「草生えた始末」
そうだ! WEBカメラ仕掛けたんだった。
スマホスマホ……
え、嘘でしょ?
この前買った観葉植物の葉っぱで何も観えん……
てか、こんな育っとったか?
先週の休みにシズの買い物に付き合わされて……
あ、そや。
これ、あの怪しいオカルトショップで買うたんやった。
ポップに【缶詰め開けるだけで簡単にスクスク育ちます】て書いてあったけど……
怪しいからやめよう思てたら値札見て、150円? 安っ!! て思わず買うてもうたんよな。
・・・ん?
何や、よう観えんけど草の蔦が動いて……
わからん!
カメラか草の位置変えなアカンわコレ、面倒臭っ!!
ちっ、しゃーない。
『ただいまー』
「おかえり栗子、相変わらずええ鼻しとるな!」
『な〜ん?』
「葛餅あるから早よ着替えといで」
『いぇええ!』
とりあえず鞄置きに部屋行って、カメラは後でもええか……
――GATYA――
『・・・ん?』
部屋が、部屋中が・・・草!
いや、草。
違う草や、生えとるねん草。
草過ぎるやろ。
何や今時、草の形容し難いな!
いや、よう考えたら開けて二日目の夜には芽どころか草生えとったけど。
これがほんまの草・・・言うとる場合か!
どないしょ……
もうシズに頼る他ないか・・・嫌やけど。
『あ、シズ、大変やねんけど・・・
え、そや・・・何で知っとん?
アホやからて!?
何でアホやと草生える思うねん。
え、太陽あてたら危険?
うそっ? 何それ? そんなん何処に書いてあったん?
え、説明書の英語?
いや、読んでないけど……
太陽にあてると爆発的に伸びます。って、それほんまに書いてあんの?
マジか・・・そお言われたら今日は久し振りに太陽ピッカーン照っとったもんなぁ。
ほなコレどないしたらええの?
知らんて・・・何が私と一緒やねん?
クズなとこて!・・・このっ、あ、葛餅。
何でもないわっ! ほなな』
ちっ、とは言ったものの・・・これ、今夜中に何かに詰めとかんと太陽浴びたらまた増えるよな。
しゃーない、葛餅食べたらスグやるか……
一旦見なかった事にしてドアを閉めた私は、しっかりと葛餅を食べ、煎餅を食べ、茶をしばき、寛ぎ、少し眠っていたのかお母さんに
「ヨダレ垂らさん内に早よ制服着替え」
と起こされ
『へ〜い』
と応え、二階の部屋の前に置いてある自分の鞄に、何でこんな所に? と、ドアを開けて思い出した。
いや、忘れてた訳やない、寝惚けてただけ!
すぐさま鞄から体育で使たジャージに着替え、爺ちゃんが昔使てた盆栽ハサミを探し、棚を買った時のでっかいダンボール箱を用意して、伐採にかかったのが七時半過ぎ……
さすがにベッドの上まで草だらけでは寝られへんからな・・・下で寝たばっかやけど。
けどまあ所詮は草やったわ。
部屋一面の草もダンボールに押し込んだらアッサリ入って十時前にはお終い。
夕飯の前に風呂入ってんやんか!
その風呂上がりやから気付いてんけどな、草切る度出てた赤い樹液みたいなんが妙に甘い香りで、部屋中その匂いでパンパンなってもうてて、夕飯行くのに窓開けといてん。
で、食べ終わって今や。
なんやねん、この惨状。
パッと見これ、殺人現場やで。
ダンボールから滲み出た赤い液体が床一面に……
ちぃと乾いた液の色なんか、血ぃそのものやで!
どないやねん。
フローリング拭かなアカンやん。
いや、それより・・・何アレ!
網戸の向こうにめっちゃコウモリ居るねんけど……
――TEKETEKETEKETEKETEKE――
『お、タイミングええな! シズ今な・・・
え、そや・・・何で知っとん?
アホやからて!?
何でアホやとなる思うねん。
まさか、これも書いてんの?
うそん? 何それ? 蔦を切って出る液はコウモリを呼ぶので注意しましょう?
え、あれから? いや、読んでないけど……
それほんまに書いてんの?
え、この缶詰めの商品名? 知らんけど
マジか・・・バット・キャッチャー、何そのコウモリホイホイ的なネーミング。
え、今度は何に気を付けろて?
・・・アフール
・・・オランバッチ
何それ?・・・またUMAか。
言うても前のでっかい蛾は、ほんまにでっかいだけの蛾やったやん!
・・・今度はコウモリ型?
また人襲う系か?
当たりかい!
とりあえず窓閉めて血ぃ拭いとくわ。
忠告サンキューな。ほな』
先ずは窓。
ぃゃぁ凄い数のコウモリやな・・・怖っ!!
――PISYARI!――
ほんで・・・このダンボール外へ出しとかな。
まだ滲み出とるな。
垂れんように使えんくなった黒いゴミ袋下に敷いとこ……
ほい なら!
て、軽いな。草
「栗子、何それ?」
『観、危険な植物や。金曜のゴミで出すんに外へ出しとこ思て』
「何でそないけったいなもん生えとるんよ? あんたの部屋掃除してへんからやろ!」
『これとそれ関係ないわ! とりあえず出して来るでな!』
――GATYA――
ああもう、この後垂れた赤いのめっちゃ掃除するっちゅうねん !
しっかしウルサイなあ?
超音波出し過ぎやろ!
聴こえるの羽音やけど。
――VASAVASAVASA――
うわっ!?
もうこんな寄って来たん!?
――VASAA!!――
何や、でっかい羽音やな。
とりあえず箱はココに置いてと……
――TEKETEKETEKETEKETEKE――
『どしたん? 珍しいなシズ、今日は何度も何度も、天丼的なネタなら要らんでえ!』
――GUWASI!――
『痛っ! コレって』
両肩掴まれて……
『またかああああああぁぁぁ……』
――VASAA!VASAA!VASAA!――
――POTONN――
「いや、違うねん栗子! 夜その液着いた服着て外出たらアカンで! ほんまにコウモリに襲われるでな。まして切った草なんか持って外出たら何が起こるか分からんで! ちなみにな、アフールは鳴き声がア・フール! 言うて聴こえるねんて! その缶詰めと一緒でアホみたいなネーミングに笑えるやろ? けど、オランバッチ言うんは猿みたいな顔して夜中に現地の子供を拐っとるで気ぃ付けや!・・・聞いとるか? アカン、これ遅かったか? 堪忍やで!」
――TUUUTUUUTUUUTUUU――