悪役令嬢はまるっとすべて弟にお任せする
普通とは違う乙女ゲームの中に転生した悪役令嬢レミベル。
情緒不安定に泣き叫んだり弟にラブコールをおくるだけの話。
聞いとくれ。うちの弟がすごいんです。
何がすごいかって説明する前に、わたくしのことを説明するわね。
わたくしの名前はレミベル・シュタン・ナフォムトローゼ。
ヴァステニア王国の公爵令嬢です。
わたくしったら昨今流行りのあれ、あれあれあれ、あれですのよあれ。
(あれあれ詐欺じゃないです)
そうだったわ、そうそう転生令嬢ってやつですの。
あれあれと何度も反復しちゃってごめんあそばせね。仕様ですのよ。
それでね、えーと、そうそう、悪役令嬢に転生していたのよ。
前世で猛ハマりしていた乙女ゲーム、『略奪の鱗粉~血の復讐は蜜より甘い~』の世界に転生したと思い出したのが十歳の誕生日のこと。
高熱にうなされてとか、階段から落ちてとか、落馬事故でとか、何事かの大きなショックにより前世のことを劇的に思い出したのではなく、かなりレアな思い出し方で転生の事実を知りました。
なんと、「うちの弟すげーやっべこいつチートじゃん!」って口に出してしまった時に、前世の記憶が重なったのです。
ピンチでも何でもないですわね。
その時は公爵家の庭で、授業の一環である魔法の模擬戦を見せてもらっておりました。
模擬戦闘なのに素晴らしい出来でして、うちの弟がすごい!って大はしゃぎ。
チートという言葉が思い浮かんで口に出した途端に頭の中を駆け巡る前世のわたくし……。
喪女時代、寂しくぼっちで手酌しながらスマホでプレイした乙女ゲームと華麗なるスチル絵たち……。
そのスチル絵の端々に、うちの弟そっくりの公爵令息を見つけたのです。
やだ弟ったら黒髪赤眼のゲロハンサムボーイ(ゲロだなんて汚い言葉を使ってごめんあそばせね)
しかし目が死んでるな。やる気ないダウナー系男子か?
弟の性格が把握できない間に、画像スチルに映像ムービーと続いて、各種エンディングまでもが一気に脳内を占拠していく。
「ぐぬぅ……頭が、頭がぁ、割れるように痛いぃ……!」
前世の記憶を取り戻そうとする弊害なのか、細かいところまでは思い出せなくて、険しい顔で雄々しき声を上げて悶絶のち失神したのは、これまた仕様だと思われます。
倒れる寸前の、「チートってなに姉上?」との弟の疑問には答えられませんでした。
すまぬー。頭が痛いのだ(若干まだ雄々しい)
それよりもさ、私の方こそ問いたいの、弟よ。
数々の魔法を使いこなすお前は、何者、だ……?
うちの弟、本当にすごいんです。
齢八歳にして上級攻撃魔法をバンバン打てるし、地水火風にちなむ基本の元素魔法は勿論のこと、無属性の魔法も多々使えるようなのです。
使える魔法を全部見せてもらったわけじゃないけれど、軽く『魔導アカデミー』卒業レベルの魔術を使いこなしているのは間違いないですわ。
この世界で『魔導アカデミー』出身者というのは皆エリートでございます。
弟はもう人生勝ち組レベルチート確定なのでございます。
まだ八歳なのに。
もう一度言う。まだ八歳である。
前世の地球は日本国の常識だと、八歳など四則演算やら算数の基本と、ローマ字もできるかな簡単な英単語も覚えていこうねーっていう程度じゃないですか。
日本では魔法が使えなかったから、それと比べるものが学力だとすると、この世界で魔法チートな弟は八歳にして大学卒業レベルというところですわね。
IQ150越え。へたしたらIQ200の大天才。
うちの弟しゅごい。しゅごすぎてわたくしの語彙力が死滅寸前。
将来は公爵家の跡取りな弟です。
わたくしとしてはNASA! NASAに入ればいいんじゃね?!(唐突)
姉らしく弟アゲしちゃう!
