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光の中で見たもの




 「やっと会えましたね、ミカ」


  光の中の人影からそう話しかけられる。徐々に光が薄れて人物像がはっきりとしてくる。とても美しい女性だった。絹のような素材の乳白色のドレスを纏っている。髪は銀色で、瞳も同じ色だった。


 「…あなたは、いったい…?」


「その前に…私はあなたに謝らなければなりません…本当にごめんなさい…」


 そう言って私に深々と頭を下げる。


 「い、いえ、何のことかはわかりませんが、頭をお上げください…あなたが普通の存在じゃないのはわかりますので…私なんかに謝られても困ってしまいます!」


「…そうですね…それでは……私はユミルファ、聖母神と呼ばれています。」

「え、ええーっ!?申し訳ありませんっ」


 私は直ぐに片膝をついて頭を下げる。


「ミカ、良いのです。頭をお上げなさい」

「は、はい、しかし…」

「良いのです」


  私はゆっくり顔を上げる。ユミルファは慈悲深い笑みを浮かべこちらを見つめていた。


 「ミカ、良く聞いてください。あなたの母親レンを守れなかったのは、私が悪かったのです…彼女は私に自分はどうなっても構わない、そのかわりに娘には幸せな人生をと願っていました…。レンは不本意にこの世界に紛れ込んでしまった存在…その為、私にも救い出すことが困難でした。わずかな時間で命を落とす運命にあったのです…。何とか彼女と話す事が出来て、その時にあなたの事を伝えられました。」

「お母さんが…」

「ごめんなさい、私にもどうする事もできませんでした。そのかわりに聖魔法を授けました。レンは殆ど使うことは無かったようですが…私はレンと約束したのですが、ミカはルクスにしっかりと育てられていたのをずっと見ていました。健やかに育ったようですね?」

「あ、ありがとうございます」

「私の贈り物も届いたようです…」

「贈り物とは…もしかして、トフィーのことですか?」

「はい、あなたに幸運を届けました。そしてこれからあなたに聖魔道士の力を授けます。」

「わ、私に…ですが、私に聖魔道士なんて…」

「ミカ、良く聞いてください…あなたには様々なものをその目で見て欲しいのです。そして、その目で見た世界を、どうするのかを決めて欲しいのです…それが例え間違っていたとしても、あなたなら気がつけるはず…」

「わ、私になにを…」


 段々と辺りが暗くなっていく…


 「最後にあなたに力を、聖銀(サクト・アルジェンタム)を授けます。水晶の砦に向かいなさい………」


 『……カ様!、ミカ様!……ミカ様!』


 「!…トフィー…?」


『あーびっくりしました…何度声をかけても返事がないので…』


 「ごめん、実は…」


 私は光の中で見たことをトフィーに話した。トフィーは驚きながら、ステータスを見るよう伝える。


 「ステータス…」



ミカ(14歳)


職業:武闘僧(モンク)  聖魔道士:(レベル:1)

レベル:33

HP:988

MP:220000

サブジョブ:ハンター

レベル:35


契約従魔:ゴールデンフォーチュンラビット






 ステータス画面を見ると、確かに職業、聖魔道士と書いてある…。


 私が聖魔道士になることは決定事項だったのだろうか…

 聖母神様はそのつもりでいたのかもしれない。

 私はトフィーに話しかける。


 「トフィー、聖銀(サクト・アルジェンタム)って知ってる?」


『は、はい…とても珍しい金属で、布のように柔らかく鋼よりも硬い、聖属性と相性がいい…私が知ってるのはそのくらいです』


 「そう…ありがとう」


『それがどうしたのですか?』


 「聖母神様が、くれるって」


『な、なんと…やはりミカ様はやはりすごいお方だったのですね!』


 「わかんないよ…とにかくあの果物をとって、今日は帰ろっか」


『ミ、ミカ様…そこに…』



 トフィーが見る方向に目を向けると、何故か大量の果物がそこに置いてあった。山ブドウのようで、少し違う。銀色に見えるブドウだった。


 「そうそう、このブドウっぽいやつ。あれ、これも神様からの贈り物なのかな?ま、いいか!これを持ち帰ろう!今食べる?」


『はい!』


私はブドウの房を一粒とってトフィーにわたす。私も一粒パクリと口に放り込んだ。



 『甘いーーー!』

 「甘いーーー!」



 聖母神ユミルファに頂いた果物は、とても甘く水々しかった。


 サクト・ウーバ…頭の中で声が聞こえた。きっとこの果物の名前なんですね、聖母神ユミルファ様、いただきます!



 



 

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