外伝5話 王子が見た夢 ~世界樹をめぐる物語の始まり~
盛大にネタバレしますので本篇前には読まないでください。
外伝5話 王子が見た夢 ~世界樹をめぐる物語の始まり~
アーサー王子がまだ11歳だったころ。
アーサーは暗殺を避け図書館に引きこもっていたのであった。
アーサー「今日も錬金術の研究でもしているか……」
ふととしたところで違和感を感じるアーサー。
誰かの声が聞こえる感覚があったのだった。
「た」
「たすけ」
「たすけて……」
アーサー「誰だ!」
とあたりを見回すものの誰もいない図書館の奥の部屋で、
1冊の本から声が聞こえたのだった。
本を取り出すと精霊について書かれていた書だったが、
しおりから声が聞こえたのだった。
そのしおりは葉っぱでできたしおりだった。
アーサー「葉っぱが助けを求めている?」
と鑑定魔法をかけると世界樹の葉をしおりにしたものだったことに気が付き絶句したアーサーだったが、
アーサー「世界樹が助けを求めている?」
と思ったが、 世界樹はシュトラール王国の先のローザリア帝国を超えた先の樹海の奥深くに存在することに気づき、
どうやって行くんだよと思ってその日は眠りについたのだった。
———— アーサーの夢
夢だと気づいていたが、 アーサーは樹海の奥深く傷ついて朽ち果てつつある世界樹の姿を見たのだった。 クリムフレスを名乗る緑の髪の乙女がアーサーに話しかけたのだった。
クリムフレス「私はあと数年で枯れ果ててしまうでしょう」
アーサー「? 枯れるって人ではないのか?」
クリムフレス「私は世界樹の精霊です。 そもそも世界樹は世界の創造神の現身で、 この木が枯れたら世界の輪廻転生や命そのものも果ててしまいます。」
アーサー「なら俺はどうすればいい?」
クリムフレス「私はあと数年で枯れ果ててしまうので新しい世界樹を作ってほしいのです。 あなたが生まれる前の組織培養の技術を求めればそれも可能でしょう」
アーサー「お前は俺が転生者であることを知っているのか?」
クリムフレス「はい。 創造神の生まれ変わりですから……
ただ、私は狂いつつあります。 一度狂ってしまえば世界から輪廻転生を司る力や命を紡ぐ力も失われてしまうでしょう」
アーサー「それは、重すぎる問題だぞ、転生者と言っても11の少年にする話か?」
クリムフレス「私の声が届いたのはあなただけだったから、
この世界を守って……」
と霞のようにクリムフレスの姿が消えて夢から覚めたのだった。
ここから世界樹をめぐる物語は始まったのだった。
第1話より前のビフォーストーリーです。