59.弱点と断末魔
予想外の事態に慌てる様子の騎士達。意識が俺達からそれた奴から屠る。
一人、二人と敵を仕留めていくことで敵の陣形にも綻びを見せ始めた。標的を囲う様にしていた先程の陣形、一見して完璧にも思えるものだが、弱点がある。それが内と外からの挟み打ちだ。内を仕留めるのに躍起になれば外から、外を意識しすぎれば内から綻びを見せる。つまり今の状況が偶然にして最善の形となったのだ。
「ええい、鬱陶しい。お前達ただの石つぶてなど気にするんじゃない!うぐっ!誰だ、誰が投げた!くっそぉがぁぁー!」
石をぶつけられ、頭から血を流すディレイ。すっかり頭に血が上っている。
戦いにおいて敵の将を落とすこと、それは勝利である。武将であればその主攻をそぎ、智将であれば道を見失う。つまり勝利である。
この場の将はあのディレイ。あいつを仕留めれば!
奴との距離は約五メートル。その直線上に六人。これだけなら。限定解除弐。
視界にディレイを捉え、走り出す。その動きに周りも気付き、道を塞ぐ。だが遅い。本来は洗練された動きなのだろうが、今はスローモーションに見える。踏み出される足、狙い澄ます槍の先、荒い息づかい、全てが手に取るようだ。
一歩、二歩、三歩。槍を躱し、前へ突く。ナイフを引くと同時に受け止める。空いた胴に蹴りを入れ、緩んだ手から剣を奪う。奪った剣そのままに横に薙ぐ。一歩前へ踏み込み、剣を投げ飛ばす。投げた勢いそのままに走り出し、遮る最後の壁へ。振り下ろされる剣を紙一重で躱し、刺す。
時間にして五秒程か。その僅かの間に六人の騎士は地に伏し、視界にはディレイしか居ない。
「くそおぉぉ!賊の分際で!いいだろう、私自ら相手をしてやる!」
構える剣は熟練者のそれを感じる。智将といっても武が無い訳では無い様だ。
しかし、その武は凡を少しはみ出た程度。ライザーの様に非凡の才の持ち手では無い。
その響き渡る断末魔に騎士達は騒然とし、敗走に及ぶ。つまりは俺達の勝利だ。




