25. お手伝いの人は……
翌朝、ロゼッタはこの村で1軒しかない小さな商店で昨日買った菓子パン1個とエリオスから貰ったトマト食べ食べていた。
(そう言えば、朝から来るんだっけ? お手伝いの1。ご飯食べたら出かける予定だけど、鍵とか大丈夫かな? でも、きっと大丈夫だよね)
そんな事を考えながら朝食を済ませたロゼッタは、エリオスと待ち合わせをした場所に向かおうと外に出ると、目の前には見たことの無い馬車が止まっていた。
「??」
その馬車をジーと見ていると、中からマリナが降りてきた。
(マリナ!?)
マリナは、ロゼッタの姿を見つけると駆け寄る。
「ファームス様。おはようございます! 本日から宜しくお願いいたします」
「本日から……?」
「はい。――もしかして、聞いておられませんか?」
「聞いて――」
マリナの言葉から、今日来るお手伝いがマリナだと理解する。
「もしかして、昨日用事で来られなくなった方って……」
「はい! 私のことです! 昨日はすいませんでした」
(まさか、マリナが来る予定だったなんて。でも、どうして……)
マリナがどう言う経緯で来たのか考えようとした時、話しかけられる。
「あの……。こんな早くから、どこかに出かけられるのですか?」
「えー。ちょっと村に」
「そうなんですね……。あの、私もご一緒しても宜しいでしょか?」
「え?」
ロゼッタは、マリナの申し出に目を丸くして驚くと、彼女は慌てて理由を話す。
「私もちょうど、食材を買いに村に行こうと思ってたんです!」
「そう、なんですの……構いませんわよ」
「有難うございます」
△
「ファームス様は苦手な食べ物とかございますか?」
「苦手……」
「はい。ファームス様が苦手な食べ物は作らないようにしたいので」
「そうですわね――」
ロゼッタが苦手な食べ物を思い浮かべていると、エリオスとの待ち合わせ場所、彼の実家の前に着く。
「あの、私はこちらに用が有りますので」
ロゼッタがマリナにそう伝えていた時に、畑からエリオスが現れる。
「おはようございます! お待ちしておりました」
エリオスの格好は腰に剣をぶら下げ、大きなリュックサックを背負っていた。
その姿を見たマリナがエリオスに聞く。
「あの、今からどこかに出かけられるのですか?」
「はい。マリンリーズと言う花を探しに山に向かう予定なんです」
「そうなんですね……。もしかして、ファームス様とご一緒にですか?」
マリナはエリオスの話を聞き、ロゼッタの格好を見ながら聞く。
ロゼッタの格好は、水色のロングワンピースを隠すように薄手のフード付きショールを羽織っていた。
エリオスはマリナが言った“ファームス”と言う名前を聞き、それが今から一緒に山に登る予定のロゼッタの事だと理解し、即答で「そうです」と答える。
「そうなんですね。あの、お二人で行かれるのですか?」
「はい。その予定です」
「もしよろしければ、マリンリーズを探すの手伝いましょうか?」
「!?」
マリナの発言に再びロゼッタは驚く。
そして、直ぐに横に立っている彼女の顔を見る。
「本当ですか!? そうして頂けると助かります。ちなみにですが、マリンリーズを見た事ありますか?」
「一応、昔に1度だけ見たことが有ります――」
「それは心強いです! 正直、私達はその花を見た事が無く、私の妹から特徴は聞いたのですが、やはり不安で……。でも、一度でも見たことある方がご一緒だと安心します!
宜しくお願いいたします」
「はい。あ! ファームス様は宜しいでしょうか?」
マリナはロゼッタの横顔を見ながら伺う。
(確かに、2人より3人で探した方が効率は良いし、それにマリンリーズを見たことある人物が1人でも居るって事は、安心するのは間違いない)
「はい。私は大丈夫ですが、ロビンソンさんはその格好で山に登りますの?」
マリナの格好はオレンジ色のロングワンピースのみで、山に登るには少し寒い格好をしていた。
「それでしたら、家に妹のフード付きショールが有りますので、お貸ししましょうか?」
「宜しいのですか?」
「はい。構いません。今から持ってきますので少々お待ちください」
そう言うとエリオスは畑がある家に戻って行った。
エリオスが戻ったのを確認したマリナは話始める。
「あの、こんな事を聞くのは失礼かもしれませんが、ファームス様と先ほどのお方はどう言う仲なのですか?」
マリナの質問にどう答えるべきかロゼッタは迷う。
「ある公爵の家で知り合った顔見知りの騎士ですの」
「そうなんですね」
そんな話をしていると、エリオスが白色のショールを手に持ちながら向かってくる。
「お待たせしました! では、行きましょうか」
そうして3人は山に入って行く。
△
最初らへんは人の出入りがあるらしく、道は歩きやすく、所々にベンチも用意されていた。
しかし、どんどん登って行くと、道は凸凹しており枝葉は散乱しており歩きにくくなっていた。
(きつ!)
「はぁ、はぁ」
ロゼッタは、自分以外にも疲れている人が居るんじゃないかと思い、前を歩くエリオスと後ろに居るマリナを見るが2人とも息一つ乱れていなかった。
(!? でも、確かにエリオスは訓練で体力はついてると思うけど、マリナは……)
「はぁ、はぁ」
ロゼッタがそんなことを思っていると、エリオスが振り向く。
「ここら辺で一旦休憩にしましょうか」
それを聞いたロゼッタは安心する。




