ここは…月?
お金持ちのお嬢様ありすは、いつも通り本を読もうとする。光った本から出てきたのは・・・妖精!?
気が付いたらそこは、初めて見る天井。
クリーム色に、黄色い水玉が描いてある。
…何だか寒いような…
「うわっ!」
自分の服を見て飛びあがりそうになった。
妖精が着ていた服と、色違いのものを見に付けている。
「あ、お目覚めですか?」
「ちょっと…ここ…」
「私や仲間の暮らす場所です。人間界でいう…寮みたいなものです。」
寮…。
「おなかはお空きなりました?」
「…」
こくりと、小さくうなずく。
「私が作りました。良かったら食べてください。」
「わぁ。おいしそうかも。」
目の前に並べられた料理。
…肉じゃがかな?
肉みたいだけど…白い。
「その白いのは、ここで育てている草花の一つです。
火を通すと、赤かった物が白に変わるんです。
不思議でしょ?その名の通り、不思議草って言うんですよ。」
「へぇ。そうなんだ…。」
おそるおそる、口に運んでみる。
その味は、どこか懐かしいような。
甘くなく…けど苦くなくて、辛くもしょっぱくもない、やさしい味がする。
「…おいしい。」
「そうですか?よかった。作ったかいがありました。」
何だか、アリスといると、何だかほっとする。
安心できる。
「…あ、その本、アリス…」
私が指さしたのは、アリスの絵本。
そう、『不思議の国のアリス』。
「あぁ、それですね。そちらの世界にもありました?」
「うん!おかあさんがね、あたしにはじめて読んでくれた本だから…。」
あ!…そういえばあたし、何してるんだろう。おかあさんっ…!
「ねぇアリス、ここ、どこ?月なの?」
月だったら、浮いてるはずだよね。
「ここは月に一番近い惑星。
だからムーンタウン。月の何兆分の一の面積しかありません。」
あ、月じゃないんだ。
「今この小さい星に…、ブラックフェアリーが…。」
よく理解できないけど、ブラックフェアリーっていうのはいいものじゃないみたい。
「私に…私に…、何をしろって言うの?」
ちょっと可愛い子ぶって、首を傾げてみる。
「こっちに来てください。」
アリスは満面の笑みでの寮のドアを開けた。