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20. 歓迎

 今日は新入生歓迎パーティーがある。


 入学してから一ヶ月経っており、時期としては少し遅い気がする。


 まあ、どうでもいいが。


 オレはパーティーが苦手だ。


 オレよりも偉いやつらが集まるからだ。


 ただ今回のパーティーは所詮学生のお遊び。


 学生パーティーで集まる奴らなど、ほとんどがオレより低い地位だ。


 名実ともにオレより偉いやつはそうはいないだろう。


 平民共は端っこでもじもじしてやがる。


 はっ、お似合いだな!


 オレのような偉いやつがパーティーを飾るには相応しい!


 オレは堂々と飯を食いまくる。


 やはりパーティーの飯はうまい。


 何がうまいかって?


 こう贅沢していることこそが最高のスパイスだ。


 このパーティーは学費から払われている。


 その学費はオレの領地でせっせと働く領民共の税金から来ている。


 そう考えると最高の贅沢だろう。


 領民が必死に働いたお金で学園生活を満喫し、こうしてパーティーに出て豪遊する。


 フハハハハ!


 やはり貴族は良い!


 不平等を満喫できるのが貴族の特権である!


 オレが飯を食ってると、貴族も平民も関係なく、色んなやつらが話しかけてきた。


 まあ、こいつらの狙いはわかる。


 オレのような権力者に取り入ろうとってやつだろう。


 その証拠に思ってもいない称賛の言葉をオレに向けてくる。


 ハッハッハ!


 お世辞だろうがなんだろうが構わん。


 こいつらよりもオレのほうが上にいる。


 それがわかるだけでオレは満足だ。


 ロストとかいう生意気な金髪野郎もオレに話しかけてきた。


 こいつ見た目だけは貴族っぽいんだよな。


 もしかしてどこかの貴族か?


 まあその可能性はある。


 こいつもオレと同じように平民食堂で優越感に浸りたかったのか?


 だが、甘いな。


 オレは毎日のように平民用の食堂を使っている。


 もはやオレの食堂だと言っても過言じゃない。


 こんな金髪のエセイケメンなんかにオレの場所を取られてたまるか!


 オレはロストに牽制するように、こいつの皿に載っている肉を奪ってやった。


 ふはははは!


 他人の肉は美味いな!


「アーク君はお肉好きなんだね」


「肉は好きだが、それ以上に他人から奪った肉ってのがいい」


「ブハッ。アーク君でも冗談言うんだ」


 何がツボだったのかわからんが、金髪野郎は笑いこけてやがる。


 気味悪いな。


 関わらんでおこう。


 その後、公爵令嬢が話しかけてきた。


 オレにお礼を言ってきたが、別にお礼を言われるようなことはしていない。


 むしろ、憎まれるようなことはしたがな!


 こいつの目の前で優雅に魔物を倒してやった。


 そして盛大にマウントを取ってやった!


 きっと悔しかろう。


 こういうプライドが高そうなやつは、悔しく悔しくてたまらないはずだ。


 フハハハハ!


 金や権力だけがオレの武器ではないのだよ!


 公爵令嬢はオレに頭を下げてきた。


「アーク……。ありがとう。あのときは助かった」


 はーっはっは!


 オレの完全勝利だ!


 身分が上のやつを屈服させるのも、気分がいいな!


 メデューサとかいう、この学園の生徒会長もオレを称えていた。


 ハッハッハッ!


 生徒会長であっても、オレに気を使うとはな!


 やはり権力は最高だ!


 だがまあ、そろそろ疲れてきたな。


 うじゃうじゃと人が集まってきやがる。


 称賛されるのは嫌いじゃないが、お世辞を受け続けるのも疲れるものだ。


 オレはバルコニーに出た。


 そこでは赤髪の男がいた。


 この男はどっかで見たことがある気がする。


 そうだ、思い出した。


 魔物に襲われていた平民野郎だ。


 火傷顔(スカーフェイス)だから覚えていた。


 赤髪はオレに気づくと、眉を潜めた。


 なんだこいつ?


 平民のくせに感じが悪いな。


 まあいい。


 今日のオレはそれなりに気分が良いからな。


 見逃してやろう。


 赤髪と入れ替わりで女子生徒が来やがった。


 なんと第二王女だった。


 チッ。


 こいつとはなるべく関わらないようにしていたんだけどな。


 一応オレも王女には敬意を示さなければならん。


 まあ表面上だけだけどな。


「ここいいでしょうか?」


 王女がオレに聞いてきた。


 なんでオレに聞く?


 まあいい。


「ええ。どうぞ」


 オレは一礼してこの場を去ろうとした。


 王女と二人っきりなんて最悪な状況、まっぴらゴメンだ。


 威張れない相手と二人きりとか地獄だろ。


 だが、


「少しお話しませんか?」


 去ろうとするオレに王女はそうのたまいやがった。


 くそっ。


 そんなこと言われたら、応えるしかないだろ。

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