表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀鞭の魔術師 〜最強魔術士かく戦えり〜  作者: ide


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/69

第四十九章 クレアマシスの返事

クレアマシスからの返事が来たのは、三日後だった。

カリナが水晶球の前から戻ってきた時、その顔がいつになく真剣だった。

「クレアマシスはなんて?」

ミカが聞くと、カリナは縁側に腰を下ろした。

「やっぱりテラの祝福で間違いないそうじゃ。それも、かなり強い」

「アポロスの祝福より?」

「そうじゃな。アポロスの祝福は召喚の際に付与されたものじゃろうが、テラの祝福はそれより前からあったらしい」カリナは少し間を置いた。「エリカちゃんがこの世界に来る前から、すでに選ばれておったということじゃ」

ミカは息を呑んだ。

「生まれつき、ってこと?」

「クレアマシスもそう見ておる。テラは滅多に人に祝福を与えない神様じゃ。何百年に一度あるかないか、という話でな」カリナはお茶を一口飲んだ。「それがあの小さな子に宿っておる」

縁側の向こうで、エリカが畑に水をやっていた。小さなじょうろを両手で抱えて、一株一株丁寧に。ちょうど数日前に植えたカブの芽が、もう土から顔を出していた。普通より明らかに早い。

「芽が出るの、早くないですか」

「テラの祝福じゃろうね。エリカちゃんが育てるものは、きっとよく育つ」

ヴェロニカが静かに口を開いた。いつの間にか縁側に並んで座っていた。

「テラの教会は、ソロニスにある」

「そうじゃ。ソロニス南部の古い聖地に本拠を置いておる。教会といっても、あそこは静かな場所でな。禁術だの呪具だのとは無縁じゃ」

「テラ自身が、エリカに会いに来ることはあるんですか?」

ミカが聞くと、カリナとヴェロニカが顔を見合わせた。

「さあ、どうじゃろ」カリナは少し考えてから言った。「ただ、クレアマシスが一つ言っておった。テラはその祝福を与えた者の前に、いつか必ず現れるそうじゃ。時が来れば、な」

「時が来れば」

ミカは繰り返した。

エリカがじょうろを置いて、顔を上げた。土のついた手を見て、にこっと笑う。それからミカたちに気づいて、ぱたぱたと駆けてきた。

「めがでた!」

「本当だね、早いね」

「うん!」エリカは誇らしげに胸を張った。それからヴェロニカを見上げた。「ヴェロニカさま、みた?」

「見たわ」

「はやいでしょ」

「そうね」

ヴェロニカは短く答えた。でもその口元が、かすかに緩んでいた。

エリカはそれで十分らしく、また畑に戻っていった。

カリナがミカにそっと耳打ちした。

「テラのことは、今はエリカちゃんには黙っておこうかの」

「うん、そうしましょう」

時が来れば、テラは現れる。

それまでは、エリカには土と畑と、好きなものを育てさせてあげればいい。

朝の光の中で、カブの芽が風に揺れていた。

よろしければ、評価、ブックマークよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