「開花する採能」〜花〜
■まえがき
これは前回からの続きの話。
栗子はスマホでWEBカメラに映る寝とる栗子を見付け偽物を疑うも、自分と寝とる自分とどっちが本物かにまで疑問を感じるが、頭の上の扇風機みたいな花と蕾に気付き、記憶の中の違和感に自分に対する疑惑を深める最中にシズ登場! 何や自分の行動が最近可怪しい事を指摘されるも何が可怪しいんかもワカランと、とりあえずに記憶を根っこに還さなアカンからとシズと別れて風呂場へ向かったが……
■本文
・・・・・・・・・ゔゔぅん。
ふんがッ!
フウゥゥ、よう寝たわ。
『お疲れさんでした。て、何でシズここに居るねん!? 帰ったんと違うの? あ、6号のアホ! シズ追い返さんと風呂場で倒れてもうたんか!?』
アカン!
この女は絶対アカン!
シズは私の計画知ったらブチ壊しよんで!
私の部屋見ただけで気付けるとは思わんけど、この女オカルト脳やから何でかバレても可怪しないし、どうやろか……
『コレええ感じに観葉植物が生えとるやろ?』
「そらコレ寄生植物やからな。人間に寄生してたら、そら伸びるんも早いわなあ!」
バレとる!
一見しただけで全部バレとる!!
バケモンやなこの女……
S「バケモンに寄生されて歓んで身を捧げるアホにバケモン呼ばわりされる覚えは無いわアホ! アホが! アンタオカンはどないしてん?」
『お母さんやったら隣の部屋でお茶会しとるで。自分のコピー仰山作らして家事も買い物も会合も、仕事以外全部コピーに任せとるから、いつも日暮れまでお茶会開いて愚痴り合いしとるけど、覗いて見る?』
・・・・・・
S「いや、栗子のオカンやったら利用者感半端ないし、勝手に乗り越えるやろからエエわ! それよりコレ何時からこんなん生えて寄生されてたんよ?」
ん、確かクリスマスにシズと一緒に作って食べたケーキに、苗木缶から育てた苺タップリ乗せよ思て、全部収穫してからに、二週間位してバレンタイン用に残しといたら良かったかな? て思てたら、何や新しい芽が生えてきててんやんか……
コレ新しい苺を三月位にも食えるん違うかな思てたら、何や全然違うもんが生えてきてな!
先週やったか? 寝てたら突然頭に何か刺さって、何や思て起きたら枕元にデッカイ扇風機みたいな花が咲いとるやん! 何やコレ思て見てたらガブッ! と、喰われてもうてんやんかぁ……
けどコレ目が醒めたら私、学校行って勉強して帰って来た記憶あんのに疲れてもないし、睡眠学習みたいなっとるしエエかな思て、ほんで放っておいたら風呂場に私の死体が仰山在るやん!
どないしよ思てお母さんに訊いたら、お母さんもなっとって、けどお母さん死体ならんとお母さんだらけでお茶会開いて笑とるしやな。
これ迂闊に近付いたら色んなお母さんに叱られるわ思たら、これ寝といた方がエエかなて……
とかって、シズにどないして説明したらエエんかなぁ?
S「なるほどな、そういう事か」
て、何でアンタ蕾の茎握り絞めてからに、蕾から出た私の顔の口をスピーカーみたいにして何を聞いとるんよ?
めっちゃ苦しそうな顔してるやん、私の7号。
え、てかそれ人として、そんな使い方出来るもんなん?
それ、私の顔してんねんで!?
『いや、どない頭しとるねん?』
S「まあ蕾やからな、次に花なる種みたいなもんまで入っとるやろ思て、とりあえず首絞めて水が届かんようにして脅したら顔出して来るやん! ほんで苦しそうに何や言うとるで、聴いたら栗子の頭ん中の声話しとるやん! あ、コレは丁度エエわ思てな」
違う違う、私が言うとるんはシズ、アンタの頭はどない感覚をしとるねん! て言うとるんやで!
て、アカン!
