68.隠れ家と詰め
アンに連れられメルシュの元に。そこはアンの実家ではなく、その近くにある建物、娼館であった。アンの母が働いていた所だ。そうだと分かっていたとはいえ、女の子に手を引かれここに入るのはドキドキする。そんな俺を見てか、メルシュは悪い顔で笑った。よし、後でお仕置きだ。
さて、遊ぶのは程々にしてこれからのことを考えよう。カナタとグンジの二人へはメルシュが手紙を送っている。手紙は馬車便で届けられる。二人の住む町までは遠いが、もう届けられているだろう。だが、こちらへ来るまではもう少しかかる。今の内にできることをしよう。
まずは王に会う算段。正面突破は避け、隠し通路、屋根裏を通って行くのが良いだろう。五人で移動するのは見付かりやすいが、仕方ないな。あとは時間帯だが…。
「ねえ、ちょっと相談なんだけど?」
突然アンが切り出した。
「アン、どうした?」
「うん。実はね…。」
アンの話はこうだった。貴族社会ではよくパーティーが開かれている。それは誰かの誕生日だったり、単なる交流の場だったりと理由は様々だ。そのパーティーが今度アースノー城で開かれると言う。何故そんなことが分かるか?それが国王の誕生日だからだ。日付は今日より十日後、十分間に合う日付だ。
何故その日が良いのか?国王の誕生日ともなれば警戒態勢は通常より強くなるのではないかと思う。実際それはそうらしいが、その警戒態勢には穴がある。兵士の配置だが、他所の町のからも多く人が出入りすると町の出入口、それから町中に多く人員を割くらしい。つまり通常より城が手薄になる。それがメリットだ。
だが、デメリットもある。城を守る人数は少ないものの質が上がるのだ。王国騎士団に近衛兵、あのライザーもいるかもしれない。
「…成る程な。城に侵入しやすいし、王様の居場所も分かる。それに周りには多くの証人がいるって訳か。面白い、それで行こう。」
その言葉にアンは「うん。」頷き、ニコッと笑った。
それから更に内容を詰めていく。侵入経路、予想される敵の配置。不安要素は多くある。でもこれが最後の戦いだとするなら手抜きはできない。すっかり日は落ち、夜は更けていった。そんなふうに一日、二日と過ぎていく。
そして、俺がミルドに戻ってきて四日目、合わせたようにカナタ、グンジがやって来た。
「来たよ、ジン!メルシュとアンも久し振り!」
とフランクなカナタに
「待たせたなジン。力になるぞ。」
と落ち着いているグンジ。
二人の違いがそのまま二人の良さだ。一緒に旅をしたら面白そうだと思ってたから、少しの間だけど楽しみでもある。
さあ、出発だ!




