「映るんDEATH」ハイ
そうだ! WEBカメラ仕掛けたんだった。
スマホスマホ……
え、嘘でしょ?
いや、めっちゃ見えてるやん!
映したらアカンもんを
ぶるんぶるん揺らしてからに。
コレ公開設定しとったら垢BANなるわ!
なんやもう、デカさが腹立つな!
ちょ、何アーモンドピーク食っとんねん!!
はっは~ん、犯人コイツやな!
いや、この女何で裸なっとんねん!
カメラに近付いても気付かんと……
年上やろけどなんぼや?
よう見たらスッピンか。
眉毛も鼻毛もぼうぼうやん!
そこは処理せえよ!
てか、画質悪いんかな?
何か、何か、何やろ?
・・・女の写り、具合悪いな。
色味が何か、何やろコレ?
まあええわ! 通報したらな。
あ、コレ先にお母さんに言わんとな……
――GATYA――
また鍵開いとるし……
あれ?
キッチンか思てたのに……
トイレ…でもない。
風呂…な訳ないな、こんな時間……
て、居ったわ。
何でこの緊急事態にガッツリメイクしとるねん!
母「ああ、栗…!?」
『シィーーーッ!』
うぅわっ! 口塞いだらお母さんのめっちゃ濃い口紅手ぇに付いた!
てか、声デカイねん。
いつも通りやけど……
今は小声よ小声。
『ちょ…ぉ母さん…今な、私の部屋に侵入者が居るんよ』
母「侵入者て、お母さんもう二時間近くずっとこの家ん中居るんやから、そんなもん入りよう有り得んわ!」
『ぃゃ、玄関の鍵開いたままやったし、今私の帰りも気付いてへんかったやん!』
母「まあな!」
何で強気やねん。
て、口紅かなり手に着いたのにシッカリ塗られたままやな、どんだけ濃いねんソレ!
『ええから、コレ観て!』
あれ?
居らん?
何処行ってん?
母「何? 何コレ、何やもお キッタナイ部屋やなぁ…」
ぃゃ、それは、そう・や・ねん・けれ・ども……
『まぁ、その、そこやなくて…ングッ!?』
な、何やコレ!?
口が、口塞がれて……
「ほんなら何なん? お母さんこれから会合行かなアカンで忙しいんやから、もう面白んないネタなら後にしい!」
『ふグッ…』
母「ほら、もうそこどいて!」
違う、今誰かが私の口を塞いどるんが見えへんのか?
て、言おう思たら、目の前の化粧鏡に私以外誰も映ってへんやん!
何やコレ?
てか、めっちゃ腕掴まれて引っ張られとるやん……
何? 何なんコレ?
『ぃッ!』
腕めっちゃ痛いねんけど……
何やの、私の部屋に誘導されとるんかコレ?
アカン、そこはあの女が居……
ムリムリムリムリムリ部屋のドア開けんといて!
――GATYA――
んん、誰も居らん?
まさかコレ!?
さっきの女の仕業か……
母「栗子!」
ちょ助けて、お母さん!
『ふむむむンググッ!』
口塞がれてよう言えんっ!
母「何? よう分からんけど、帰り遅なるから腹減ったらお好みしとって! 具材混ぜといたから。そしたらお母さん会合行って来るわ! ほななっ!」
お好みて!
今そんなん言うとる場合と違うねんて!
『ふむむむンッ!』
――BATANN!――
アカン、行ってもた。
?「静かにっ! 」
え?
女の声!?
ほな、後ろに居るんは さっきの?
?「大声出したら殺されるからね、いい?」
腕掴んで口塞いで、エエも悪いも無いわこんなん!
肯くしか出来へんやん。
?「なら、大人しく言う事をき」
――GATYA――
母「栗子、お母さん鍵忘れたから後で掛けといてなー、ほな!」
――BATANN!――
・・・いや、コイツ入れる前に掛けといてよ!
?「・・・大人しく言うこ」
――GATYA――
母「栗子、帰り出汁巻き買うて来たろか?」
・・・・・・?
?「返事して! それだけだからね!」
『すぅぅう、ふ~・・・ほんま頼むわあっ!』
母「オッケ、売り切れとったらゴメンやで! ほなな! 鍵頼んだで!」
――BATANN!――
『ふ厶グッ…』
いや、もう口塞ぐん要らんやろ!
?「もう・・・戻って来ない?」
ん、・・・・・首肯き難いな。
アカン、首傾げてもた。
てかコレ私、誰と喋っとるんよ?
姿も視えんと……
あ、コレってあの……
透明人間?
いや、さっき観えてたやんなぁ。
あ、アレ映像か。
ほな、カメラ通したら観える言う事か!?
て、解った所で今どうする事も出来ひんやん……
透「大人しく言う事を聞きなさい」
それもうアンタ何回言うた?
正直聞き飽きたわ。
まあ肯くけど……
透「よし、言えた・・・違う! 今、手は離すけど言う事をちゃんと聞いてよ!」
いや、何言うても今は肯くよ。
てか、声張った所でお母さん助けてくれへんて、見てたら判るやん……
『すぅぅう、ふ~』
透「よし、先ず今出てった女、アレはあなたのお母さんではない。分かる?」
分かるわけないやん!
アンタの事すら分かってないのに、何吐かしとるねん?
頭可怪しいんか?
いやまあ可怪しいわな、身体視えてないし……
これ何て返したらええねん?
分からん言うたら殺されんのか?
かと言って、お母さんはお母さんと違いますぅ言われて、はい分かりましたぁ言うのも可怪しな話やで。
これどっち言うても叩かれるやん。
初っ端からどん詰まりやないの、私これ死ぬなあ。
アカン、透明人間に殺されるわ。
視えへんコイツやったら、完全犯罪か?
もうええ、何や腹立って来たし、要らん事バンバン言うたろかな?
『私、鼻毛出とる裸女の話なんかよう聞かんでね!』
・・・何や、無反応言うんは怖いな。
さすが透明人間や、反応も透明か。
透「あなた、私が視えるの?」
怖っ!
イキナリ話すなや、めっちゃビビるやん。
『視えんで、アンタ眉毛も鼻毛もぼうぼうやし、胸糞悪い胸しとるんもなっ!!』
・・・いや、せやから無反応はヤメえや。
透「そんな目でコッチ見ないで……」
・・・・・は?
え、これ恥じらっとるんか?
いや、それ真裸が言う台詞か?
何やコイツ。
全然恐無うなったわ。
ただの変人やん!
続くっ!