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トフィーとの出会い



 師匠が亡くなり3ヶ月が過ぎた頃、私はこの先のことを考えていた。

 もともと3ヶ月の間は喪に服すつもりで庵にとどまるつもりでいた。

 

 この先私はどうやって生きて行けば良いのか、庵を出て違う生活をするべきか、そんなことを考えて過ごしていた。


 考えながらいつもの狩り場に向かう。狩りの腕前も数年前とは比べ物にならないほど上達している。

 今では以前師匠がやっていた、気弾で獲物をとることもできるようになっていた。


 そこで私は珍しい魔物に出会った。


 庵のある山腹から少し下った場所に、岩場だが開けた場所があった。そこで良くハイドラビットを狩っていた。

 ハイドラビットは岩場の周りに巣穴を作って生息している。繁殖力も強く、よほど取りすぎない限り、生息場所が変わることはない。魔物の類ではあるが、他の生物を見ると争わずに逃げる事が殆どだった。

 この山あいに住んでいる私にとっては、ありがたい食料であり、毛皮などもそれなりの価格で引き取って貰えるので、生活する為に不可欠な存在だった。


 そんなある日、私は不思議なハイドラビットを見かけた。

 全身が金色のハイドラビットだった。白や茶色のハイドラビットは普通に見るが、金色のハイドラビットを見るのは初めてだった。

 その姿は他のハイドラビットとは違い、美しく、神々しさまで感じた。


 その金色のハイドラビットが、何かに追われている。

 金色のハイドラビットの後ろから追いかけているのは、狼の魔物、ハンターウルフだ。


 私は金色のハイドラビットを助けなければならない、不思議とそんな使命感が湧き上がってきた。

 考えるよりも早く体が動いていた。

 ハンターウルフは群れで行動する。陣形を作り、群れで獲物を追い詰め狩るのが普通だ。

 しかし、今は一匹しかいない。はぐれだろうか?


 私は身をかがめながら、素早く動く。距離を定め一瞬の間に距離を詰める。

 

 ハンターウルフの前足が金色のハイドラビットに届きそうな瞬間を狙い、必殺の蹴りを繰り出す。

 ハンターウルフは何が起こったのかわからないまま岩場から数十レグ離れた崖へと落ちて行った。


 私は崖に落ちたハンターウルフを確認してから、金色のハイドラビットの方を見る。

 もう逃げたかと思ったが、どうやら怪我をした状態で無理に逃げていたのか、割と近くで倒れているのを見つけた。呼吸は激しく、苦しそうだった。


 私は金色のハイドラビットを治療する為に連れて帰ることにした。

 

 庵に着き、金色のハイドラビットの状態を確認する。

 後ろ足と体にも数か所傷があり、体力も消耗しているように見える。


 私は長椅子をベッドのようにして、布を敷き、ハイドラビットを寝かせた。苦しそうに見える。

 私は武闘僧モンク)の技のひとつである、チャクラでの治療を試みた。

 

 人以外に効果があるかはわからないが、薬が効くかもわからない。

 「大丈夫、必ず助ける…。」

そう呟きながら、自分の(プラーナ)をハイドラビットに送り込む。

 暫く治癒を続けると、ハイドラビットの傷が塞がっていく。

 少しづつ呼吸も穏やかになっていくのがわかった。


 私は全ての傷が塞がったのを確認して、チャクラを止める。


 疲れがどっと押し寄せてきた。少し穏やかになった金色のハイドラビットの様子を見ながら、私も安心してウトウトしてしまった。


 数時間がたったのだろうか…私が目を覚ますと長椅子の上に金色のハイドラビットの姿は無かった。


 私は少しがっかりしたけど、元気に帰ったのがわかって安堵した気持ちの方が強かった。

 

 いつの間にか太陽が、オレンジ色に辺りを染めていた。私は夕食の準備をはじめた。

 すごくお腹が空いていると思ったら、昼食を食べていないのを思い出した。




 翌日、再び狩り場を訪れる。

 昨日の金色の子はさすがに見当たらなかった。


 何となくハイドラビットを狩る気がひけ、他の魔物を狩ることに決めた。

 

 もう少し奥に進めば、ワイルドディアや、ワイルドボアもとれる。

 岩場から奥の森の方に進む。気配を消し、静かに森に溶け込む。


 身を潜め待っていると雄のワイルドディアが近くに現れた。

 

 私はワイルドディアが警戒を緩めた瞬間を狙い、素早く体と後頭部を狙い突きを放つ。

 ピギっとうなったワイルドディアは、その場に倒れた。

 

 私は素早くワイルドディアの血を抜き、その皮を小刀を使って剥ぎ取っていく。


 血抜きが終わると、仕留めたワイルドディアを担いで庵に向かう。


 その帰り道、少し離れた場所から金色のハイドラビットがこっちを見ているのに気づいた。 

 私は嬉しくなって思わず声を掛ける。


 「良かった、元気になったんだね!また会おう!」


 私がそう声をかけると、理解したのか、ハイドラビットはその場を去って行った。


 その後も何度となく、狩りのときに金色のハイドラビットは私に姿を見せるようになった。

 狩りに行かない日は庵にまで姿を現すほどだ。


 私は嬉しかったので、金色のハイドラビットに名前をつけることにした。


 トフィー…古い言葉で「 幸運」を意味するトフォルからとった。

 我ながらいい名前だと思う。


 私がトフィー、と呼ぶと金色のハイドラビットは私の方に向かって走って来た。


 すると私の頭の中に声が響く。


 『やっと名前をつけてくれたのね、御主人様!私はトフィー!とても素敵な名前をありがとう』


 私は一瞬パニックになった、でもこの声はトフィーの声…なの…?



『ええ、そうよ。私はあなたの従魔になったの』

「従魔?…従魔って何?」

『…うーん、御主人様は何も知らないのね…私はあの日、御主人様の治療を受けた時、御主人様の一部を頂いてしまったの…それで私が名前を貰った時点で契約が成立したのよ。でもどんな魔物でも契約できる訳ではないのよ、魔物の意思が一番重要なの!

もちろん私は御主人様の下僕になりたかったので、契約を受けたわ。あ、それから私は魔物ではなく、神獣ですわ』

 「し、神獣っ⁉」

『そうです、私はハイドラビットではありません、神獣族でフォーチュンラビットなのです!私に出会えるだけでとても幸運なのです。それから従魔契約とともに特典が付与されます!まず1つ目は、御主人様、ステータスとおっしゃっていただけますか?』

 「ス、ステータス??」


すると突然私の前に、何やら不思議な画像が現れる


 「な、何?何なのよこれ??」

 『これが今の御主人様の能力です』



ミカ(14歳)


職業:武闘僧(モンク) ???

レベル:33

HP:988

MP:220000

運:∞

サブジョブ:ハンター(レベル35)

従魔契約: トフィー[ゴールデンフォーチュンラビット]


従魔契約特典:①幸運…運の能力値が無限になります

      ② 超強運…全てが良い方向に向かいます






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