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水晶の砦




 「レイゲンさん、冒険者について教えて頂けますか?」


「…ミカ殿は冒険者に興味をお持ちでござるか?」


「はい、これから生活していくのに冒険者を仕事にすることも考えてます。」


「成る程、では話し致そう。冒険者はギルドという組織に所属し、依頼を受ける。依頼を達成すると報酬が貰える。まあ簡単に言うとこんな感じでござる。簡単な依頼ほど報酬は少なく、難しい依頼ほど報酬は上がる。また冒険者にはランクというものがあり、これは冒険者の格付けのようなものでござるな。最初は低いランクから始まり、依頼達成を続けるどランクが上がる、そんな感じでござるな。低いランクの時は受ける依頼に規制があり、上位ランクは規制がない。危険な依頼は上級者が請け負うということでござるな。」


「ありがとうございます、レイゲンさんはどのランクだったのですか?」


「拙者はAランクの冒険者でござった。一人前の冒険者と認められたところでござるな。まあまだ辞めた訳ではないのでござるが。」


「レイゲンさんはすごい方だったのですね。」


「拙者はまだまだでござるよ。拙者よりも上のSランク冒険者も数名存在してござったな。」


「さらに上…。」


「ミカ殿の腕前ならば、Aランクはそう難しくないのではござらんか?」


「そうなのですか…?」


「うむ、もし冒険者になりたいなら、拙者が一筆仕ろう。」


 レイゲンはそう言って、荷物から紙と筆を取り出し、何やら書き始める。

 書き終わるとくるくる紙を丸め、紐で縛った。


 「これをギルドに持って行けば直ぐにとりなしてござろう。」


「ありがとうございます。」


 私はレイゲンからその紙を受け取った。


 「冒険者は死と隣り合わせ故、決して油断せぬよう心がけるでござるよ。」


 私はレイゲンの目を見て、はいと答えた。レイゲンはニコリと笑った。優しく惹きつけられそうな笑顔だった。


 夕方前にレイゲンは村を離れて、東のリサイゴス王国に向かうと言い残し村を後にした。

 

 私は宿の部屋に戻りトフィーに話しかける。


 「ねえトフィー…冒険者やってみる?」


『私はミカ様と一緒なら何でもするわ。』


 「そっか、ありがとうトフィー」


そう言ってトフィーに抱きつき体中撫でる。


 『きゃー、やめてミカ様!』


「やめない、ウフフ…。」


  しばらくトフィーとじゃれ合っているうちに夕食の時間になった。


 「お腹空いたね、行こうかトフィー。」


『はい』


 夕食時、食堂は結構にぎわっていた。私とトフィーは空いてた席に座ると、直ぐに料理が出てきた。

 ワイルドディアの肉と根菜の煮込みとパンだった。トフィーには根菜が皿に盛られている。食べると、何だか懐かしい味がした。昔師匠が同じ料理を作ってくれたのを思い出した。

 師匠はここでこの料理を覚えたのか…何だか微笑ましい気持ちになった。そして少しだけ涙が溢れそうになった。


 次の日、早くに私は準備を始める。まだ薄暗い夜明け前だった。身支度を整え顔を洗う。

 今日は「水晶の砦」を目指す。トフィーも少しだけ緊張しているように見えた。


 「トフィー朝食を食べたら、すぐ出発するよ!」


『はい、ミカ様』


 準備も整った頃には女将さんも朝食の準備をしていた。


 「あら、ミカちゃんおはよう。早いわね。」


「おはようございます、私は早くに出ようと思います。」


「あらそう、わかったわ。また遊びに来てね。」


「はい、よろしくお願いします。」  


 朝食を食べ終わると、料金を支払い、直ぐに宿屋を出て村を後にする。

 水晶山の入口付近を目指し歩き出す。

 数時間歩き、休憩を挟みながら進んでいく。段々と木々はなくなり、岩肌ばかりが目立つようになって来た。


 「トフィー、かなり近づいてきたわよ。もうすぐ水晶の砦と呼ばれる場所」


『いったい何があるのかしら…?』


 「聖地に近づかないのが基本だからね…私も何とも言えないけど。」


  進むほど道は険しく、道なき道になってくる。普段から鍛え、山道に慣れている私でも苦戦するほどの険しさだった。

 トフィーの幸運の力のおかげか、天気はまるで崩れない。山の天気は変わりやすいが、恩恵を受けているのかも知れない。

 ゆっくりと着実に進んでいく。夕方になる頃、やっと水晶の砦に辿りついた。

 

