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村に素材を売りに




 庵を出て、私とトフィーは魔物の素材を売るためにいつも世話になっているトグール村にやって来た。庵からは、半日程で着く距離だった。

 ここはパランの住んでいた村だ。獣人が多く、人族も少ないが住んでいる。

 

 私は村で唯一の道具屋に向かう。小さい村だなので、道具屋は生活するのに必要な物は大抵揃えていた。私も衣類などはここで買っていた。


 「こんにちは!素材を買ってほしくて伺いました。」


 気の良さそうな狼獣人の親父さんが出てくる。


 「おや、ミカちゃんか。久しぶりだね…ってその肩にいるのは…金のハイド、じゃなくてフォーチュンラビット!?」


「親父さん、すごい。良く知ってるね?」


 店の親父さんは動揺している。


 「ミ、ミカちゃん…まさか従魔にしたのかい…?」


「はい、トフィーです!」


「ミカちゃん…それがどれほどとんでもないことかわか…いや、わからないよね…。」


「…??」


「ミカちゃん、もうミカちゃんの将来は約束されたも同じだよ…フォーチュンラビットのもたらす幸運は、生涯で一度受けられるかどうかのものを常にもたらすって言われてるんだ…。とんでもないことになるよ…いや、何か特別な子だとは思っていたけど、ほんとにとんでもない子だよ。」


「…え、えっーー!?トフィーってそんなにすごいんですか?」


「そうだよな、知らなかったんだね。ああ、とにかく余り人に知られないようにすることだね。見つかったらミカちゃんも無事じゃ済まないかもしれない…そのくらいとんでもないことさ。そう、トフィーって名前をつけたのか、神獣様、ミカちゃんをよろしく頼むよ。まあ、俺は見なかったことにするさ…いや、それで素材の買い取りかな?」


「は、はい…お願いします。」


「了解だ…えっと、ワイルドディアの皮に角…ハイドラビットの皮が12と、相変わらず綺麗な状態だね。それじや…。」


 親父さんが魔物の素材を整理していると、コロンと何かが落ちる。石のようだった。ハイドラビットの皮から落ちたようだった。

 赤く光る綺麗な石だ。


 「 親父さん、これ…。」


「うん…って!これルビーだぞ!そっか、ハイドラビットがカーバンクルになりかけていたのかも知れないな。早速フォーチュンラビットの恩恵か、ほんとにとんでもないな。」


  親父さんの話では、数多いるハイドラビットの中で、極一部のものが進化することがあるとのことだった。もちろん殆どのハイドラビットはそのまま進化することは無いけど、極稀に進化する個体が存在し、カーバンクルになる。カーバンクルは別名宝石獣と呼ばれ、その体にルビーを宿すらしい。


 「うーん…小さいがルビーが出てきたとなりゃあ、ちょっと金額が変わるね。そうだな、貴重な従魔を見せて貰ったお礼もかねて、金貨1枚と銀貨30枚でどうかな?」


「………。」


「ミカちゃん、それじゃ少ないかい?」


「い、いえ…今までに聞いたことの無い金額でしたので…ちょっと驚いてしまって…。もちろん、それで構いません。」


「このルビーは宝石で、結構高値で取引きされるんだよ。もっと大きいものだったら、そうだな…金額10枚はくだらないだろうね。」


「き、金貨10枚…。」


 私は今まで金貨なんて手にしたこともなかった。銀貨数枚あれば不自由なく暮らしていけたからだ。


 「まあ、ミカちゃんにとっては大金だろう。失くすなよ、じゃあその金額で引き取ろう。」


「あ、お願いします…。」


「はいよ、ちょっと待っててくれ。」


 私はトフィーに話しかける。


 「ト、トフィー…あなたの力ってもしかしてとんでもないものなの?」


『うーん、まあこんなのは当たり前に起こると思います。だからミカ様に言ったじゃないですか、国賓級の扱いを受けると。』


「い、いや…なんだか怖くなってきたよ…。」


『ミカ様、大丈夫です!そのうち慣れます。』


 トフィーとそんな話をしていると、親父さんが買い取り金を持って来た。


 「はい、じゃあこれ。もしうちよりもいいものを買いたいなら、少し遠いが西のガンドランドに行ってみな。あそこは職人の街だから、いろんな物が手に入るよ。いい物もたくさんある。少し高いかもしれんが、フォーチュンラビットがいれば手に入らない物はないさ、なんてな、ハハハ!」


