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10. 閉じ込められて

(ここから出たくても、この扉が開かない限り出られない……。本編だと、ロゼッタの取り巻き達がマリナについて喋っている所を、アスベルトとカイルに見られてしまい、問い詰められてしぶしぶマリナの居場所を答えたから、無事に助けることが出来た。と「必殺これでわかる「エターナル・フォーチュン」の裏側!」のQ&Aに書かれてあったけど……。今の私には取り巻きなんて居ない、アスベルト達がマリナを心配して探していても、こんな大きな学園からヒント無しで探し当てるなんてほぼ不可能……。この部屋からじゃ、声も届かないだろうし。まー。だから、ゲームのロゼッタはこの教室を選んだんだと思うんだけど。こんな事になるんだったら、他の教室にすれば良かった)


「はぁー」


 ロゼッタが深いため息をつくと、先ほどまで黙っていたマリナがやって来る。


「ファームス様、大丈夫ですか?」

「……」

「……大丈夫じゃ、無いですよね。ごめんなさい。――あの!」


 ロゼッタはマリナに力強く名前を呼ばれ、扉の方に向いていた身体をマリナの方に向ける。


「こんな時に言うのはどうかと思ったのですが、ファームス様には少しでもアスベルト様との事は安心して欲しくて……。 先ほど、ファームス様が仰っていました、私とアスベルト様が密会しているって言う噂は事実無根です!」

「え? ですが、火の無い所に煙は立たぬと言いますし」

「確かに、アスベルト様とは何度か二人で会ったことは有りますが、決して密会していた訳ではありません! 二人で会っていた理由は、訳があって言えないのですが……決してやましい関係ではありません! でも、そう見られてしまった事は事実です。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」


 マリナは深々と頭を下げて謝ると、再び顔を上げる。


「それに、アスベルト様は私の事なんて眼中に無いですよ」


 マリナは“だから安心してくだい”と言うようにロゼッタに微笑みかける。


「え? それってどう言う意味?」


 それ以上、マリナがそのことについて話すことは無かった。


(マリナは何であんな事言ったの? アスベルトがマリナのこと眼中に無いなんて……。まだ、アスベルトルートに入ってないからそう見えてるだけ? もしくは、マリナが勝手にそう思い込んでいるだけなんじゃ? 大体のヒロインは自分に寄せられている好意には疎いから)


 ロゼッタは、ふとマリナ後ろの壁の天井近くに在るこの部屋に2つしかない小窓が目に入る。

 訓練室に入るまでは、夕日空だったのが現在小窓から入ってくる光は、黄色い色の月明かりだった。


「だいぶ暗くなりましたね。電源はどこら辺にあるんでしょうか?」

「……多分、この室内には無いと思いますよ」

「え?」

「廊下で電源を見ましたから……」

「そう、なんですね」


 そう言うとマリナはロゼッタの前に体育座りをする。


 マリナが座るのと同時に、お昼を早めに食べたせいで“ぐぅ~”とロゼッタのお腹の虫がなった。


(確実にマリナに聞かれたよね? 恥ずかしい――)


 ロゼッタの顔は、みるみるうちに羞恥心から赤くなっていく。


 座ったばかりのマリナは直ぐに立ち上がり、月明かりを頼りに床に落ちていた鞄を拾い上げ

 、鞄の中をガサゴソとあさり出す。

 そして、中からリボンでラッピングされた袋を取り取り出しリボンをほどく。


「ファームス様。もしよろしければいかがですか?」


 マリナは再びロゼッタに近寄り、袋の中身を見せる。

 中にはハート型や星型等のいろんな形のクッキーが入っていた。


「これは?」

「私の手作りですが、よろしければ――」


 悪役令嬢としてヒロインのお菓子を食べるか少し迷ったが、おなかの虫が治まる気配も無く、お礼を言うとクッキーに手を伸ばした。


 その中から適当に一枚だけを貰い、先っぽだけ食べる。


「おいしい……」

「お口に合って良かったです」


 ロゼッタは無意識にそう言葉が出ていた。


 ロゼッタは手に持っていたクッキーをパクリと食べると、遠慮しながらも「もう一枚、宜しいかしら?」と聞くと、マリナは嬉しそうにこくりと頷く。


 そして、もう一枚クッキーを貰い度は一口で食べる。


「それにしても、クッキーなんて持ち歩いているんですね」

「小腹が空いた時に、何時でも食べれるようと思って、いろいろと持ち歩いてるんです。たまたま今回はクッキーだっただけですよ」

「そう」


 するとふと、ロゼッタは前世の記憶を思い出す。


(そう言えば、マリナはお菓子や料理を作るのが上手かったっけ。実際にこうして食べられる日が来るとは、ゲームをプレイしてた時は想像もした事無かったな……。今更だけど、なんで私はこの世界に転生したんだろう? しかも悪役令嬢として……)


 ロゼッタがそんな事を思っていると、マリナは彼女の前に向かい合う様に再び座る。


「そう言えば、閉じ込められてか結構時間がたちましたね」

「――そうですわね」

「見回りの方とか居ないんですかね?」

「……」


(たしかに、いくらこの部屋を貸し切ったとは言え、もうとっくに貸し切り時刻は過ぎているはずなのに、見回りが全然来ない。生徒達はもう返ったと思うからここを借りる人が居ないのは分かるけど、見回りすら来ないのちょっと不自然かも……ここから出られなかったらどうしよう……。明後日まで学園休みなのに)


「そう言えば、ファームス様とこうしてお話する事って今まで一度も無かったですね。勉強会を一緒にしていた時も、なかなかお話出来ませんでしたし」

「……確かにそうですわね。そこまで親しい関係でもありませんでしたし」

「そうですよね。でも、アスベルト様からファームス様のお話を聞いていたので、一度お話ししてみたかったんです」

「え?」

「だから、誰か来るまでお話していいですか?」


 ロゼッタはマリナが言った“アスベルトが自分についてマリナに話していた”事が気になった。


(アスベルトはマリナに一体何を言ったの?)


 するとロゼッタの背後に有る扉からガチャガチャと、ガキを掛けられたた時と同じ音が聞こえてくる。


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