調べといて歯切れ悪なっとるねん。
アウトやろ? 明らかに胸ぺっ・・・胸板、厚いな。
何や負けた気にさせよる、さすがは阿修羅やな……
アカン、この人等絶対私の身体で楽しみ出しとる。
お母さんなんか自分も大変な事なっとるの忘れとるな。
とはいえ、絵の乗り換え出来る言うんはほんまなんやなぁ……
あ、用意周到なシズや、これひょっとしたらシズの持っとる肩掛けバッグの中に、まだ他の絵もあるん違うか?
そや、折角腕六本もあんのやから、シズ捉えて中身確認したらええのんやん!
S「栗子、下手な事しよったらこの絵破くで」
・・・怖っ!!
呪いよりアンタのが怖いわ……
私の心丸見えなっとるやん。
シズ、これあんたの頭も可怪しいで!
軽くエスパーやん。
――PINNPOOONN♪――
『え、今度は誰?』
・・・まだまだ続くっ!!!!