第1話 青色の桜
現在受験生により投稿が雑になってますが平均1週間目指します!間隔空いたら本当に申し訳ありません!
教室にチャイムが響き渡る。
もう何度も聞いたその音と共に帰りの支度を始める。
周りのクラスメイトは他愛もない雑談をしながら帰り支度を済ませ帰ろうとしていた。
俺も同じように帰り支度を済ませ、帰路に着く。
否、いつも通っている「あの場所」に歩を進める。
学校を出て徒歩10分の所にある森、最初はかなり歩きづらかったが、今では通り慣れているため目的地までは時間はかからなかった。
「この場所だけは、いつ見ても変わらないな」
目の前の季節を無視した木。
いつ見に来ても青い桜を咲かせた木に、見とれることしか出来なかった。
この木を見つけたのは今から8年前。
俺が住んでいる島『妖幻島』で友達が教えてくれた絶景のスポット。
そして、案内された先には言葉では言い表せないほどの絶景があった。
青を基調としてその周りを無数の花が咲いているその光景に、思わず見とれてしまっていた。
それは8年前から変わらず、俺は見とれてしまっていて…
「綺麗だよね、この桜」
ふとそんな声がした方向を見ると一人の女性が木の傍に立っていた。
「他のどの桜とも違う。季節を無視して、それでいて妖艶な雰囲気を醸し出す桜。でも周りの花がその桜を引き立てている。この桜だけじゃなく全体がこの景色を作っている。だから魅了されちゃうよね」
そんな言葉を吐く目の前の女性。
まるで知ったような言葉を並べる目の前の女性に見覚えもなく…
「…まるで魅力を全て知り尽くしたみたいな言い方だね。この景色を語るには、もっとこの景色と触れ合う必要があると思うけど?」
「私はこの木を10年前から知ってるよ!」
自信ありげに胸を張ってみせる女性。目のやり場に困るので是非ともやめて頂きたい。それよりも…
「それが真実かは分からないけど、10年前に知ったとしても僕は毎日通ってる。その中で君を1度でも見た記憶はないんだけど?」
僕は8年前のこの桜を知った日から毎日この景色を見るために通っている。
その中で人1人見たことがないのだ。
この景色を教えてくれた友達も既に引っ越してしまったため、この景色を知ってるのは俺が知る限り2人なのだが…
「…まるで私がこの景色の邪魔者みたいな言い方だね?ここは君の場所でもないんだしいいじゃないか少しくらい!ささ、隣に来なよ!」
気軽なものだ。
俺自身ここを自分の場所だとは思っていない。
しかし、初対面の人間とそこまで馴れ合う意味もないのだ。
「悪いが、この美術的景色に入り込むのはごめんだ。お前に何の意図があって誘ってるかは知らないが、人がいるなら立ち去らせてもらう」
「えっ」
素っ頓狂な声を上げる女性。
呼びかけたらこっちに来るとでも思ったのだろうか。
「俺はこの景色を1人で楽しみたい。それに……」
「それに?」
食い気味で聞いてくる女性。
それに対して…
「いや、なんでもない」
「えー!教えてくれてもいいじゃない!」
「言う必要も無いしな」
実際に言う必要もないのだ。
相手には申し訳ないが、こちらにもそれなりに理由があるのだ、と自分の心に言い訳をしておく。
「なら、名前ぐらい教えてくれてもいいんじゃない?この景色を通じて知り合った仲だしさ!」
「……」
正直、この女性と関わること自体イレギュラーみたいなものだった。
だが、ここで引き下がるやつじゃないのはちょっと話してよくわかった。
だから…
「『松野啓介』だ…」
「そっか、啓介くんだね!私は碧音、『矢野碧音』、これからよろしくね!」
「聞いてないし、会うかも分からないだろ」
はぁ…疲れる女だ。
早くこの場から立ち去りたいという思いで後ろを向き歩を進めようとする。
「また近いうちに会うと思うよ!啓介!」
そう、声をかけられて……俺は思わず、笑みを零してしまった。
近いうちに会う、か。
不思議と、違和感のない言葉であった。
ふむ……矢野碧音…か、覚えておこう。
そう思い残し、その場をあとにするのだった…