43.臭いと変人
カキ村を出発し、二日。変わらず森は直ぐそこにある。森を迂回して進むと決めたものの変わらぬ景色にうんざりだ。とはいえ森の側を離れては更に時間がかかるのでどうにもできない。記憶が確かならもう少し進んだ所に町があった筈、そこまでの辛抱だ。
町の名はレンネ。前に居たカキ村と同じく森の恵みを受け発展した町で、確かアイツが居たな。
「メルシュ、この先のレンネなんだか…。」
「ああ、アイツのことかい?あたしゃ会わない方が良いと思うけどねえ。」
「そうか?俺は試しに会いに行っても良いと思ってるんだが。」
「ねえ、二人共、アイツって?」
アンが気になったらしく尋ねてくる。
「悪い説明が無かったな。アイツってのは俺達の知り合いのレヴェリっていう奴のことなんだ。もしかしたら協力してくれるかもしれないから訪ねてみようと思ってな。」
レヴェリの性格を考えると半々だけど、可能性があるなら行ってみても良いんじゃないかと思ってる。
「アンはどう思う?」
「どうって言われてもな。」
アンは少し考える素振りをして「行ってみよう。」と答えた。
話は決まり、町へと歩みを進める。程なくしてレンネの町に着いたのだが、いつものように町の入口では衛兵が手配書を持ち、検問をしていた。町の外から下水道等を探してみるのだが、見付からない。仕方ないがあの手しかないようだ。
変装をした俺達は町の入口から正面突破する。衛兵にいろいろ聞かれたが、中へと通してくれた。こんなに簡単にいくとは、俺の感覚がおかしいのだろうか。まあいい、レヴェリの所に向かおう。
レヴェリの家は町の外れ、少し入り組んだ場所にあるが、良く目立つ家である。それは何故か?それは臭いだ。
「何の臭いだろ?嫌な臭いじゃ無いけど、気になるな。」
アンがクンクンと臭いを嗅いでいると、メルシュが
「今日は当たりだね。」
と言った。臭いはその日によって違い、悶絶する臭いを発している日もある。だから今日は当たりなのだ。
「レヴェリ、居るかい?」
メルシュの声に反応し、家の中からボサボサ頭の痩せた男が出て来た。
「ん、メルシュだけじゃないのかい?よく見たらジンじゃないか。お尋ね者がこんな所に居ても良いのかい?」
「良くはないな。悪いが中に入れてくれないか?」
「どうしようか、私が君らを部屋に招き入れても何の得もないんだが。」
予想はしていたが、やっぱり直ぐには協力してはくれないか。
「得ならあるさ。実はレヴェリが気になりそうな話を持ってきたんだ。」
「ほう、聞かせてもらおうか。」
「ここじゃ、ダメだな。」
「ふん、分かった。中に入るといい。」
俺達はレヴェリの家に入った。




