【コント】ソーセージマルメターノ
登場人物
ノリオ 小学5年生の男の子。
父 土建業。42歳。
夕方。近所のスーパーの食品売り場で。
ノリオ「あっ、父ちゃん、ソーセージマルメターノあるよ。ソーセージマルメターノ買ってよ!」
父 「ダメダメ、今日はカレーなんだからカレーしか買わないよ」
ノリオ「いいじゃん、カレーに乗っけようよ!」
父 「ダメだって言ってるだろ。大体何だその、ソーセージが丸まったのって」
ノリオ「違うよ! ソーセージマルメターノだよ」
父 「だから丸まったソーセージのことだろ?」
ノリオ「そうじゃないよ、ソーセージマルメターノはソーセージマルメターノだよ」
父 「あー分かった分かった。今晩父ちゃんが作ってやるから」
ノリオ「ほんと! 絶対だよ?」
父 「そのぐらい簡単だよ。まかせとけ」
夜。自宅の食堂で。
父 「ノリオー、カレーできたぞ!」
ノリオ「はーい! 父ちゃん、ソーセージマルメターノは?」
父 「あるぞ、ほら」
ノリオ「何だよこれ! ソーセージマルメターノじゃないじゃん!」
父 「何言ってるんだ? ソーセージがちゃんと丸まってるだろ」
ノリオ「違うよ! ソーセージマルメターノはソーセージマルメターノのことなんだってば!」
父 「丸いソーセージとなにが違うんだ」
ノリオ「だから! ソーセージマルメターノは丸まったソーセージのことじゃないよ」
父 「丸くないのにソーセージマルマッタノなのか?」
ノリオ「ソーセージマルメターノだよ!」
父 「ソーセージマンハッタン?」
ノリオ「ぜんぜん遠くなったよ!」
父 「ソーセージマルタケエビス」
ノリオ「さっきより近くなったけど。そうじゃなくて!」
父 「だからソーセージが丸まってればいいんだろ?」
ノリオ「丸まったとか丸まってないとかじゃないんだってば!」
父 「じゃあ真っ直ぐなのか? 真っ直ぐだったら普通のソーセージとおんなじじゃないか」
ノリオ「だからそこが問題なんじゃないよ!」
泣き出すノリオ。
父 「泣くなよ。泣かないでちゃんと説明してみろ。おれが分かるようにだぞ」
ノリオ「ソーセージが…」
父 「うん、ソーセージ、な」
ノリオ「ぐるぐるの、うずまきになってて…」
父 「うずまき、な」
ノリオ「それを焼いて食べるんだよ」
父 「焼けばいいのか?」
ノリオ「そうじゃないよ!」
父 「じゃあ何が違うんだよ」
ノリオ「何がって…ああもう! 大体これ、魚肉ソーセージじゃないか! 最初から間違ってるよ!」
父 「ああ、分かった分かった。だったら食わなくていいよ。食わねーんだろ?」
ノリオ「食うよ!」
父 「食うんじゃねーか」
(おわり)