……て、あー駄目だ。この世界に国家航空宇宙局というものはありませんでした。残念。
この世界、宇宙だ銀河だの概念は無いのです。
神や精霊の概念はあるので、神話の創世記が世界を形作る根本であり常識のようです。
所謂ファンタジーな世界観ですね。
前世を走馬灯のように振り返りつつも、今世の十歳まで生きて来たわたくしの記憶は健在のようで、どちらの記憶もわたくしのものだと納得できるまで、目覚めることはありませんでした。
目が覚めたのは倒れてから約三日後のことだったそうです。
あの膨大な記憶をたった数日でよく精査・統合・処理しましたと、自分で自分を褒めてみます。誰も褒めてくれそうにないので。
起きてからのわたしくし。
即行で生き残り対策を練りました。
普通の乙女ゲームでも悪役令嬢なんて立場すこぶる危ういのに、よりにもよって『略奪の鱗粉~血の復讐は蜜より甘い~』だとは……。
このゲーム、「これは本当に乙女ゲームか?!」と言わしめた幻の錯乱ゲームなんですよね……。
先ずは思い出せるだけ全部のストーリーをまとめることに。
羊皮紙には勿体無いのでクズ紙、再生紙、雑紙の裏にですね、羽ペンにインキ浸してガリガリガリと書き連ねていきます。
動物性の紙はお高いのですよ。植物性の紙ならリサイクルも出来て安価で手に入ります。
前世の現代日本ほど高品質ではありませんけれどパピルスほど薄くもありません。
それなりに羽ペンの先も絡まらず、適度な文字が書ける用紙です。
書けば書くほど、わたくしレミベルが、これからどうなるか自覚してきて肝が冷えます。
悪役令嬢にありがちなヒロインいじめに始まり、婚約者からの冷遇、卒業パーティーでの婚約破棄、断罪、火刑……。
ひいいいいいいやああ! いやですわっ!
未だ婚約していないけれど、前世で乙女ゲームをプレイしていて大のお気に入りだった王子ルート、その王子様ことサミュニル・マキアス・ビローデ・ヴァステニア様に嫌われた挙句に捨てられて王宮前広場で火あぶりですって?!
激し過ぎるでしょ中世魔女裁判かよ!!!!
せめて所払い・島流し・修道院送りが妥当じゃなくて?!
前世でゲームをしていた時は違和感なくプレイしたはずなのに、当事者になってしまった今では「わたくしそこまでの罪を犯してまして?!」と怒りが込み上げてくる。
たかがいじめとは申しません。ですがレミベル、身分をわきまえない下級貴族に婚約者を寝取られて、黙っているほど主体性のない女でもありません。
抗議して当たり前じゃありませんこと?
むしろ高位貴族として傲慢に振る舞ってヒロインを陥れても良いくらいなのに、小さな意地悪で仕返しするだけで、相手を怪我させたり苦しめたなんて非道なことだってしておりません。ええ決して。
それなのに最期は火あぶり……。
レミベルに同情する。
おっと今は、わたくしがレミベルだった。
これは未来。わたくしの未来に起こること。
羽ペンを握る手が小刻みに震える。
心臓が縮み上がって心が痛い。
涙まで出て来て、ぼやける視界のまま、わたくしは思い出せるだけ思い出せる分岐点と各攻略対象者のデータを書き続けたのでした。ぐすん。
*
「そうやって書き上げた集大成がこちらですの。お読みになって」
どさっと紙の束を弟に押し付けるわたくし。
中身は泣きながら書いた乙女ゲーム、『略奪の鱗粉~血の復讐は蜜より甘い~』の各種攻略ルートです。
ところどころ涙を零した跡で染みが付いているのはご愛敬。
弟は姉の言うまま、濡れてよれよれの紙束を持って一枚一枚めくっていく。
目線が動いているからきちんと読んでますわね。いい子ですわ。聞き慣れない単語も難解な言い回しもあるはずなのに、十歳になった弟はすらすら読んでいく。
ちなみに、わたくしは12歳。
ひゃだやっぱうちの弟ったら天才!
