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45歳のあの人は・・・

45歳のシンデレラ

作者: 神波みこと

 王子目線のシンデレラです。

 最後には意外な結末が……?

 今年もそろそろ舞踏会を開催できる季節になってきた。

 舞踏会くらいわかるよな。俺の家でやるダンスパーティーだ。

 国民どもが俺に会える唯一の機会でもある。

 俺は昔シンデレラという物語を読んだことがある。物語の王子はシンデレラを見つけて、こいつだってピンと来たんだろう。俺もそういう人が欲しい。

 だからもっと舞踏会を開催したいのだが、親父が「そんなにポンポン開いてたらお前のレア度が下がるだろ」っていって開かせてくれない。ひどい親父だ。俺はレアなモンスターじゃない。

 ここまでの文でわかるとおり、俺は王子。王子さんではなく、国王の息子。

 国中の女どもの憧れってやつだ。

 …よし決めた。明日舞踏会を開こう。


 明日が舞踏会だと急に発表されて国中の女が大騒ぎだったが、王子の知ったことではない。


 一応俺は、王子らしい恰好をして大広間の王子の席に座っていた。

 舞踏会の仕組みはこうだ。

 俺と踊りたい女どもはまず、順番に俺の召使と踊る。

 気に入った女とまずその場で踊る。

 大丈夫そうならそいつを別室に連れていく。

 そこでの作法とかで嫁にするか決める。

 毎年舞踏会をやっていてその部屋に入ることができた女はまだ一人もいないがな。

 

 今年も懲りずによく並ぶなー。

 と思っていたら、見たことのある顔ぶれの中にひとり、見たことないくらいに可愛くて若い人を見つけた。

 よし、その人が召使と踊る番になったら声をかけよう。

 その人の番になるまで俺は、うずうずして何度も召使ににらまれた。

 やっとその人の番になったけれど、まだ声をかけてはいけない。

 踊る前に声をかけると俺の評判がなんたらかんたら~って親父がいっていた。

 よくわからんが逆らわないほうがいいだろう。

 やっと召使と踊り始めて約5分。もう声をかけてもいいだろう。

「僕と一緒に踊りませんか?」

 周りが少しざわめくがスルー。

 その人は驚いて目を見開いている。

 俺は子供の頃から練習させられていた王子スマイルをしてみた。

「は、はい。おねがいします」

 それからまた召使ににらまれるまで、俺はその人と踊っていた。

 にらんだということはそろそろ部屋に連れていけということなのだろう。

 俺はそう勝手に解釈し、

「ちょっとこっちへ来てください」

 俺はその人を部屋に連れて行った。


「あぁ、私まだ踊ってないのに」「あの女、憎いわ」「行かないで、王子様」「嘘でしょ…」etc…


 俺はその人────シンデレラというらしい。名前まで同じなんて、本当に運命じゃないか?────を超スイートルームに招いた。

「君は、とても美しい。僕と付き合ってくれるかい?」

「これは仮の姿。本当はもっとみすぼらしいの。だから、ごめんなさい!」

 シンデレラがダッシュで逃げようとする。けれどシンデレラがみすぼらしいのは当たり前だ。そしてそれは継母たちが悪い。

「待ってくれ! 僕は君の本当の姿まで愛して見せよう。僕の気持ちは変わらないよ」

 その時、シンデレラは光に包まれた。

「ふふっ。ありがと」

 シンデレラが急におばさんになってしまった。

 おばあさんではない。魔法使いのローブっぽいのを着たおばさんだ。

「私は北の魔法使いシンデレラ。行きたくなって来てみたけど、いいところね。あと、本当の姿まで愛してくれてありがとう」

 王子はしばらく固まっていましたとさ。

 楽しんでいただけたでしょうか?

 「45歳の桃太郎」を読んでいない方はそちらも読んでくれると嬉しいです。

 では、また。あるかわからない次作で会いましょう!

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