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第56話 突然!ガバチョ!

「「ただいまぁ…」」

 オニールとテッドがヘロヘロになって帰宅する日々が続いた。


 大変な騒ぎの『卒業舞踏会』の後、オニールとテッドは毎日後始末に追われていた。当日訴えられた被害、舞踏会に出席してなかった貴族からも被害者が出ていたため、それらをまとめなければならなかった。


 悪質な詐欺行為のため、皇后と王子(アレクサンダー)は今は王宮で幽閉されている。

王子(アレクサンダー)は股間の強い痛みを訴えており安静となっている。


「ブランカが唆したんだ!ブランカが全て悪いんだ!」

 そう叫ぶ日々らしいが不貞行為を見られた事、実際に実行に移したのは王子(アレクサンダー)自身であること。

 あの日ブランカは『王子に弄ばれ捨てられた』と遺書を残して姿を消してしまっているので誰も王子(アレクサンダー)の言葉に耳を貸さなかった。


 まずは被害をどうするか…その方が重要だったからである。二人の処遇はそれが終わってからという事になった。


 学生も貴族が多かったため親子で被害者という事も珍しくなかった。『あなただけに…』『誰にも言ってはダメだよ』という秘匿性を持っていたために被害がここまで広がってからの判明だった。


 王子(アレクサンダー)醜聞(スキャンダル)が無かったらもっと被害は広がっていた可能性は高い。


 被害補填には税金ではなく陛下、皇后のポケットマネーから支払われる事になった。

 その為に王室の所持する宝が結構放出された。それには帝国民では買えない物も多かった。友好国とはいえ国外に弱み(恥じ)を晒すのも外交的にもよろしくないので唯一知ってしまっているバラーク王国(田中の国)が購入してくれた。


 田中はもうバラーク王国とマルクルド帝国との友好の証、『リズとの結婚』を手に入れたので王子同士の人質交換(留学)は必要なくなったのと、早くリズと結婚したいので早く帰国したいんだそうだ。


 一回、プリシラと二人でリズに会いに行ったら田中がすでにべったりとリズに貼りついていた。

「あ、あの、離れてくれなくって…」

「離れる訳ないだろう」


(あぁあぁ、リズが真っ赤になって子リスちゃんみたいになってる!か、かわいいっ!)


 幸せそうで良かった。


「あぁ、もぉ幸せそうでいいわね!私はダメだったわぁ!だって被害者なんだものぉ!それどころじゃないって言われちゃったわ」

「プリシラ!きっといい出会いはある!頑張れ!」


 心から願ってあげた。


「そういえば!ニーナ!あなた王室が手放した不動産を購入したんですって?」

「そうなのよ!さすがに不動産はバラーク王国の所持にする訳に行かないじゃない?王室の土地だからいい場所も多くってね、欲しがる貴族も多かったのよ。だから入札方式にしてもらったの」


「入札方式?」

「そう!欲しいっていう人がその不動産に対しての金額を書いて入札するの。その中で一番高い金額を書いた人間が手にする事ができる!って方法よ」


「へぇ。で、どこの不動産を手に入れたの?」

「王宮あるでしょ?王宮の正門を出てすぐの角地!」


「あぁ、あそこ。確かにあそこならば人通りもあっていいわよね」

「そぉなの!あと何個か買えたわ!一番欲しいところは買えなかったのがちょっと悔しいけれど、まぁ確かに私のポケットマネーじゃ買えないわ」


「ラウタヴァーラとして買ったんじゃなくてニーナのポケットマネーだったの?」

「全部じゃないわよ?角地は私個人のお金よ?あとは社員寮として使えないかなってラウタヴァーラとして買ったかな」


「へぇ~」


 一番欲しかった所…そう!あの王室の丘。

 変な争いが起きないように落札できた人にしか連絡がいかないようになっていて、ニーナに連絡は無かった。

 さすがに規模が違いすぎてダメ元で入札したけど少額すぎて棒にも箸にも引っかからなかったようだ。ショボン…



 週末、高い空に大きな入道雲が出て草原が遠くまで広がっている丘にクロとシロで遠出に来た。


「あの丘が誰かの手に渡る前に行っておこうぜ!」

 とテッドが誘ってくれたのだ。アーロンは学園の友達と先に宿題を片付けておきたいと友達の家に行く約束を先にしてあったようで、とても残念がっていた。アーロンには悪いが今、行っておかないと誰かの所有物になってしまうので、今回は我慢してもらった。


「ん~~~!気持ちいい!」

 クロから降りて大きく伸びをする。クロはシロと自由に走り回って遊んでいる。


「ほんとだなぁっ」

 テッドも大きく伸びをした。


 敷物を敷いてゆっくり二人で座り、走り回るクロとシロを眺めていた。


「テッド大変だったね」

「おぉ、大変だった…正常業務でもいっぱいいっぱいなところにあの騒ぎだもん」


「でも、みんなの前であの騒ぎを抑えてかっこよかったよ」

「えぇ?当たり前だろぉ」


 そう言いながらもテッドは向こうの方を向いてしまうが耳が真っ赤なので照れているのが分かる。


「夏休みだからラウタヴァーラに帰るんだろ?」

 ニーナはうんと頷く。


「そっかぁ、そうだよなぁ。俺も頑張って長期休み絶対に取るよ!そしたらラウタヴァーラに行くよ!シルヴィオにも会いたいし!」

 懐かしい感じで遠くを見ながらテッドの話しは続く。


「俺さ、ずっと自分の生い立ちが嫌だったんだよね…

記憶のある頃にはもう陛下が継いでいたし、王子(アレクサンダー)だっていたから、俺には関係ないって思ってた。

 公爵の名前もいらないって一代男爵にして騎士学校に進学したのに

戦地にまでわざわざ送ったりさ…

 あの人(皇后)は息子以外の可能性は全部潰しておきたかったんだろうね…

だから俺は俺自身が狙われているのに誰かを愛したらその人まで狙われてしまうって自分で自分を縛っていたんだよ」


 テッドが、すくっと一回立ち上がったかと思ったらニーナに向かって、ごそごそっとポケットから四角い箱を出して片足立ち膝のポーズを取る。

 パカッとその箱を開けると指輪が光っていた!!


「ニーナ、突然で驚くと思うけど、俺と結婚して欲しい」


(えぇえぇぇぇえぇぇっ!本当に突然!)

 ニーナは心の中でお笑いのお祭り男のような驚きの声を上げた。



まだ髪がフサフサだった頃の鶴瓶師匠の番組。

「ワシもそう思う♪」

「ワシもそう思う♪」

「ワシもそう思う♪」

『わしもそう思う博士』?が3人出てきて笑っちゃうと

筋肉マッチョの退場マンがお姫様抱っこをして退場させられちゃう。


あの筋肉マッチョにお姫様抱っこ…憧れたぁ!!!

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