「歴史ある土地」
そうだ! WEBカメラ仕掛けたんだった。
スマホスマホ……
え、嘘でしょ?
これ何処よ?
何や仰山人が映っとるんやけど
てか何の集まり?
刀に着物から獣の皮から裸まで……
博物館かっ!
ん、・・・これ、私の収納ボックス?
あ、私のお菓子ケースも映っとるな。
て事はこれ、私の部屋?
ほな、ここに映っとるんは……
見上げた窓にカーテン揺れるも姿無し。
『・・・マジ?』
これ、幽霊的な方々って事?
石器時代から縄文・平安・江戸・昭和の戦後まで歴代の幽霊?
ウチの家ここに住んで何年か知らんけど、代々纏わる地縛霊か何かか?
幽霊なんやろけどコレ、動画配信でしか視えへんとか・・・全然恐くねえええぇぇぇ。
けどこれって由緒ある家計やったら、先祖の顔まで見れるんと違うの?
いや、由緒あるのに地縛霊は無いか……
ちょっお母さんに聞いてみよ!
『お母さーん! この中に知り合い居らん?』
「栗子、ただいまは?」
『ただいま。いや、それよりコレ観て!』
「何?」
『これ私の部屋なんやけど』
「それが?」
『ここに映っとる人の中に知り合いとか居らんか?』
「・・・栗子、あんた何言うとるの?」
ん、お母さんには視えへんとか?
いや、動画に映っとるんやから流石にそれは無いわ!
スクショでも撮れたんやから視えとる筈……
『何が?』
「何がて、原次君も弥田彦君もりょう子さんも志野さんも多吉さんも河北伍長も、前から居るやないの! 何を今更」
『・・・ん?』
誰よそれ?
何の話?
てか、今映っとるの6人やけど・・・うん、6人分やなぁ。
今更て、そういう事?
『あの、』
「栗子、あんたまさか・・・」
何? お母さんのその真面目な顔。
『ひょっとして、お母さん前から視えてたん?』
「ええええええええええええっ!? 栗子あんた、アレだけ居って視えてへんかったんか?」
ぃゃぁ、物凄くショックなんやけど、何この悔しい感じ。
てか、さっきの名前からして幽霊と親しんどるやん!
絶対この軍服着た人が河北伍長やろ? もう覚えてもうたし!
いや、最初に言うてた原次君て、この裸の原始人と違うか?
アンチョク過ぎるやろ!
・・・あ、
『お母さん、その名前って……』
「ん? ああ、アレね。私が付けた」
『やっぱり』
それは兎も角として・・・
『これ、いつから居るの?』
「ここに来る前からって話やけど、当時の不動産屋さんが言うてたから、詳しい事は聞いてみたらええん違う!」
『聞いてみたらって、あ! この家買うのに安く済んだってそういう事? 襲われるとかは大丈夫なんコレ?』
『大丈夫やろ、今まで誰も襲われてへんのやから』
出た! お母さんの大丈夫程信用ならんものはないんやから・・・まあ大概大丈夫やったけど。
『てか、あの不動産屋も大概やないの? ここまで霊が出る物件よう売ろう思たなぁ……』
「まあな、けどそれ知って買うたウチには言う資格があれへんのよ栗子……」
いや、何を仕方無かったみたいに言うてるか知らんけど、それを視えとる人が買うかあ?
『売る方も買う方も頭可怪しいん違うの?』
「ほんなら出て行くか?」
・・・返す言葉がないけど、無いけど!!
『まあええわ、どうせ私はカメラ通さな視えへんし!』
「え、栗子あんたも視えてたやないの!」
『はあ?』
「だって栗子、犬可愛がってたやんか!」
『ああ、急に居らんくなったネクロ?』
え。嫌な予感しかせえへんのやけど、マジで?
「4年生の頃から急に居らん居らん言うてたから可怪しい思ててんよ、ここに居るのに」
『え、と・・・ここって、そこ? そこにネクロ居るの?』
「居るがなずっと、今日も朝から家の中元気に走り回って、これ河北伍長のペットらしいで」
『らしいって、誰に聞いてん?』
「ん、せやから、ほれ! そこに映っとる」
何?
スマホ指して・・・え、誰このスーツのおっさん?
毎度! みたいなポーズして。
比較的新しそうな幽霊やけど……
『まさかこれ!』
「当時の不動産屋さん」
『・・・アカンやつやん』