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83. バベルの塔

 ふはははっ!


 三年といえばあれだよな!


 修学旅行!


 修学旅行なくして学園生活なし!


 そういっても過言ではない!


 だが、ひじょーに残念なことに、この学園では修学旅行がないとかなんとか。


 そんなの許せん!


 学園生活で修学旅行は必須だろう!


 枕投げで障子をぶち破るのがお決まりだろう!


 まあそんな幼稚なことはしないがな。


 フハハハッ!


 貴族のお遊びと言ったら、狩猟だろう!


 空飛ぶやつを撃ちまくる。


 シューティングゲームが最近のオレの趣味だぜ!


 でかい鳥を落としまくってたぜ!


 修学旅行がないのはいかんせん許しがたい。


 学園生活に面白みがあってもいいと思う。


 あって然るべきだ!


 よし、学園長に直談判してみるか。


 1年生のサバイバルのときは却下されたが、なぜかあれ以降オレの意見が通りやすくなった。


 これも権力か?


 ふはははっ!


 さすが伯爵!


 すべて思い通りに行くな!


 だが、さすがに遊びに行くといっても断られるだろう。


 オレには天才的な最強の愛ディーアがある!


 それは……研究機関への留学だ!


 バベルの塔、通称、塔というのは国随一の研究機関らしい。


 研究機関なら遊びではなく勉強のためという(てい)にできる。


 研究とかそんなに興味はないが、バベルの塔は一度登ってみたい。


 まあT大の赤門に行ってみたいとか、そういう感じのあれだ。


 学園と比較的近い場所にあるし、立地も問題なし。


 それにたしか、学園長は塔長と仲が良いらしいしな。


 よっしゃ!


 これで完璧な理論武装ができたぜ!


 学園生活の思い出作りに塔にレッツゴーだ!

 

 ということで学園長に直談判してみたら、想像以上にあっさり意見が通った。


「オレを留学先に行かせれば、あんたの目的も達成できるぜ?」


 みたいなことを言ったおかげか?


 どうせ学園長の目的は、魔法学園とコネクションを作ることだろう。


 自分の代で多くの生徒を塔に輩出したとなれば、学園長も胸も張れるだろうしな!


 その手伝いをしてやろうって話だ!


 なんか学園長も来ることになったが、まあそんなことはどうでもいい。


 留学メンバーを決める権限もオレに与えられた。


 ふはははっ!


 これだから権力者はやめられん!


 塔とは研究機関であり、いわゆる魔術大学のようなところだ。


 さすがに頭の良い奴らを連れて行く必要がある。


 羊のシャーフと馬のプフェーアトは決定だ。


 干支が近くにいないとオレの楽しみが減ってしまう。


 ちょうど年齢的に良さそうな二人を選び、学園に入学させたのは正解だった。


 だが、残念なことにふたりとも人間の見た目になっていた。


 少しショックだった。


 オレは干支のありのままの姿が好きなのに……。


 オレの大好きなもふもふが見られない……。


 まあ学園生活を無難に過ごすためだろう。


 ゆるそう。


 今回の留学には他の干支も連れて行くことにした。


 虎のティガーと申のアッフェだ。


 虎は「にゃー」とかいうアホだ。


 戦闘力は高いが、頭はからっきし。


 でもアホなやつほど可愛く見える。


 だから連れて行く。


 申は姿かたちを変える魔法使える。


 おそらく羊と馬の見た目を変えたのも申だろう。


 申は自分自身の姿かたちも変えてるせいで、見つけるのが難しい。


 魔力探知使っても、申を見破るのは不可能に近いからな。


 あれほど完成度の高い変装魔法は他に見たことがない。


 まあでも、使う場面なんてなさそうだけどな?


 演芸に使うぐらいか?


 修学旅行で何か芸を見せる瞬間があるかもしれんから、とりあえず申でも連れて行こうって感じだ。


 それに、申はプフェーアトやシャーフとも仲良さそうだし、連れて行ったもいいだろう。


「塔ですか。やはり避けては通れないのですね。

あそこには会わなければならない人がいます。決着を付けないといけない人が」


 プフェーアトがそんなこと言っていた気がする。


 どうやらプフェーアトの知り合いがいるようだ。


 どういうことだ?


 あれか?


 昔の彼氏か?


 まあプフェーアトは綺麗だ。


 過去に彼氏が一人や二人いてもおかしくないだろう。


 だからオレは


「ちゃんと会ってこい。そして、ちゃんと終わらせてこい」


 と言ってやった。


 すると、馬がなぜか決意のこもった目で頷いた。


 うむうむ。


 出会いと別れを繰り返して人は成長するのだぞ?


 あ、そうだ。


 そういえば、最近マギのやつどうしてるだろうな?


 マギって呼んだら怒られてから、今ではマギと呼んでる。


 まあ偽物って言われるのは、誰でも嫌だもんな。


 なんだかんだ言って、マギとはヴェニス以来ちょくちょく連絡を取り合ってる。


 よし。


 とりあえず、今回のバベルの塔に行くのをマギにも伝えておくか。


◇ ◇ ◇


 バベルの塔編。


 大きな被害が起きる回……というのはいつもどおりのことだ。


 原作では、被害が起こらないことのほうが珍しい。


 というより、被害がない回は存在しない。


 いつも誰かが、何かが犠牲になっていく。


 だが、バベルの塔編は被害の大きさはもちろんのこと、も主人公の内面に大きな影響をもたらすことで有名だ。


 もちろん、マイナス的な意味で。


 主人公スルトが初めて自分の意志で大勢を殺めてしまうのだ。


 殺すのは味方を含めて、だ。


 それはある意味合理的で、正しい判断とも言えた。


 スルトは良くも悪くも、その場の状況で己の行動を変えられる人間だ。


 だからといって、自らの意志で多くの者を殺めた結果に対して、納得できやしない。


 後悔と懺悔。


 スルトは苦しめられることになる。


 バベルの塔編もまた、救いのないシナリオ展開なのである。


 しかし、この世界にはアークがいる。


 バベルの塔にはアークが赴く。


 すでに原作が大きく変わっているのは言うまでもない。


 アークの介入によってバベルの塔編(げんさく)が大きく変わってしまうことはまた、言うまでもないことだろう。

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