これ頭の中の声聴こえとるんやったわ。
S「せやで。それよかさっきアンタ下で枯れたコピーを6号言うて、コレを7号言うたわな! 詰まる話にコレ学校6日間サボってた言う話やろ?」
当該者の私が4日かかって理解したもんを、何で初見で見破っとんねん!
ホンマこの女どない頭しとるねん!
まだ2日しか楽しめてないねんで、私かて6日遊べたら止めるけどもやなぁ。
て、コレも聴かれとるんやったわ……
S「学校行かな、もっとアホなんで」
何を諭すように言うとるねん。
分かるけど……
いや、そうかもしれん。
けどもうあと4日位は大目に見てくれてもエエやんか、オカルト脳のクセして融通聞かんよなぁ……あ!
S「今日の所はコレ勉強しといたるわ! そん代わりこれから毎日この蕾の首絞めて真実吐かすでな!」
『そんなん恐ろし過ぎるわ! 何で私の思考全部アンタに聞かせなアカンねん! アホか! そんなんされる位やったら学校行った方がエエわ!』
ん?
あれ?
私は何を今……
せや!
今日の情報を根っこに還さな。
とりあえず、風呂場に水を浴び行こか……
S「栗子? アカン、これ相当に寄生されとるな。脳の記憶採取され過ぎて既にコピーと同じ位の低能なっとる! ヴィネの言うてた通りや! まあ元からエエ頭と違うけど……」
ヴィネて、またシズ猫と話してたん? やっぱオカルト脳やわ……
S「このアホ頭の中の声聴こえとる言うとるやろ。今いてこましたろかホンマ!」
あれ?
これ身体寝た感じで階段上り下り出来るんは便利やな。
S「栗子、それ寄生植物に巻き付かれて下ろされとるだけやで! アンタ喰われもせんと廃棄されるんと違うか?」
何がよ、この根っこに触れて私も根っこの養分なって還らなアカンねん。
S「栗子は寝ても養分なられへんで! 水ん中で腐ってデロデロなったら中途半端な水死体みたいに臭なって、葬儀中に『栗子臭過ぎるわあ!』とか同級生に言われて吐かれて葬儀もめちゃめちゃなってキモいイメージ残して終わるだけやで! アンタそんなんでエエんか? 死んでバイ菌扱いされてもエエんか?」
バイ菌て、誰がバイ菌なんよ?
て、水死体?
何で私が腐ってデロデロならなアカンねん!?
『アホかっ!!』
S「おはようさん!」
『て、エラい離れてからに、シズそれ何しとん?』
S「エンガチョや。タンニンか何や知らんけど、栗子アンタ“ばば”付いたみたいなってるやん』
『いや“ばば”と違うわアホ!』
ったく、こないとろみつくまで養分出してくれたみんなに何ちゅう失礼な言い方すんねや。
けど……
うん、コレ養分やから“ばば”とは違うけど、確かに“ばば”と言われたら“ばば”にも見えるわなぁ。
まあ“ばば”の匂いはせえへんけど、山ん中で朽ちた枝木が浸る池の匂いするわ。
朽ちた枝木……
あ、私のコピーてコレ朽ちてんの!?
S「栗子アンタ、自分の死体がこない山積みなってんの見て、何とも思わんの?」
確かに。
けどまあ死体て言われたら死体やけど、コレ植物やからなぁ……
制服なんか葉っぱで出来とるし、中々に良う出来とるで!
ん?
けどコレ、よう見たらスカートの下はコピー省いとるやん!
何やコレ!
植物丸出しやないの!
エゲツな!
いや待って!
何でソコから枝出しとんねん!
アカンやん!
アカン、アカンでソコは……
『ソコは枝生えたらアカン所や!』
S「何処見て言うとんねん、アンタ変態か!」
確かに。
自分のアソコ見て唸るんは、傍目にちいっとばっかキモい感じするけど、ソコに枝……
いや、もう考えるんはよしとこ。
続く!!
注)
ココでの“ばば”はオバサンの事ではなく、ウ○コの事です。
食事してたら(ノ_"_)ノごめんなさい。





