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ローファンタジーショートショート

森の木

木漏れ日溢れる森の中

人寄せ付けぬ奥深く

王様みたいな樹が一つ

しめ縄をして佇んだ


鞄を背負った青年一人

緑の絨毯踏みしめて

街からふらり森へ来て

王様見つけて驚いた


青年しばらく王様眺め

満足したのか頷いて

辺りを見回し首かしげ

一体どこだと呟いた


しめ縄しめた樹の下で

手にした地図をくーるくる

「迷った迷った」言いながら

分からぬなりに歩いてく


見覚えあると 足止めりゃ

あな不思議やな 元の場所

しめ縄しめた大木が

さわさわ笑って見下ろした


地面に残る足跡を

辿ればぐるぐる回ってる

おんなじ場所をぐーるぐる

しめ縄みたいにぐーるぐる


ぐるぐる回って疲れ果て

しめ縄の下 座り込み

「迷ったのかい」

上から声が降ってくる


作務衣に総髪 雪駄履き

時代錯誤な格好で

枝に腰掛け 足揺らし

さわさわ笑って見下ろした


年の頃はいくつやら

若くも老いても見える顔

男女果たしてどちらやら

どちらも取れる声の色


「見ての通りだ 迷ってる」

青年相手を気にせずに

肩を竦めて 地図を振り

困った困った言い募る


足揺らすに飽いたのか

青年の横に飛び降りて

「案内しようか」

笑顔を向ける


先行き歩く背中について

青年森を進んでく

気付けば木漏れ日なくなって

街のそばまで戻ってきてた


「もうわかるだろ」

いつの間にやら案内人

前ではなくて後ろいて

そう言い置いて 手を出した


青年鞄を漁り出し

ようやく見つけたお目当ての

洋酒の瓶を取り出すと

それを差し出し礼を言う


瓶を受け取った案内人

大好物だと相好崩し

ニコニコ笑みを浮かべたままに

森の奥へと消えていく


木漏れ日溢れる森の中

人寄せ付けぬ奥深く

神様みたいな樹が一つ

しめ縄をして佇んだ

ここまで読んでいただきありがとうございます

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