02. いよいよ、本編スタート
あれから月日が流れ、ロゼッタは16歳になった。
朝日が差し込む自室で、花びらの形をした襟の白色ブラウスに赤色の細いリボンを巻き、膝上までのスカートにフリルが着いた黒色ワンピースの制服を身にまとい、胸まである亜麻色髪の毛先をゆるふわにして原作のロゼッタと同じ髪型にしてソファーに一人で座っていた。
「今日からいよいよ本編がスタートするのね。」
(長かった、前世の記憶を思い出してから本編まで本当に長かった。記憶を思い出してから将来王妃にならないのに王妃教育を強いられ嫌々勉強もした)
ロゼッタはそう思いながら、これまでの事を思い出していた。
(それと、アスベルトとの週一回のお茶会。前世の記憶が無いときは会話がなくても良いと思っていたけれど、やっぱり会話がないのはつまらないし悲しい。だから最近は挨拶のみで会話も無く、出されるおいしいケーキとお茶を食べるだけになった。正直、毎週ケーキを食べれるのは嬉しいけれど、これと言って会話は無いになぜ彼は合う回数を減らそとしなかったのか……未だに不思議でならない)
「アスベルトはそれでつまらなくなかったのかな?」
ふと、浮かんだ言葉を口に出す。
△
「――それでは、新入生代表アスベルト・ロロ・ティエンク様」
名前を呼ばれたアスベルトは全生徒が集まる講堂の壇上に立ち、緊張で表情がこわばる事も無く、この国の王太子らしく凛とした姿勢で新入生代表の挨拶をする。
入学式も終わり自分に話しかけてくる令嬢達に「今は、急いるので」と伝え、ロゼッタは1人でアスベルトとマリナのイベントが起きると思われる中庭に向かう。
初めのマリナの選択肢で誰のルートに入るかが大体決まる。
校内の中庭はアスベルト、そしてアスベルトの幼馴染みカイル。
図書館ならロデル。
温室ならユージャ。
体育館ならハルス。
もし中庭に居なければ後の三カ所を探した後、なんとか理由を付けてマリナを中庭まで誘導しなくてはならない。
そのため、一刻も早くマリナが中庭に居るか確認するために渡り廊下を早歩きで進む。
(たしかマリナの髪色って、この世界では珍しい黒髪だったよね。だから顔を見なくても直ぐに分かるかも!)
「いた!」
黒髪を頼りに探していたロゼッタは、直ぐに1人で中庭のベンチにぽつりと座っているのがマリナだと分かった。
(良かった)
「後はタイミングが大事よね。アスベルトがいつ現れるか変わらないし……。長々とマリナをいじめるのもなー。仕方ない、アスベルトを探しに行くか」
誰にも聞こえない声で喋り終わるとロゼッタは、先ほど通ってきた渡り廊下を戻ってアスベルトを探しに向かった。
(悪役とか初めてだから、ゲームのように出来るが不安だけど頑張ろう!)
「あっ!」
そんな事を思いながら歩いていると、少し遠くからアスベルトが中庭の方に向かってきている姿を見つける。
見つけると直ぐにロゼッタは急いでマリナの元に向かった。