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目を開いたその瞬間、世界は。  作者: フィヨン
1/1

始まり

私はお父さんとお母さんで山に遊びに来た。


暖かい日差しが私達を見守る。

川のせせらぎ、鳥の囀り。

澄んだ空気に緑の香り。


こんな穏やかな雰囲気の中、私の心はざわついていた。


なにか、嫌な事が起こるような気がした。


「香、行くわよ。」


「うん」


立ち上がり歩いていく。


「あなた、本当にここは空気が澄んでるわね。」


「そうだなぁ、こんな所に住みたいもんだ!」


「そうよねぇ……」


何気ない会話をしながら前を行く親。

その足が一歩一歩進む度、不安が募っていく。

喉元まで込み上げてくる胸騒ぎ。

歩くのが、怖い。


「……おる、香?」


「っ!ああ、ごめんね。」


「ちゃんと前を見て歩きなさい。」


「うん。」


会話が途切れる。

親は穏やかな雰囲気を感じているのだろうか。

晴れ晴れした顔をしている。


その反面、私は不安が募る。

喉に詰まるような不安を押さえ込んで、私はお父さんに聞いた。


「ねえ、お父さん。」


「なんだい?」


「今からどこにいくの?」


「内緒だよ。香と行きたくてこんな山まで来たんだぞ?」


「あなた、私は?」


「もちろんお母さんも。」


笑う親に合わせて若干無理矢理作った笑みを浮かべる。

こんなに暖かいのに手先が震えた。


10分程歩き、お父さんが声をかける。


「さあ、ついたぞ!」


「……ここ、なに?」


目の前に広がる風景はなんとも殺風景だった。

崩れかけの鳥居にボロボロの祭壇。

お稲荷様の仏像は健在だった。

横には風に吹かれ飛んでいったと思われるおみくじ。

所々苔が生えていたりと良い作りとは程遠い外見だ。



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