宇宙人
「ウソついてごめんなさい!」
「いいよ。そんなことは。そんなことよりもあなた、前田君のことが好きなんでしょ?」
「そうです。どうしてわかるの?」
「目線が前田君にしか目がいっていないからよ。私と話しているときもそうだった。」
「ばれましたか。」
「バレバレだよ!前田君に好かれたいなら、あの人形と同じことをすればいいのよ。」
「人形って誰ですか?」
「宇宙人さんのことよ!」
「は?」あたしは戸惑った。宇宙人さんは宇宙人だと思っていたからだ。っていうか、普通に信じているあたしもやばいけど。でも、前田君が言っていたから信じてもいいと思えたのだ。
「あれは脳みそだけは宇宙人さんのだけど、それ以外は機械でできているの。あの体は人から好かれる特殊な香りがするの。だから、それを嗅いでしまうとああやってポニテちゃんみたいに宇宙人さんのことが好きになってしまうの。」
「どうして、はなちゃんはそんなことを知っているの?」
「私が本当の宇宙人だから。」
「え?本当?」
「そうよ。それに私が宇宙人さんを改造したんだから。」
「はひー」あたしはびっくりしすぎて、変な声で変な言葉を発してしまった。
宇宙人さんって、地球の言葉は話せないの?
「話せるよ。あの自己紹介の時は緊張していたからじゃない?あの子は緊張すると変な言葉を発する癖があるらしいから。」
「そうなんだ。」
「前田君も多分だけど、宇宙人さんのことが好きになっていると思うよ。」
「それはまずいなー。」
だけど、前田君が好きな人が宇宙人さんっていうことがわかった。これであたしは前田君と付き合うことができる。ただ、あたしは前田君と付き合うことができるけれども前田君は宇宙人さんのことが好きなままだとまずい。だから、宇宙人さんを殺すか、あたしも人形になるかだ。
「ちなみに、あたしも人形になれたりします?」
「できるよ。したいの?」
「うーん。怖いけどやりたいです!」
「おっけー」
その後はUFOの中に連れていかれ、あたしは身体を拘束されて麻酔をかけられた。気が付いたら人形と化していた。人形になっても前の人間だったときの感覚と変わらない。変わっているところといえば、あたしの顔と身体だ。宇宙人さんもそうだったらしいが、顔も身体も自分の思い通りに変えることができるらしい。あたしももっと顔もスタイルも良くなりたかったので、はなちゃんにお願いをしたのだ。