70.二対一と壁
白髪碧眼の双子、その整った容姿から何も知らない人々は彼女らを見て人形みたいだと言うだろう。実際に裏の社会でも人形とは呼ばれる。殺戮人形と。双子はその呼び名とは別に十傑としての二つ名も持っている。それは…。
「けっ、二対一ずつとは卑怯じゃんよ。」
リズが吐くように言う。
「待ち伏せしてた奴が何を言う。どうせこの場所に何か仕掛けてるんだろ?」
「さあて、何のことかな?」
俺の言葉にとぼけるリズ。つついてはみたものの、本当に何かありそうだな。
「まあいいや。じゃあ、行くぜ!」
リズが鉄球を俺らに向け飛ばしてくる。それを左右に分かれて避けた。さっきの話の通り、俺とカナタはアズ、メルシュとグンジはリズの前に立つ。
「お前らが俺の相手か、まあ二人相手でも俺なら問題無いけど。来いよ、ジン、カナタ!」
槍を構えるアズ。その両脇から挟む様に近付く。間合いに入る直前、カナタがギアを上げた。肉眼で追うには速すぎるそのスピード、普通の者なら捉えられない。そう普通の者なら。だが、目の前のこいつは普通じゃない。
槍から想像するのは守りよりも攻めの方が強いだろう。だが、アズの槍は圧倒的な守りの槍なのである。
カナタの高速の一撃もあえなく槍で受け止められた。そして、そのまま攻撃に転じ、突きを繰り出すが、カナタはそれを避ける。ガラ空きだと思い、俺は背後から殴りかかった。しかし、それも素早く背後に回した槍に阻まれてしまう。
鉄壁、鉄のように堅い守りを例える言葉だ。だが、アズの守りは鉄よりも堅い鋼。鋼壁、それがアズの二つ名である。
アズに関してはこういう話もある。今までに一度も攻撃を受けたことが無いと。本当かどうか分からないが、それだけ厄介な相手だと言うことだ。
前後、左右、時間差、いろいろと試してみるが、なかなか当たらない。それどころか反撃を受け、体のあちこちに切り傷が増えていく。マズいな。
俺達は一旦距離を取った。
「ジン、マズいね、このままは。」
「本当にな。」
カナタのスピードを捉えるのなら限定解除を使っても意味が無い。限定解除参を使ったら三日後の作戦までに復帰できるかも分からない。どうする…。
「…仕方ないな、もうちょっと温存させたかったけど、そうは言ってられないよね。」
「どうした、カナタ?」
「ジン、私のとっておき見せてあげる。」




