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96. 歴史の講義

 またもや講義の時間だ。


 まあ留学っていう体だから、講義を受けるのは仕方ない。


 ならばオレの好きな講義を受けようじゃないか!


 ふははははっ。


 今回の留学で受ける講義もオレの独断と偏見で決めさせてもらった!


 これが権力というやつである!


 今日はこの世界の歴史の話だ。


 歴史は好きだ。


 その土地のことがよく知れるからな!


 新しい土地にいくなら、真っ先に歴史を調べるくらいだ。


 なら、この土地(せかい)のことも知らないとな!


 講義は面白かった。


 歴史の話をするとき、確実に出てくるのが魔法についてである。


 歴史は魔法とともに紡がれてきたといっても過言ではない。


 魔法とはもともと神が作り出したものらしい。


 人間が使う魔法のほとんどは、神の魔法を模倣したものというのが通説だ。


 神は2つ存在する。


 1つ目の神々。


 ヴァン神族。


 かつて人間の暮らす世界と密接に関わっていた神々である。


 そして、何百年前かに人間の世界から追放された神々である。


 ヴァン神族を信仰していたのが古代文明人であり、古代文明人はヴァン神族の魔法を使っていた。


 その一つが古代遺物(アーティファクト)と呼ばれるものだ。


 そしてもう一つの神々。


 アース神族。


 現代文明人が信仰する神々である。


 そして現代の魔法のほとんど(・・・・・・)はアース神族の魔法をもとにしている。


 現代人が古代遺物(アーティファクト)を読み解けないのは、そもそもの成り立ちが違うかららしい。


 かつて、この世界で起きた古代文明人と現代文明人の戦争。


 それは神々の代理戦争とも言われている。


 古代文明人側のヴァン神族と現代文明人側のアース神族。


 神々が人間を通して戦争を起こした。


 その結果、アース神族が勝利し、古代文明人が滅びた。


 かつてこの世界を支配していた古代文明人とアース神族が敗れ去ったのだ。


 と、いうのがこの世界の魔法の歴史らしい。


 ふむふむ、なるほどな。


 やはり歴史は面白いぜ!


 ちなみにバベルの塔は、アース神族が作ったものらしい。


 現代文明人はこのバベルの塔に保管された情報から、魔法を学び模倣し始めたんだとか。


 そのため魔法界で最も権威のある場所が、このバベルの塔となっているのだ。


 ここまでの内容を、教授が誇らしげに語っていた。


 ほうほう。


 歴史はやはり面白い。


 だがまあ、オレには浅い知識くらいがちょうど良い。


 オレは研究職には向いてないだろうな。


 歴史も好きだし、魔法はそこそこに好きだが、研究したいというほど好きではない。


 そもそもオレは伯爵だ。


 何かの職につく必要もないのだ!


 好き勝手に生きれば良いのだからな!


 ふははははっ!


 講義が終わり、与えられた部屋に戻る。


 オレの前でシャーフが得意げに胸を張っていた。


「まさか、全部奪ってくるとはな……」


 フレイヤの研究室にあるモノをほとんど奪ってきやがった。


 まじかよ。


 オレの予定では、少しだけ奪うつもりだったんだ……。


 まあいい!


 やつの大切なモノは奪えた。


 これでフレイヤの慌てふためく姿を見れそうだ。


 それが見られれば満足だ。


 ふははは!


 やはり、オレは悪徳貴族だぜ!


 人からモノを奪ったというのに、ニヤニヤが止まらないのだからな!


 これで準備は万端だ。


 やつの怒りの形相を見ようではないか!


 いや、待てよ。


 冷静になって考えよう。


 いま、ここでオレが行けば、オレが犯人だと伝えてるようなものだ。


 それは少しよろしくない。


 そうだ、ロストに行かせよう。


 こういうときのためのロストだからな。


「ロストはどうした?」


「もうすぐフレイヤと接触します」


 おっ、なるほど。


 よくわかっているじゃないか、シャーフ。


「でも、良いのですか? 彼一人で向かわせてしまって……」


「一人で行かせるのが良いのだよ」


「彼にも彼なりの理由があるようですね。

わかりました。アーク様がそう仰るなら間違いないのでしょう」


 そうだな。


 オレが言うことは間違いない。


 フレイヤから大切なものを奪うのも、ロストを身代わりにするのも、オレがやるなら間違いはないのだ!


 なぜなら、オレは悪徳貴族だからな!


 ふはははッ!


 あとでフレイヤの傷心した顔を見てやるぜ!


 楽しみだな!

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