実は弟には、わたくしが転生者であること、乙女ゲームの知識を持っていることは話してあります。
だって一人でこの辛い胸の内を抱えていることが出来ませんでしたもの。
わたくし前世でも今世でも真っ正直者で、ストレスを溜める前に全部話してしまうほど口の軽い人間ですのよ。
前世ではこの性格のおかげで友達いなかったけどね。独り寂しく喪女でしたよ。酒とグルメが友達さ。
「姉上、読んだよ」
「ありがとう弟! で、どうだった?」
「箇条書きな上に壮大なストーリーが広がっていた所為でコンセプトがいまいち把握できなかった。読者をおいてきぼりにする話の進め方はどうかと思う」
「あ、いや、書評じゃなくて中身について」
「よくまとまってたと思う。ルート選択に矢印が目立っていたけど、これも個性だね。これだけ書くのは大変だったでしょ。ただ難点は、紙がめくりにくいことかな」
あー、涙に濡れて紙くっついたところもあったから、めくり難かったでしょうね。て、そうじゃなくて。
「内容把握したかってことよ? 前に話したでしょう、わたくしの前世のこと」
「うん、理解してるよ。眉唾物だった姉上の話が、このレポートで現実味を帯びて来たね」
ふぁー! やっぱうちの弟は頭がいい理解が早い!
わたくしの話、実は信じていなかったとか初耳だけど、それは措いて、今は信じてくれるってことよね。
泣きながら書いて正解だったわ攻略まとめ。
感動のハグ&チューでもしてあげようと近づいたのに、弟はそれをひらりとかわす。
──くっ、最近の弟はこうなのよ。姉の愛情表現を受け取ってくれないの。
これはあれだわ思春期……青春、異性との触れ合い……はっ、彼女……?!
そうよ。きっとそうに違いないわ! わたくしが攻略なんか纏めている間に、弟はしれっと彼女つくってイチャイチャしていたに違いないわ! なんてことなのー!?
「うわーん弟が冷たいいいい」
「急に泣き出してどうした姉上。そんなことよりこれ、姉上の言う乙女ゲームの内容なんだけどさ」
「そんなこと?! 姉との触れ合いはそんなことなの?!」
「なんだろ時々姉上がめんどくさい」
うえーん。弟にめんどくさい言われた。びえーん。
心でも泣きながら、弟がレポート用紙をめくって話をしてくれるのを聞く。一応、聞く耳は持っていますのよ咽び泣いていても。
「ゲームとやらのストーリー上、姉上の最期は全て火刑で終わる」
「ひいいやああ魔女みたいな最期いやああああ」
「この未来を変えたくて、僕にこうやってレポートまで作成して相談している」
「わたくしの弟は天才ですもの。か弱い姉を助けてちょうだい!」
「レポートによると僕も攻略対象者」
「そう、そう、そうなのですわ。目が死んでるダウナー系黒髪赤眼わたくし好みの美形! それが実の弟だなんて最の高ですわ! お姉さん超かわいがっちゃう!」
と、ここで再度ぎゅーとハグに挑戦したところ失敗。弟の手がわたくしの顔面を掴んだ。弟の腕の長さ分の距離が空いている。この短くも長い距離が心の距離なのでしょうか姉さん悲しいわ。行き場のなくなった手がわきわきしちゃう。
攻略対象者とはいえ、十歳の今の弟は大変かわゆい美少年なので触れ合いたいのに拒絶される。
イエスショタノータッチだとでもいうのか……わたくし姉ぞ? 姉なんぞ?
「そして姉上は悪役令嬢。ヒロインをいじめて魔導アカデミーから追い出そうとする役。この認識で合ってる?」
若干冷えた目で姉を見ないで弟。暴走して悪かったわ。反省しております。ここからは真面目にやりましょう。
「ええ、合っていてよ。わたくし意地悪な令嬢なの。ヒロインをいじめるから悪役なのだけど、ただ、この乙女ゲーム『略奪の鱗粉~血の復讐は蜜より甘い~』は正統派とは違っていてね、普通だと正義のヒロインをいじめる悪の令嬢っていう立ち位置だけど、このゲームだと惨劇を始めるヒロインを阻止する正義の令嬢がわたくしなの」
そうなのです。ここが幻の錯乱ゲーム呼ばれる所以でして、ヒロインが悪の親玉で、悪役令嬢が魔導アカデミーを守る正義の味方ですのよ。
ヒロインは復讐の手段として攻略対象者たちを堕としていき、最終的に国を傾け、悪役令嬢を火刑に処すのだ。
