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014 神々ノゲーム

 「あんた、化け物だな……」


 「そっちも同じくよ……一体何回死を味わえば壊れるんだぃ?」


 「とっくのとうに壊れているよ。」


 2人が激闘を繰り広げること、30分は経過している。


 分身の放つ《《氷帝》》の氷柱や剣の飛び道具風の技を避けながらその黒刀で一体一体を斬ってゆく。


 その過程で、トーマに追加されたら能力の〈イサ〉が解除される一瞬が生まれていた。その一瞬をトーマは見逃すことなく、〈分身(アバター)〉を発動しまくる。


 この繰り返しである。


 〈イサ〉を解除させ、本体(ステラ)を自由にさせてまで、このパターンに追加しなければ成らないルールが何かしら存在する。


 そう考えるのが道理だ。


 そして、時間制限の無期を指す〈ウルズ〉を解除しない理由……1度無力化された能力が再び使えるようになったとしても、最大火力は出せない為である。走るとき、初速でいきなりトップスピードを出せないのと似ている。


 又は、時間制限というのは対象物への影響時間ではなく、術者自身が能力を扱える制限時間という可能性も捨てがたい。


 この場合、後者が最も有力だろう。


 「私のこの《《熾天使》》を持ってしても、ここまで苦戦したことは無い。素直に褒めてあげる。」


 「お姉さん系はもう間に合っているんだよね。」


 「ありがとうございますでしょう。」


 「ところであんた、〈イサ〉だっけ?ちょいちょい解除してくれてありがとうさんよ。」


 「〈イングズ〉……。」


 「〈イングズ〉……?」


 「そう。君を1秒でも自由にさせられないから時間がかかってしまったわ。ゲームは好き?」


 2人して動きを止める。


 「ゲームだって?」


 「私の最強の技よ。君をこの手で消すのも悪くは無いけど、上からのお達しなのよ。」


 「『オベリスク』か……」


 「察しがいいわね……君と君を中心に広がる仲間という認識している者全てをリンクさせたわ。そして〈ウィアド〉……神の意思。」


 「嫌な予感がするよ。」


 「ルールにより、この世界に別の1つの世界を、空間を創造した。そこに君その仲間を放り込む。」


 「なるほどね、檻……という訳か。」


 トーマは焦りをみせはじめると同時に1歩ずつ、ゆっくりと下がりだす。


 「無駄よ、ルールは既に追加されたわ。何処に居ようとも適用される。」


 「でもさ、檻の生成プラス制限時間。あんたはそれで木偶の坊……僕も仲間も能力が使えちゃうよ。」


 「それは違うよ……〈分身(アバター)〉。」


 彼女は4体の分身を創造して見せた。その分身能力は不慣れなようで、顔や身長、バストのサイズにも微妙に違いが見える。


 「うん……?なぜ消えないの?」


 「分身はあくまで別人格。君の分身をまとめて消せなかったのと同じく、それぞれが別の人間としてカウントされてしまうわ。私の分身も例外では無い……私の意思では消えないし、それぞれが2つのルールを扱えるのよ。」


 苦笑いを浮かべるトーマである。


 「そんなん有りかよ……」


 「言ったでしょう、お友達の《《智天使》》の上の能力と。9つの天使の能力のうち、《《熾天使》》はその頂点ですわ。」


 「そこまでして《《智天使》》が欲しいんだね。」


 「そうね、でも理由は知らないわ。そして安心して頂戴、君の《《氷帝》》、帝の能力らも希少で欲しがられているわよ。」


 「安心できる要素0だね……」


 「では……」


 「待って!!」


 「うん?命乞いかい?」


 「ゲームと言ったよね。ということはクリア方法はあるんだよね?」


 「私をここまで楽しませてくれたお礼よ。一つだけ、ルールに抜け道を追加あげる。クリアできるものならしてみなさい……では、ご武運を……〈カノ〉。」


 澄んだ空の下、彼女1人だけがそこにポツンと立っており、トーマの姿は見当たらない。


 別の空間に飛ばされたのである……


 「にしても、血を流すなんて初めてだわ……」


 激戦の中で微かにトーマの攻撃は当たっていたらしく、横腹から流れる透明感のある赤い血が流れる中、手で抑えていた。


 無限に増殖するトーマを制圧しながら戦って傷1つで済むとは、神の所業だ。


 「エロイ・センレイ……」


 場所はうつり……………………


 そこは真っ白な空間。陰ができない位に全方位に眩しい光が反射している。不思議と暑くはない。


 「はじまったか……」


 白っいなぁ!01(ゼロワン)達はどこかな。


 「あ、居た!!」


 「トーマ……?何よこれ。」


 振り向くとそこには寝ている02(ゼロツー)と膝枕をしている01(ゼロワン)の姿。


 そこに身を運ぶトーマ。


 「色々あって、『オベリスク』の幹部女と揉めちゃって……ごめん、ヘマをした。」


 「馬鹿馬鹿しい……死んだかと思ったじゃん、馬鹿馬鹿馬鹿!!」


 彼女はトーマの胸に強く手のひらで叩く。涙目で何度も……


 「うん……ごめん。」


 「もうどこにも行かないで……」


 「うん……」


 「もう無茶しないで……」


 「ごめん……」


 「もう……もう……」


 「うん、わかってる……」


 トーマは01(ゼロワン)の後頭部に手を持っていき、額と額を力づくで合わせた。


 「大丈夫……ここにいる。」


 一方他所では……


 「感動の再開に涙候ぉ!」


 「いやぁん、もう離さないで!!」


 「ハッハッハ……おいお前ら、そこら辺にしとけ。オンエアになるで。」


 「「へーい。」」


 謎の男が、ボタンが大量に並んでいるデスクの緑に光るボタンを押した。


 するとそのボタンは赤く点滅しだす。


 そう、トーマらが閉じ込められたその空間は、配信されているのだ。何一つ不自由なく好きな物だけを食べて生きてきた、ふくよかな体型をした男女らがパソコン越しにトーマを観ている。


 ディープウェブというものである。ここでは、彼らの行動を観て楽しんだり、予想して賭けたりする。更には一定数のディープコインを支払った者には、1つ意見を導入するというシステムガ存在する。


 このシステムがこのゲームの醍醐味である。

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