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181. コミュ障

 ふははははは!


 敵がわんさかでてきたな。


 本当にRPGのゲームのようだ。


 ん?


 なんかこれだと意味被ってないか?


 まあいいか。


 こいつらを倒してオレは財宝を手にしてやる!


「氷塊」


 黒いやつらの頭上に、でかい氷塊を作り出す。


 別に詠唱なんていらない。


 ただかっこいいから言ってるだけだ。


 そして落とす。


 どごーんと音とともに黒いやつらを蹴散らしていく。


 所詮、敵はただのモブ。


 オレの敵ではない。


 オレの敵を語っていいのは、あの巨大な竜くらいだ。


 雑魚狩りは嫌いじゃない。


 だが、


「あまりに弱すぎる」


 ゲームだってそうだ。


 ラスボス戦前の勇者が始まりの街でスライム狩ってるようではまったくの楽しさがない。


 そこそこ強い敵を圧倒的な力で粉砕していくのが楽しいんだ。


「オレを退屈させないでくれ」


 倒す。


 倒して倒して倒していく。


 蹴散らして蹴散らして蹴散らしていく。


 俺の前に立ちはだかるなら容赦はせん!


「ヒャッハー」


 叫びながら敵を奢っていく。


 ああ、この感覚は良い。


 昔、賊ども相手に暴れまわっていた感覚が蘇る。


 楽しいな!


 ふははははは!


 血が騒ぐ。


 昂揚する。


 オレは自分がまともじゃないことを再認識する。


 だが、それでいい!


 今のオレは前世のクソつまらない自分とは違う。


 最高の環境と最強の才能。


 好き放題やれる。


 それなら楽しもうではないか!


 この世界を!


「カミュラよ、楽しいな」


「この状況でも楽しめるとはさすがです」


「ああ、オレはいつだって愉しむぞ?」


 なぜならオレは貴族だからな。


 この世界はオレが中心に回っている。


 いつ、どんなときも楽しめる権利がある。


「財宝を見つけ出すぞ」


「財宝ですか?」


「ああ。ここには財宝が眠っているはずだ」


 上か下か。


 城の頂上か、地下か。


 オレの予想では上だ。


 上に行くほどに強い敵が現れ、それを倒すと宝がゲットできるはず。


 それがRPGというもの。


 ダンジョンの定番だ。


 よし、決めた。


 オレは上を探そう。


 その代わり、


「カミュラは地下にある財宝を探せ」


「かしこまりました」


 カミュラが恭しく頭を下げた。


 やはり頼りになる部下がいるのは良い。


 この城に眠る財宝をすべて手に入れてやるぜ!


 ふははははは!


 うじゃうじゃと湧く敵をおごっていく。


 ゲーム感覚で楽しめる。


 最高だぜ!


 ふははははは!


「ふぅ。いったん休憩するか」


 敵を楽しくおごっていたら、いつの前に周りが静かになっていた。


 あるのは物言わぬ死体。


 死体の山だ。


 他のやつらが見当たらない。


 一人になってしまったか。


 まあ別に一人でも気にせんがな。


 気がつけば、なぜか城の中に侵入していた。


「なにかありそうだな。秘宝の匂いがプンプンするぜ!」


 廊下の薄暗い感じとか、まさに財宝が眠るダンジョンだろ。


 オレの目はごまかせないぜ?


 古城を散策する。


 しばらく歩いていたときだ。


「アーク様」


 後ろから突然声をかけられた。


 振り向くと少女がいた。


 干支、丑のクーだ。


 いつも無口なやつで、ほとんど会話したことがない。


 何を考えてるかよくわからん。


 まあこいつに限らず、他の奴らが何を考えてるのか知らんがな。


 何を考えていようが無理やり従わせるだけだ!


「なんだ? クー」


「いいえ。私はアウズンブラです」


 え、なに?


 どういうこと?


 そういえばコミュ障って会話が唐突なんだよな。


 前世のオレも会話が得意じゃなかったからよくわかる。


 懐かしいな。


 生前、中学生の頃、オレはなかなか友達ができなかった。


 ちょっとだけこいつに親近感が湧いた。


 まあ今のオレは友達とか関係ないがな!


 なんたってオレは貴族だ!


 特権階級にコミュ力なんて関係ないのさ!


 ふははははははははは!

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