第九語 盲目
皆様お久しぶりです。
毎回期間が開くせいで、毎度この挨拶な気がしますね、語部です。
そんなことはさておき、今回の語り部ですね。
皆様、「タダより高いものはない」とはよく言いますね?
それもその通りで、どんなことにも代償が付き物です。
今回はそんな代償のせいで永遠に報われることのない二人のお話。
どうぞ。
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あるところに目の見えない少女がおりました。
先天的な盲目で、治ることもないと医者も匙を投げておりました。
そんな彼女も、ある日恋をしました。
どこにでも居るような青年に、ありふれた恋を。
目の見えない彼女は彼の顔を見ることは出来ないものの、それでも、彼のことを好きでいました。
そして、暫くして彼女の恋は実り、愛になりました。
恋が愛になった瞬間、彼女は思いました。
彼の顔が見たい。彼をより愛するために。
彼女は願い続けました。叶う事のないはずの願いを。
そんな彼女の願いを聞いたある神様が彼女に言いました。
「君の願いを叶えることは出来る、だけど対価が必要だ」
それを聞いた彼女は声のした方を向いて、
「他の感覚なら好きなだけ持って行って!」
と、強く答えました。
神様は言いました。
「対価は君の視力より大きなものでないといけないんだ。だから、君が持っていかれたら最も悲しい感覚を持っていくよ」
そう言って神様は、彼女に視力を授け、ある感覚を持っていきました。
目が見えるようになった彼女は、取られた感覚が何かだったのかさえ気にせずに愛する彼の元へ行きました。
彼女が彼に声をかけ、彼はその声を聞いてこう言いました。
「やぁ、君か。電気をつけてくれないか?真っ暗で君の顔が見えないんだ」
彼の言葉を聞いて、彼女は絶望しました。
そして、二人は最後まで、見つめ合うことはできませんでした。
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代償とは、時に取り返しのつかない大きさのこともあります。
今回の語り部は、強く願いすぎたが故により悲しい顛末を辿ったと言えるでしょう。
皆様も願いを叶えるがために、大切なものを失わないようにしてくださいね。
それでは次の語り部まで
Au revoir