 目の前に「水晶山」が大きく見える。しかしここはまだ「水晶山」のほんの入口に過ぎない。

 「水晶山」に登るにはさらに2日は必要だろう。私はそんなことを考えながら、「水晶の砦」の中に進む。

 少し先に水晶の柱が何本も突き立っている。まるで門のようだった。

 さらに近づくと不思議なことに前に進めない。何かに阻まれているのか、透明な壁が存在していた。

 トフィーが伝えてくる。


 『ミカ様、どうやら結界があるようです』


「結界?ってなに??」


『えっと、侵入されないように魔法で囲いを作っているみたいね』


「え、じゃあこれ以上進めないってこと?」


『結界を壊すか、魔法を解かないとだけど…あれ、ミカ様、聖魔道士は結界も無効じゃありませんでしたか?』


「そ、そうなの?じゃあどうして入れないのかな?」


『ミカ様、ミカ様が聖魔道士と自覚すれば大丈夫なのでは?』


「自覚…難しいけど、やってみる」


私は聖魔道士…私は聖魔道士…私は聖魔道士………


 ずっと心の中で念じる…。


 すると不思議な現象が起こる。私の黒い髪が徐々に銀色に変わって行く…あの日みた聖母神ユミルファ様の髪の色だった。


 「トフィー!?これって…」


『ミカ様、これで聖魔道士になれたのでは…もう一度結界の先に進んでみましょう。』


「わかった…。」


 私はゆっくりと結界のあった場所に近づく。すると今まで入れなかった場所に進める。


 「やった!通れた。」


『やりましたね、ミカ様!』


 結界の中に入れた私とトフィーは、慎重に辺りを見回す。狭くなっていた門のような場所を抜けると、少し広い場所が広がっている。

 前方にトーテムのような、彫像のような巨大な建造物が目につく。水晶でできた守り神のように見える。5レグ程の大きさだ。(この世界の単位1レグは70センチ程)

 私が近づくと、突然守り神のような建造物が振動する。

 

 目が赤く輝き、こちらを睨んでいる。


 『ミカ様!どうやらゴーレムのようです。この場所を守っているのかも知れないわ。』


 「戦うしかないか…。」


 ズシン、ズシンとクリスタル・ゴーレムは動き出した。赤い目が近づいてくる。


 長い腕でこちらに攻撃してくる。かなりのスピードだが、避けられない程ではない。

 躱した水晶の拳が地面を穿つ。物凄い衝撃だった。地面に巨大な穴があく。


 「あんなの当たっただけで終わりね…当たらなければ問題ない、けど…。」


 こちらの攻撃が通用するのか…それが心配だった。スピードでは負けなくても、攻撃が通用しないとなると、いずれはやられる。


 クリスタル・ゴーレムの攻撃を躱しながら(プラーナ)を巡らせる。

 こちらから仕掛ける。

 巨大な足に突きを打つ、が、岩肌に突きを入れている感覚だった。

 ゴーレムはびくともしない。

 

 私は戦法を変えた。ゴーレムの突きを利用して投げを打つ。

 うまくいったが、また直ぐにゴーレムは立ち上がる。


 「いったいどうすれば…」


『ミカ様…これは賭けに近いですが…クリスタル・ゴーレムが魔法によって動いているのでしたら、ミカ様に攻撃出来ないのではないでしょうか?』


 「つまり?」


『攻撃を躱さないで受けるのです』


 「…くらったら終わりね?」


『絶対大丈夫です!』


「わかったわ、試してみる!」


  私はクリスタル・ゴーレムと向かいあった。

 



 


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