『略奪の鱗粉~血の復讐は蜜より甘い~』の題名通り、血の復讐を果たすことがヒロインの目標で行動理念。
攻略対象者には其々に婚約者や恋人など大事な女性がいるのだが、その恋敵たちをヒロインは次々と手にかける。手段は暴力沙汰が基本で毒薬・洗脳・精神崩壊させるなど非人道的なものばかり。
行動すればするほどヒロインの狂気の沙汰が酷くなり、復讐を成して攻略対象者とヴァステニア王国を乗っ盗ればハッピーエンド、正気に戻って復讐をやめれば爆死するバッドエンドだ。
狂ってるね。狂ってますとも。
でも、その狂い具合を美麗なスチル絵で見せられると、「ワンチャン復讐する? はい・いいえ」で「はい」を押すよね。押しちゃうよね。
美麗絵の収集のため全攻略したのがわたくしです。
レポートが充足したから良しとして欲しい。
「ヒロインはオリガナ・エスチェ・スラヴォノ。亡国の皇女、か……」
弟が人物設定のページを開いて神妙な顔つきになる。キリッとした美少年顔は眼福ですわね。
ヒロインは皇女。側妃の子で、皇家からは見向きもされていない娘、という設定だったはず。
不遇の姫君だったけれど、ヴァステニア王国と戦争をしたことで皇家が滅んでからは表舞台に。生き残った臣下たちに担ぎ上げられ復讐の機会を練り、皇女自ら敵国の『魔導アカデミー』に乗り込んで、身分を偽り己を偽りながらも復讐計画を実行するというのが、本作ゲーム内容。
ヒロインが魔導アカデミーに入学するまで後5年。
魔導アカデミーには、魔法の才を発揮し入学試験に合格すれば誰でも入れる。それがたとえ滅ぼされた国のお姫様であっても。まあ、ゲーム内では身分を偽っておりましたが。
「後5年でゲームがスタートするわ。わたくし、まだ王子と婚約はしてないけど、明後日、王宮にお呼ばれしてるの。きっと婚約の話よ」
前世では一番好きだった王子ルート。もちろん弟の黒髪赤眼のうっとり美貌にも惚れ惚れしておりましたが、サミュニル王子の金髪碧眼イケメンぶりも素晴らしい破壊力だったので、生で拝めるのはやぶさかではない。
でも、婚約者にはなりたくない。ヒロインの復讐に巻き込まれたくない。
だってね、王子の略奪っぷりがね、マジ寝取りなんですよ。
このゲームR指定ついていないはずなのにね、王子ルートだけヒロインに寝取られるんですのよ。寝取りそのものの描写があるわけではなく、テキストでササッと事後をにおわせているだけ。なのだけれどね、文脈からするとこれはもう寝取りましたと、朝チュンしましたと言っているようなものなのです。
酷くない? 酷くない??
声を大にして主張したい。酷い裏切りだ。
レミベルが何したっていうのー! 婚約者を正気に戻そうと頑張っただけじゃない! 当たり前の行動よ。婚約者を誘惑されて怒らない人の方がおかしいわーい!
はい、ヒロインはギルティ。有罪です。
けれど結局断罪されるのは悪役令嬢なのよね。ヒロインはお国を背負って復讐しに来てますから、悪役令嬢の一匹や二匹、屁の河童で倒すのです。
浮かばれねえぜ悪役令嬢……!
哀しくも虚しいストーリーを、目を閉じて思い出していたら鼻ツンとした。おっとまた涙が出てきやがる。転生してから涙腺弱くなったなあ。いや前世でも喪女の己を嘆いてよく酒浸りで泣いていたかも。
再び目を開いた時、真剣な顔でレポートを睨む弟の姿が印象的でした。
うちの弟ほんと美少年。これが成長して攻略対象時の年齢になったら、「姉上、オリガナの復讐のために死んでください」とか冷徹な瞳で姉を処刑台に送る子になっちゃうわけですね。
ひいいいいいやああああああああああああ
殆どの攻略対象者は婚約者や恋人が略奪対象なのに、弟だけは、公爵子息だけは姉が略奪対象なのよおおお(号泣)
姉ってのはレミベルのことですよ。悪役令嬢は婚約者も弟も失い、不幸のズンドコドンで燃やされるのです。
美味しくBBQかよおおおお
……ぐ、現実でも堪えていた涙が溢れて来ましたわ。
鼻水も出てみっともないですわ……。
ずずっと鼻水すすっていたら、目の前にハンカチ。差し出されたハンカチから腕を辿って目線を追ったら、弟だった。
「使いなよ。姉上はほんと泣き虫なんだから」
「ぷえええん弟おぉぉぉぉ」
