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17.  また、頼まれる

 国王の頼みで行ったパーティーも無事に終わり、それから一週間がたった今日、アスベルトとの茶会の日。


 ロゼッタは侍女に何時ものテラスに案内されされると、毎回後から来るはずのアスベルトがもう席について優雅にコーヒーを飲んでいた。


(珍しい……)


 ロゼッタはアスベルトに近づき声をかける。


「アスベルト様、お待たせいたしました」

「いや、そんなに待っていない……。気にするな」


 そう言われ、ロゼッタは何時のようにテーブルを挟んで、アスベルトと向かい合うように座る。


 座ると直ぐに、侍女がケーキと紅茶をロゼッタの前に並べる。

 その、出されたケーキを幸せを感じながら黙々と食べる。


(やっぱり、王宮のケーキは本当に最高! あー。このケーキもあと何回食べれるんだろう?)


 そんな事を思いながら食べ終えると、アスベルトが話しかけてくる。


「ロゼッタ。先日のパーティーは有難う」

「いえ、気にしないでください」

「……それと、もう一つ頼みたいことがある」

「?」


 アスベルトは、少し申し訳なさそうな表情をしながら話し始める。


「来週末に市街地の視察に行くことになった。それに、同行して欲しい」

「私とですか?」

「あー。何時もはカイルと視察に行っていたが、今回はカイルの都合が合わなくて……」

「そう、だったんですか」


(うーん。市街地は私もあまり自由に行けないからこの機会に行く? 国外追放されたら、もう行けないと思うし。最後の市街地)


「分かりました。ご一緒させて頂きます」

「有難う。助かる。当日はファームス家に迎えに行く。それと当日の服装だが――」


 それからアスベルトに、当日の服装や迎えの時間等も聞いて茶会は終わった。


 ――ロゼッタは自室に戻り、市街地で今流行のお菓子が食べれたら良いなー。とソファーに座りながら考えていると、不意にあることを思い出す。


 そして、直ぐにソファーから立ち上がると、急いで机の引き出しにを開け、前世の記憶が戻ったときに書いた「エターナル・フォーチュン」のマル秘ノートを確認する。


 そこには『閉じ込めイベの後、アスルートの時市街地視察デート有り』と書かれていた。

 そして、イベントについても詳しく書いていた。


 市街地を視察する事になったアスベルト。


 少し離れた位置に居る護衛達と、市街地を歩いているとマリナの姿を見つける。

 マリナの姿を見たアスベルトから声を掛け「一緒に市街地の視察を手伝ってくれ、一人で歩いているより君と一緒の方が溶け込みやすい」と言う。


 マリナは、少し迷ったが「私で良ければ、ご一緒させて頂きます」とアスベルトに笑顔を向けながら伝える。


 それと、“このイベントで選択肢発生!”とも書いてあった。


(完全に忘れてた……)


 ロゼッタは、訓練室で閉じ込められて以降、色々と有りすぎて完全に次のアスベルトルートで起きるイベントの事を忘れていた。


(だけど、今までのマリナの選択肢を見ている限り、たとえ今回のマリナの選択が間違っていても、バットエンドという未来は無いはず! でも、どうしよう。本来ならばロゼッタは同行してなかったはず。あー、なんで安易にOK出しちゃうかな?)


 自分のとった行動に苛立ちを覚えながら、ロゼッタは当日どうするかを考え始めた。 


  △


 ――市街地視察の当日。


 ロゼッタは、前日までどう行動するかを考えていたが、有る答えにたどり着いた。


 それはマリナが現れる事によって、自分がアスベルトと一緒に視察する意味が無くなり帰される。と言う物だ。


 そのため、ロゼッタは市街地から邸宅までの馬車の運賃も用意する。


(運賃あれで、足りるかな? 本当は、国外追放された時に使うはずだったけど……。それとも、アスベルトに運賃もらった方が良いかな?)


 ロゼッタは侍女から今、町娘達に人気の白シャツに少しふんわりした膝まである花柄のワンピースに着替え、髪も侍女に三つ編みに結んでもらいそんな事を思いながら、アスベルトが来るのを玄関先で待っていた。


 すると、侍女が“アスベルト様がお着きになりました”と教えてくれる。


 それを聞いたロゼッタは、馬車が止まっている所まで歩いて向かう。


 そこには、何時もはきらびやかな服装をしているアスベルトだが、今は無地の少しだぼっとした白シャツと茶色のパンツを穿いて腰には剣をぶら下げている姿で立っていた。


「アスベルト様。本日は宜しくお願いいたします」

「……あー」


 アスベルトは口に右手を手を当て口ごもる様に言う。


「?」


 アスベルトの後ろにある馬車を見ると、市街地に溶け込めるようにキャビンは木材で出来ていた。


 先に中に入る様に言われ中に入ると、椅子は1つしかなく向かい合って座ることが出来ないようになっていた。


 ロゼッタは仕方なく奥に座る事にした。


 外壁は木材で出来ているが、中の椅子は長時間座ってもお尻が痛くならないようにふかふかの座り心地の良い椅子になっていた。


 アスベルトがロゼッタの横に座るとのを確認した御者は扉を閉めると馬車が動き出す。


(うー。やっぱり横に座るよね……)


 ロゼッタの邸宅から市街地までは約20分ぐらいで着く。

 その間何時もの様に沈黙が続く。


 ロゼッタは沈黙の中、ふかふかな椅子に揺られ眠気が襲ってくる。


 王太子であるアスベルトの前で寝てはいけない! っと頑張って起きていたが眠気には勝てず、完全に目を閉じてしまい寝たしまった。


 そして、ロゼッタは夢を見る。

 それは、アスベルトとマリナの市街地イベントだった。


 *****************


 二人は人混みが多いため、はぐれないようにお互いの手を握り市街地を歩いていた。


「みたい物とかあれば言っていくれ」

「……それでは、あそこ見てみませんか?」


 マリナは小物やぬいぐるみなどが並んでいる露店を指さすと、アスベルトは彼女を見ながら優しく微笑みうなずく。


「わー。やっぱりかわいいですね」


 マリナは、小さなウサギのぬいぐるみを手に持ちながら伝えると、その姿を優しい瞳で見つめるアスベルト。

 それを見たマリナはドッキとする。


「すまない。これをくれないか?」


 アスベルトは今、マリナが持っているぬいぐるみを指さしながら亭主に言う。


「え?」

「今日、一緒に視察してくれたお礼だ。受け取って欲しい」

「……」


 そして、受け取るか、受け取らないかのマリナの選択。


 マリンは、申し訳なさそうに「受け取る事にした」


 ****************


 イベントの夢を見ている間、ロゼッタの胸はズキッと痛んでいた。


「……きろ。起きろ。もう着いたぞ」

「うーん」


 ロゼッタは、重たい目を開けるとアスベルトの顔が近くにありドキッとする。


「!?」

「やっと起きたか。市街地に着いたぞ」

「あっ」


 そして、今自分がアスベルトの肩にもたれていることに気がつき、直ぐに体勢を真っ直ぐに戻す。


「アスベルト様。すいませんでした」

「いや、大丈夫だ。行こうか」


 ロゼッタは、王族の肩を借りて寝ていたことに申し訳無い気持ちと、寝てしまった後悔から来る感情を抱えながら馬車から降りる。

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