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19. 市街地視察2

 アスベルトに引っ張られながら着いた場所は、最近出来た市街地で一番大きいお菓子専門店だった。


 お店は露店の後ろに在る4階建の建物で、外観がピンクや水色と言った淡い色の壁に、ショートケーキやクッキーと言ったお菓子の絵が壁一面に書かれている。


 1階には手作りケーキやクッキー等のお菓子が販売されており、さらにガラス張りの厨房も備えられていて、そこで毎日パティシエがお菓子を作っている。


 2,3階にはお菓子を作る時に必要な粉やチョコレートと言った素材や、世界中から集めた秤やボール等が売られている。


 そして、4階には1階で買ったお菓子がこの階で食べられる様に机が置かれていた。


(このお店の事は、侍女から聞いてたから一度来てみたかったけど……)


 ロゼッタはチラッと、ここまで一緒に来ていたマリナを見と彼女は目を輝かせて外観を見ていた。


(マリナも一緒に行動をしてるって事は、やっぱりこれってイベントだよね? ゲームでは描かれてなかったけど……)


 そんな事を思いながら店の中に入ると、ロゼッタは圧倒される。


「うわー」


 無意識に心の声が漏れるぐらいに心が躍っていた。


 ロゼッタの目の前には棚がずらりと壁一面に置かれており、その棚にはクッキーの列、マフィンの列等種類ずつに分かれて陳列している。


(すごい……)


 陳列店を見ていると、アスベルトに話しかけられる。


「ロゼッタ。俺と彼女は2,3階を見て回るから、君は店内を好きに回っててくれ。後で探して迎えに行く」


 そう言うと、アスベルトは店内まで繋いでいた手を放し、マリナと一緒に階段を上っていく。

 その後ろ姿を見ながら“はー”っとため息をついた後、二人の邪魔をしないように一階のみを見ることにした。


(それにしても凄い数。これも、あれも美味しそう……。買って帰りたいなー)


 アスベルトが一緒に居るためロゼッタは『買うか』『買わない』かを考えたが、結局答えが決められず、一度外の空気を吸ってから改めて考えようと思い店内から出る。


 すると、前にある露店が目に入った。

 そこには、うさぎのぬいぐるみやアクセサリー等の小物がたくさん並べ置いてあっる。

 それは、ゲーム内でマリナとアスベルトがイベントで立ち寄った場所。


(あの露店って、さっき馬車で眠ってた時に夢で見た所だ……)


 ぼーっと先ほどの夢を思い出しながら露店を見つめていると、野太い男の声が横から聞こえてきた。


「おい、姉ちゃん。何ぼーとしてんだ?」


 声が聞こえてきた方を振り向くとそこには、ベリーショットとモヒカンヘアの誰も近寄りたく無いほど柄悪い、身長が2メートルぐらい有りそうながたいのいい男二人が立っていた。


(え? 何?)


「おい、やっぱかわいいな。暇なら俺たちと遊ぼうぜ」

「そうそう、俺たちちょーど今暇してんだよ」


 そう言いながらモヒカンヘアがロゼッタの右腕を力強く掴み、そのまま彼女をどこかに連れて行こうとする。


「ちょっと!」


 ロゼッタは必死にその場で踏ん張り抵抗するが、やはり男女の力の差が有り引っ張られてしまう。

 恐怖と手の痛みを感じつつロゼッタは、店外で待機してしている護衛を探す。


 護衛は店外に一人残して、後はアスベルトと一緒に店内に居る。


 ロゼッタはようやく店外に居る護衛を見つけたが、護衛は2組の女性と何かを話している最中でこちらの存在に気付いていない。


「そんなっ……」


 ロゼッタは、恐怖から護衛に向かって大声で助けを求める事が出来なかった。


(何で、こんな目に遭うの? こんな事なら、今日来なければ良かった――)


 ロゼッタは眼に浮かんできた水が溢れないように唇を強く噛みしめ耐える。


 男達は大通りを歩かずに、建物と露店の間をロゼッタを連れて歩いて行く。


 たまに露店に出ている売り子と目が合うが、誰も助けてくれる人は居なかった。


 男達は、先ほど居たお店より少し離れた昼間でも太陽の光が入らず、人も寄りつかない様な裏路地にロゼッタを連れて行こうとする。

 “このままじゃ、本当にまずい!”っと思ったロゼッタは、もう一度踏ん張るが上手く行かずズルズルと裏路地の方に連れていかれそうになる。


(もう、ダメ!)


 ロゼッタがそう思った時、ドスのきいたアスベルトの声が聞こえてくる。


「おい、そこで何をしている」


 アスベルトの言葉はロゼッタにでは無く、男達に向かって発言された物だった。


 彼は苛立ちに満ち、今にも鞘から剣を抜きそうな勢いだったが、それをお構いなしに先ほどされた質問にモヒカンヘアが答える。


「この姉ちゃんが道に迷ったって言うからよ、俺たちで案内してやってるところなんだよ」

「――貴様、そんな嘘が俺に通用するとでも?」

「嘘じゃねーよ。なー」


 とモヒカンヘアは後ろに居たベリーショットヘアに同意を求めるが、その男はアスベルトの殺気にやられ声が出なかった。


「ッチ。兄ちゃんもう良いかな? この姉ちゃん急いでるみたいでよ」


 そう言うとモヒカンヘアはロゼッタの腕をさらに強く握る。


「いっ――」


 先ほどよりも強く握られたため、その痛みにロゼッタの顔が歪む。

 その彼女の表情をアスベルトは見逃さなかった。


「おい、その手を放せ」

「は?」

「今、お前が掴んでいる腕から手を放せと言っている」


 アスベルトの口調は少し荒っぽくなっていて、目つきも鋭くなっていく。


 そして、先ほど何も言えなかったベリーショットヘアが仲間の男に荒々しく言い放つ。


「おい! こいつマジでやべーぞ。そんな女放っておいてさっさと行こうぜ」

「はぁ? 何言ってんだよ、せっかくあの女から大金が貰えるチャン――」


 男が最後まで言い切る前にアスベルトは、鞘から剣を抜きモヒカンヘアの目の前に突き出す。


「おい、先ほどお前が言った女とは誰のことだ?」

「しっ、知らねーよ。たまたま、声を掛けられただけで……」

「もう、良い。彼女から手を放して裏路地に入れ、そこで改めて聞く」

「……っく」


 モヒカンヘアは、抵抗する事も無くロゼッタから手を離し、アスベルトと一緒に裏路地に入って行く。

 そして、続けてベリーショットヘアと護衛2人が一緒にその中に入って行った。


 裏路地に入って行った男達が見えなくなると、やっと自分は解放されたんだと理解し安心感から、ロゼッタはその場にぺたりと座り込む。


「ファームス様、大丈夫ですか?」


 っと放心状態のロゼッタの耳に、少し遠くからマリナの声が耳に届く。


 マリナは心配そうな顔で、ロゼッタに向かって駆け寄ると、彼女と目線が合うようにしゃがむ。

 その後ろには、店外に居た護衛もいた。

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