01. 魔女と聖騎士、宿命の戦い!
大地が激震し、黒雲に包まれた空が轟々としている。
「魔女め! 今日こそ永きに渡る因縁の戦いに決着をつけてやる!!」
「それはこちらのセリフだわ。凝り固まった正義を振りかざす聖騎士一族など、今日限り根絶やしにしてくれる!!」
金色のオーラをまとった聖騎士が、聖剣を振りかぶった。
その切っ先へと雷が落ち、目もくらむほどの輝きが起こった直後、奴の剣に凄まじい雷光が留まっているのが見える。
なんと恐るべき力なのか。
その力が私だけへ向けられていると思うと、寒気がする。
しかし、私とて魔道を極めた魔女一族の当主。
不倶戴天の敵である聖騎士一族の長には、何があろうとも負けるわけにはいかない。
「吼えろ、聖剣マグナストライカー! 今こそ邪悪の権化を討ち滅ぼす時!!」
聖騎士が叫ぶと、聖剣からほとばしる雷光がいっそう強まる。
すべての力を、聖剣に集中させているわけか。
次こそ奴の最後の一撃……ならば、私も受けて立つ!
「邪神アポフィス! 魔神テュポン! 妖神スルト! 三界の旧支配者よ、我が一族が究明せし魔道の極端たる最後の秘法を、憎き仇敵を滅ぼすために現界せよ!!」
漆黒のオーラに包まれた私の体が、重力に逆らって浮かび上がる。
さらに深淵の神々の魔力が、大地から天へと私の体を突き抜けていく。
聖騎士のオーラにも負けぬ闇の波動が今、私の手に!
今なら撃てる――私が編み出した一族最高の秘奥義を!!
「行くぞ、悪しき魔女め! 世界の破壊者め!! 我が一撃で混沌へと還れ!!」
「来い、愚かなる聖騎士よ! この世の理すら覆す我が力で、三千世界へと散るがいい!!」
天を割る長大な雷撃の刃と化した聖剣を、聖騎士が私めがけて振り下ろす。
かつてない一撃……!
だが、それがどうしたっ!!
我が渾身の全魔力で、貴様のすべてを撃ち滅ぼしてくれる!!
「うおおおおぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!」
「はああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
瞬間、光と闇が交わり――
「「これで、終わりだっ!!!!」」
――世界を包んだ。