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35.行き先と狙撃手

 ミルドか…。隣に居るアンを見ると顔を俯かせていた。やっぱりミルドには何かあるらしい。

 情報屋に金を支払い、店を出る。アンの表情はまだ戻らない。


「アン、情報屋の話なんだが…。」

「クロ、気にしないで。行こう、ミルドに。」

「アン…。」


 端から見ても無理をしているのは分かる。だが、ミルドへ行かないという選択肢は愚策だ。欲しい情報がある確率が一番高いミルドと何処の情報屋を訪ねれば良いか分からず片っ端から当たるのでは火を見るより明らかである。アンには悪いが、少しの間我慢を強いて貰おう。

 バルバレルを離れる為、また下水道へと潜る。閉鎖的な環境に反響する足音。そこに何処か違和感を感じる。町に入る時は無かった障害物に当たる感覚だ。

 誰かが居る。暗く、よく見えないが確かだ。横を向き、メルシュに合図した。

 するとその瞬間、俺の横を矢が通り過ぎたのである。ヒュンという矢の音のお陰で何とか躱すに至ったが、危うかった。

 そう考えて居る間に次の矢が飛んでくる。一つ二つと確実に俺の頭を狙って。

 この暗闇の中で寸分違わず俺を狙える者に一人心当たりがある。弓王、あいつに違いない。

 弓王、その二つ名を持つのはラピスという若い男。弓の腕に長けた十傑の一人である。

 弓の射程距離はその腕に長けた者で百メートル程が限度だ。しかし、奴はその三倍の距離からでも正確に的を射貫くことが可能なのである。それも、昼夜関係なく、雨風が吹こうともだ。

 面倒な奴に狙われた。しかし、この状況でも一つだけ良い点がある。それは音だ。この音が良く反響する下水道では矢の走る音が良く聞こえるのである。これならばまだ躱すことは可能だ。

 と思った矢先、俺の右頬を矢が掠めたのである。何で。確かに避けた筈だ。

 また矢が飛んでくる。それを躱すが、今度は耳を掠めた。

 クソッ、訳が分からない。ここで明かりを点けるか?いや、それでは格好の的だ。前へと詰めるか?奴との正確な距離も分からないからそれも難しいだろう。どうする?

 横からポンポンとメルシュが俺の肩を叩いた。


「クロ、アン、耳を塞ぎな。」


 その言葉の後、メルシュは叫んだ。とてつもなくでかい声は耳を塞いでも伝わる。そしてその声は壁を反響し、轟音となり辺りを覆う。


「今だ、行くよ!」


 メルシュの掛け声により、暗闇の中前へと走った。さっきので奴も面を食らっている筈。今がチャンスだ!

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