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27. 好きな食べ物

目を覚ましたロゼッタが、部屋の時計を見ると時刻は13時になっていた。


(あれから結構な時間、寝てたんだ……)


身体を起こすと、掛け布団の存在が目に入ってくる。


「あれ? いつの間に……。あの後、直ぐに寝た記憶が……」


ロゼッタは冴えていない頭で考え、マリナの存在を思い出す。


「もしかして、マリナが?」


身支度を済ませたあと、マリナを探すために廊下を歩いていると、甘い匂いがしてくる。


(良い匂い……)


その香りを辿りながら歩いているとキッチンに着いく。

ドアが少し空いていたため、そーっと扉を少し開け中を覗くと、マリナが鼻歌まじりに何かを作っていた。


甘い香りが何なのか気になったロゼッタは、一呼吸置いてから扉を開けてマリナに声をかける。


「ロビンソンさん」

「えっ!? ファ……ファームス様! ――おはようございます!」


いきなりロゼッタに声をかけられ驚いたマリナは、先ほどまで動かしいていた手が止まり頬を赤くさせながら挨拶をする。


「急にごめんなさい」

「いえ。……ところでファームス様、お疲れ取れましたか?」

「少しだけ疲れが残っていますが大丈夫です」

「そうですか。でも、本日はゆっくりしてくださいね」

「ありがとうございます。それと――もしかして布団を掛けてくださいましたか?」


その問いかけにマリナは少し躊躇したが直ぐに答える。


「はい。実は昨日、夕食の用意が出来たのでお部屋に伺った時に……。勝手にお部屋に入ってしまって申し訳ありません」

「そんな、気にしないでください。布団を掛けてくださってありがとうございます」

「いえ……。昨日の夜から何も食べておられないので、おなか空きましたよね? お昼の用意しますね」


マリナは、急いで昼食の用意に取りかかる。


「ところで、廊下まで甘い香りがしていましたが、何を作っておられるのですか?」

「アップルパイです」

「アップルパイ……?」

「はい。アスベルト様からファームス様は、昔からアップルパイがお好きだとお伺いしいていたので」

「え? アスベルトが?」


ロゼッタは、アスベルトが自分の好きなお菓子を知っていたことに驚きを隠せなかった。


「はい。後は、ファームス様のお嫌いな食べ物とかも教えて頂きました」

「っ――」


まさかアスベルトが、嫌いな食べ物も把握していた事に再び驚く。


「あの、すぐに昼食のご用意しますのでダイニングルームでお待ちください」

「ありがとうございます」


マリナから聞いた事を思い出しながら、ダイニングルームに向かう。


(まさか、アスベルトが私の好き嫌いを知っていたなんて……)



マリナはロゼッタが昼食を食べ終えたことを確認すると話をし始める。


「ところで、ファームス様。夕方くらいに、昨日エリオスさんの妹さんから借りたショールを返しに行こうと思っているので、その時次ぎ山に登る日もお伝えしますよ」

「!!」


昨日、後日考えると言って解散したことを思い出す。


(家に帰る時も疲れてて何も考えてなかったし、帰ったら帰ったで直ぐに寝ちゃって全然考えて無かった……。と言うか忘れてた)


「夕方ですわね。それまでに考えておきますので、行くときになったら教えてくださいますか?」

「分かりました」


マリナは笑顔のまま首を縦に振る。


(でも、あの山に登るのは正直きつい……。そう何回も登りたくない。けれど、エリオスの妹さんも何回か登って見つけたって言ってたし、私もそうした方が良いのかな?)


ロゼッタが難しい顔をしながら悩んでいると、それにマリナが気が付く。


「ファームス様。どうかなさいましたか?」

「え?」

「いえ、なんだか凄く深刻なお顔をされていたので……」

「……」


マリナの顔を見て、彼女がエリオスに言っていたことを思い出す。


「ロビンソンさんは昔、マリンリーズを見たことがあると仰っていましたよね?」

「はい。昔に1度だけ……」

「その時は、何回ぐらい山に登られて見つけられたのですか?」

「――実際に私が登って見つけたわけじゃないんです」


疑問に思ったロゼッタはマリナを見ながら首をかしげる。


「実は、父親が見つけて私にプレゼントしてくれたんです」

「……」

「なので、何回登って見つけたのかは分かりません……。すいません」

「いえ、気にしないでください」

「あの! ファームス様がマリンリーズを見つけるまで登るおつもりでしたら、私もご一緒にお捜ししますので!!」


マリナは笑顔を向けながら、両手を胸の前にだしてかわいらしくガッツポーズをする。

それからロゼッタは、マリナが出掛けるまで考える事にした。


その後、マリナがこれからエリオスの家に行くと伝えに来た。


「今から、エリオスさんのお宅に行くのですが、日程は決まりましたか?」

「はい。あの、急なんですが出来れば明日登りたいと思っています」

「明日ですか……」


マリナは少し考える素振りを見せたが、直ぐに自分の中で解決したのか小さく頷く。


「分かりました。では、エリオスさんにお伝えしておきますね」



その夜、マリナからエリオスの回答を聞く。


「エリオスさん、明日でも大丈夫そうです。ただ、明日雨が降るかもしれないので明日の天気次第で中止になるかもと仰っておりました」

「そう。ありがとう」


――翌日、マリナが言っていたとおり朝から雨が降っていた。


「雨――」


ダイニングルームに着くと、マリナは朝食の用意をしているところだった。


「ファームス様。おはようございます」

「おはよう」

「雨ですね」

「そうですわね」


ロゼッタは、マリナが用意してくれた朝食の前の椅子に座る。


「あの、昨日お伝えし忘れていたのですが、雨が上がった翌日は山道は危険な場合があるので、それ以降で予定を教えてほしいと言われました」

「そう。ありがとう――」


(雨、いつ止むんだろう?)


ロゼッタは出された朝食のパンを口に運ぶ。


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