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20.脱出と生還

「ふう、まいたったねえ。おじさん降参。」


 そう言って両手を上げるフィスト。メルシュはそれを見て人質達の元に向かう。


「大丈夫かい、アン?」

「ありがとうメルシュ。私は大丈夫だよ。」


 見た所たいした怪我も無さそうだ。


「じゃ、おじさんはこの辺で…。」


 そう言ってフィスト手を下ろす際に服の袖からぽとりと何かを落とした。何だ?ってヤバイ!それは地面に当たると火花を発し、足下に薄らと塗られていた油に引火した。引火した火は更に大きな火となり倉庫を包み込む。

 これは直ぐに消せそうにない。


「皆逃げるぞ!」


 フィストを捕らえたまま外へ出ようと考えていると既に姿を眩ましていた。やられた、アイツが良くやりそうな手口じゃないか。クソ。

 そうだ、カナタを!俺はぐったりとしていたカナタの元に駆け寄り担いだ。


「クロ早く!」


 アンの声に後ろを振り返るとすっかり火に囲まれていた。他の皆はもう外のようで残るは俺達二人。


「カナタ、ちょっと辛抱してくれよ。」


 俺は入ってきた扉の方へ向け炎の中に飛び込んだ。熱い、熱い、熱い。服が焼け、たまらなく息がつらいがもう少しと走る。

 抜けた!外に飛び出ると俺はカナタとともに地を転がり、燃え移った火を消した。


「クロ!」

「大丈夫だよ。」


 心配そうな顔をするアンにそう伝える。

 ふう、もう動きたくねえ。奥の手で散々体を酷使し、全身が痛いのだ。


「メルシュ悪いが俺を運んでくれないか?」

「はいよ、そのくらいお安いご用さ。」


 メルシュは俺とカナタを抱える。もう後は皆に任せよう。俺は目を閉じた。

 次に目を開けたのはベッドの上だった。カナタの家だろう。それにしても体中焦げ臭い。後で風呂を借りよう。

 少ししてコンコンとノックの音が部屋に響いた。入ってきたのはカナタだ。


「ジン大丈夫?」


 こちらを覗き込むように尋ねるカナタ。


「なんとかな。それより悪かったな結構強めに殴っちまって。」

「ううん、あのくらい…と言いたいんだけどまだ痛いや。でもあのお陰で助かったよ、ありがとう。」

「どういたしまして。それと今日は悪いけど泊めてくれないか?体が痛くて動けそうに無いんだ。」

「ハハハ、良いよ良いよ、好きなだけ泊まっていってよ。後でご飯も持ってくるよ。じゃあゆっくり寛いで。」


 カナタは部屋を出ていこうとするが、入口の所で止まる。


「あっそうだ。ジン、私もやっぱり協力するよ。」

「本当か!」

「うん。と言ってもジンが解決策を見つけて、最終決戦だって時に力を貸すような短期集中みたいな感じでならだけど。」

「それでも大分助かるよ。」

「そう、良かった。じゃあお休み。」


 カナタはウインクして部屋を出ていった。

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