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31.侵入と娘

 降り積もる雪に足を取られながらも休み休み歩いて五日、漸くバルバレルの町に着いたのである。ただ着いたと言っても町の前まで、中には入れていない。何故なら町の入口では当然の如く検問をしているからだ。さて、どうしたものか。

 やっぱり、下水道からだな。町の外側を歩き、探してみる。見付けたと思ったが、困ったことに鉄の柵が付いていた。これでは入ろうにも入れない。

 そんな時、メルシュが「仕方ないねえ。」と声を漏らし、柵へと向かった。そして、柵を握るとギイーという音を立て、人一人が入れる程までに広げたのである。さすがメルシュだ。

 下水道からバルバレルに侵入する。真っ暗で臭いが、トポルの時のように虫や鼠は出ない。この寒さで居ないのか、アンが悲鳴を上げないので助かる。

 さて、グンジの家は比較的町の中心にある。つまり、人の往来が多いのだ。上手くそこに紛れることができればバレずに辿り着けるだろう。

 下水道から地上に上がる。見た所、人通りはそこそこ。自然とその一部になるよう歩みを進める。歩く人々は寒さからかフードを被る人ばかりであり、俺達が浮くことは無かった。

 そして、歩くこと十数分。俺達はグンジの家に着いた。立派な一軒家の煙突からは煙が出ており、中に誰かが居ることが分かる。

 そして、家のドアをノックした。


「グンジ、いるか?」


 家の中からドタドタと走る音がし、ドアが開く。そして、中から小さな女の子が出て来た。


「はい、どちら様ですか?」

「俺だよサクラ。」


 フードを上げ、顔を見せる。


「あ、ジンお兄ちゃん!ちょっと待ってね。お父さん~!」


 そう言うと再び家の奥へと入っていくサクラ。元気なことだ。


「クロ、さっきの子は?」


 アンが尋ねてくる。


「ああ、グンジの一人娘だよ。」


 そうグンジには家族がいる。それも、グンジの妻は早くに亡くなり、今はグンジとサクラの二人暮らしなのだ。


「ジン、久し振りだな。」


 ガッチリとした体格の髭面の男、グンジだ。再会を祝い握手をする。


「話はだいたい聞いてる。中に入ってくれ。」


 家の中、リビングへと案内される。落ち着いた雰囲気の良い空間だ。

 皆椅子に腰掛け、話をした。俺達の今の状況、それからグンジにどうして欲しいかを。


「また面倒なことに巻き込まれてるなジン。だが悪い、俺にはサクラが居るんだ、付いていくのは厳しい。それに今少し厄介なことになっててな。実は…。」


 グンジが話をする中、ドンドンと激しくドアを叩く音がした。それを聞いたグンジは「またか。」と声を漏らし頭を抱える。一体何が?

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