「あ、ありがとうございました。」


「はいよ、またよろしくな!」


 私は金貨と30枚の銀貨を皮の袋に入れる。こんな大金を持ったことは無い。少し足に力が入らなかったが、気を取り直して店を出た。


 「トフィー、あなた人目につかない方がいいんじゃない?」


『そうですか?ではこんな感じになりましょう。』


 トフィーはそう言うと、白い姿に変わる。見た目は普通のハイドラビットのようだった。


 「すごい、へぇートフィーはそんなこともできるんだね?」


『はい、幻影魔法のようなものです。私にはこの程度のことしかできませんが。』


 「じゃあ、人目につきそうな場所ではその姿でいてくれる?」


『わかりました!』


「よろしくね、それでこの後は…私、水晶の砦に行ってみる。」


『ミカ様、大丈夫なのですか?』


「うん、聖母神様が行けって言ったのだから、私は行くべきだと思うんだ。少し怖いけど…。」


『大丈夫です、ミカ様には私がついています。』


 「 ありがとうトフィー、私もやるだけやってみる!」


私はトフィーの頭を撫でる。いつもと違う白い体も可愛く感じられた。


 思いがけず大金を手に入れた私は、村で食事をとることにした。宿屋と酒場を兼ねた場所に行く。この村では食事できる場所が多く無かった。私も何度か入ったことのある店だ。


 「こんにちは。」


「あら、いらっしゃい!確か、ミカちゃんよね。ルクス様が何度か連れて来てくれたわね。そうそう、ルクス様は残念だったわね、ここに来て良くあなたのことを話していたわ。」


人懐っこい猫獣人の女将さんが温かく迎えてくれた。


 「女将さん、丁寧にありがとうございます。師匠も感謝していると思います。」


「あらあら、本当に良くできた子だよ。それで今日は食事?」


「はい、今日魔物の素材を売りに来た帰りです。それとこの子は従魔のトフィーです。」


「あら、可愛いハイドラビットね。じゃあその子用にも何か出してあげるわ。今日のメニューはシチューだけどいいかしら?」


「はい、お願いします。」


トフィーがハイドラビットと思われたのに少し安心した。私はふと、パランのことを思い出した。女将さんに聞いてみる。


 「そう言えば女将さん、白虎のパランって覚えてますか?」


「パラン君?…えっと、もう 何年も前に村を出て行ったのよね。ご家族で…確か、リサイゴス王国に移住するとか言ってたような気がするわ、あんまり確かじゃないんだけど…そうよね、パラン君も一緒に修行してたのよね?」


「はい、そうです。そうですか、リサイゴス王国に…ありがとうございます。」


「いいえ、いいのよ。じゃあ用意するからちょっと待っててね。」


そう言って女将さんは厨房の方に向かった。


 『ミカ様、ラパン様とは兄弟弟子なのですか?』


 トフィーが聞いてくる。


 「うん、短い間だったけど、一緒に修行した仲間で私の初めての友達だったの。元気ならいいんだけどね。」


『きっとまたお会いできますよ。』


 「もしかして、それもトフィーの力?」


『いえ、きっと縁がある…そんな気がしただけです。』


「そうだよね、きっとまた会えるよね。」



 そんな話をしていいると、 女将さんが食事を運んできた。シチューのいい匂いがした。私はお腹が減っていたのを思い出した。




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