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38.金とバイト

 アンの話を聞いてから俺達の仲が前より深くなったと思う。話は悲しいものだったが、そんな過去を俺達を信じ打ち明けてくれたからだ。

 アンも俺も助かる道を絶対に進むと、また強く思う。

 さて、それはさておき一つ困ったことがある。金だ、金が無いのだ。厳密に言えばまだ少し食料を買うくらいにはあるが、まだこの先続く旅には足りない。どうにかして金を稼がないとな。

 バルバレルを発ち二日、森の手前にある村に着いた。名前をカキ村というそこは森が近くにあるせいか、建物は木で造られたログハウスが多い。雰囲気はのどかなもので、俺達を捜すような警戒態勢も無い。久し振りに落ち着いて休むことができそうだ。

 しかし、宿に泊まってしまう金もない。やはり仕事を探すしか無いな。

 仕事と言えど、何に手を出して良いやら。俺とアンは真面な仕事をした覚えが無いのだ。弱気になっている俺達にメルシュは


「取り敢えず片っ端から当たるよ。」


 と言い、強く背中を叩かれた。

 まずは酒場。働かせてくれないかと頼んでみる。しかし、手は足りており、雇うとしても一人だと言う。少し考え、アンにここで働いてもらうことにした。アン一人だが、手配書も無いようだし、危ないことにはならないだろう。

 次に宿を訪ねてみる。仕事は掃除ぐらいしかないと、また一人だけ雇ってくれるという話だ。俺は掃除がてんで苦手、メルシュに譲るしかない。「頑張りな。」とメルシュに言われ、別れた。

 さて、どうしたものか。他に仕事をもらえそうな場所なんて心当たりが無いぞ。

 歩いていると、一つの看板に目が止まった。そこには「熊の毛皮買い取ります。」の文字がある。その看板のある店の店主に話を聞いた。そこは服屋であり、何でもここからバルバレルへ行くのに毛皮の暖かい服を買っていく人が多く、不足がちらしい。実際俺達もそんな感じだったしな。

 これなら俺も金を稼げそうだ。早速村を出て直ぐにある森へと足を踏み入れた。

 熊、熊、熊。適当に歩き回ってもなかなか見付からない。一頭くらい仕留めておきたいんだがな。

 そんな時、ガサガサと茂みをかき分ける音がした。何だ?


「また会ったねえ、ジン。」


 高く、ねっとりとしたその話し声に全身力が入る。


「俺は会いたく無かったよ、シスカ。」

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