貸してもらったハンカチを広げて、鼻水ビーム。
「きったねえ」
「洗って返すからね。ついでに姉さんから愛の言葉を刺繡して」
「いらねえし」
「そんなこと言わずに!」
と、再度の鼻水ビームをしたら弟の顔が歪んだ。美少年は眉ひそめて姉を汚物のように見つめても美少年なのです。至福。
「それで姉上、レポートの端には『王子と婚約だめぜったい』って書いてあるけど、これもう今から対策しても遅いでしょ」
「まったくもってそうね。王家との縁談、うちの小心者なお父様が断れるわけないもの」
うちの父上、チキンなんです。
入り婿だから肩身が狭いし、お母様の尻に敷かれてコケコッコするくらいしか能がないのです。
「王子との婚約は諦めて、他で手を打っていこうよ。他の攻略対象者と接触して交流を図ろう。心の事前準備を促して、攻略対象者の婚約者や恋人にも注意喚起。ヒロインの付け入る隙が無いようにしないと」
さくさく、やることが決まっていく。
ド厚いレポートを読んだばかりなのに、もう対抗策を考えて決断できる弟しゅごい。
「ほら姉上、ボケっとしてないで、このレポート複製してくれ。関係者全員に配るんだから」
尊敬の眼差しで見詰めていただけのわたくしですが、弟から見たらただボケっとした姉だったみたい。
急いで手を挙げ返事をする。
「あ、はい。やりますやらせてください。で、弟は、どこ行くの?」
「決まってる。ヒロインに会いに行くのさ」
脇に置いてあった上着を着ながら翻し、意気揚々と出掛けて行く弟、カッコイイ! 男前! まだ十歳なのにこの溢れんばかりの気概、行動力、頭の良さ! どれも完璧でお姉さんはメロメロです!
この後の弟、行動力が半端なく、ヒロイン見つけて仲良くなって、勝手に将来の約束までしてきました。
え? 彼女? 彼女にしたの? いつの間に……!
姉さんとは触れ合ってくれないのにヒロインちゃんとはイチャコラするなんて弟……!
まあ、そちらが本気でイチャコラする頃は、わたくしも王子との仲が進展してラブラブしていたので、お相子というものですわね。
弟とヒロインは冒険者になりました。迷宮攻略が楽しいようです。
迷宮に引き籠っていたからか、必然と復讐に駆られている者たちとヒロインが接触せずに済みまして、5年経ってもオリガナちゃんは魔導アカデミーに入学して来ませんでした。
ゲームは始まることもなく、終わったのです。
それもこれも、うちの弟がスゴイからですわね。
皇国の残党たちの国盗りに関しても、弟が未然に防いでくれました。わたくしは弟の言う通りに動いただけです。
まるっとすべて弟にお任せして正解でしたわね!
うちの弟がすごくて助かりました。
【おわりんこ】
ここまでお読みいただき有難う御座いまする。
Twitterにて「20RTで、書いたことのないジャンルを書く」ってことで書いたことのない悪役令嬢ものに挑戦しました。
主人公が情緒不安定すぎ。
普通の悪役令嬢ってなんだっけね?
↓書いている時にメモったことを置いておきます↓
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『略奪の鱗粉~血の復讐は蜜より甘い~』
巷で噂の乙女ゲームとは名ばかりの錯乱ゲーム。
ホラーテイストでSAN値がゴリゴリ削られると某掲示板でも話題。
<ヴァステニア王国>
・レミベル・シュタン・ナフォムトローゼ。
悪役令嬢。公爵令嬢。弟大好き。感激屋。情緒が激しい正直者。
・弟(名前はまだない)
攻略対象者。公爵令息。ダウナー系黒髪赤眼の美形。
・サミュニル・マキアス・ビローデ・ヴァステニア
攻略対象者。王子。金髪碧眼。
ゲーム内では、ヒロインと爛れた関係に陥り国を盗られる。
本作では、のほほんとした太っちょになりレミベルだいしゅきになる。
<皇国>
・オリガナ・エスチェ・スラヴォノ
ヒロイン。皇女。銀髪紫眼。
ゲーム内では、虐げられていたのに国盗り派に持ち上げられて魔導アカデミーを大混乱に。将来有望な若者たちを次々に篭絡し、ヴァステニア王国を滅ぼす存在に。
本作では、不遇の時代に弟と出会い、一緒に冒険していく内に惚れる。おかげでアカデミーも王国も平和です。よかたよかた。