44.毒と交渉
レヴェリの家はよく分からない液体の入った瓶や怪しい植物が多く置かれている。キチンと整頓して置かれたそれらは彼の研究の為に使われている。何の研究か?それは薬の生成だ。薬、それは怪我や病気の為の薬であったり、敵を倒すための毒薬や爆薬であったりと薬とつくものは何でも手を出している。それがレヴェリだ。
「さて、茶でも出そう。」
家に入るなり、レヴェリが申し出る。しかし、俺は
「いや、大丈夫だ。」
と断った。
「まあまあ、そう言うな。」
「お前のことだ、どうせ茶に毒でも入れるんだろ?」
再度申し出るレヴェリに俺はそう返した。飲み物に毒が入っていると疑う俺がおかしいのでは無い。こいつはそういう奴だからだ。
以前こんな話を聞いたことがある。レヴェリのことを敵対している者が、彼の元を訪ねた。そこでレヴェリは今と同じように茶をもてなした。目の前でポットから注がれた茶は自分と同じくレヴェリの元へも届き、レヴェリはそれを飲んだ。それを見て安心し、茶を飲んだが最後、その者は亡き者になったらしい。
それは何故か?毒が盛られたのだ。ティーカップに毒が塗られていたという訳では無い。確かに茶に毒は含まれていたのだ。レヴェリは飲んだにも関わらず毒にはかからなかった。それはレヴェリはその体質により毒が効かないからだ。だからこそ訳も分からず、人は命を落としてしまう。本当に厄介な男だ。
「ふう、やはり君とは気が合わないな。まあいい、それでは聞かせてもらおうじゃないか、私の得になる話というのを。」
「分かったよ。レヴェリ、以前俺のとっておきについて知りたがってただろう?それについて教えてやるよ。」
「お待ちよ、クロ、良いのかい?そんな大切なこと教えちまって。」
メルシュが遮る。無理もないか、手の内を曝け出そうとしているのだから。
だが、問題ない。こちらも交渉を持ちかけるのだから。大丈夫だとメルシュに伝え、レヴェリに説明する。
「…という訳なんだ。」
「なるほど、なんとなくはそうだと思っていたが、これで納得した。脳のリミッターを外す、か。新しい薬のイメージが湧いてきたよ。」
「そうかい、じゃあついでに頼みがあるんだが、実はさっきの話は欠点もあるんだ。普段抑えられている力を解き放つから体への負担が半端ない。並の奴なら五秒ともたないだろうな。」
「過ぎた力は体を蝕むという訳か。つまり君はその欠点を何とかしたいという話なんだろ?」
「ご明察。」
そう、俺がレヴェリにこの話をしたのも最終的には自分のため。この前限定解除参を使ってボロボロになったのを何とかしたいと思っていた。レヴェリなら上手いこと力を使えるように薬を作ってくれる。その望みにかけてみようと思った。
「ふむ、できなくはなさそうだな。例えば体の治癒能力を高める薬がある。その効能を高め、体が壊れながら体を癒やす。そうすれば持続時間が長くなるだろうな。」
「そうか、じゃあそれを作ってくれないか?」
「別にいいが、今言った薬はやめておいた方が良い。」




