第15話 極秘プロジェクト鳩電話
午後からは予定通り第一研究室の後ろの方にある研究を励むようだ。
俺達の班(ヤマダ、ニシカワ、ハタハラ、ナカムラつまり俺)は特異点物質設計班だ。
この前デューク先生が俺を呼ぶために使った鳩電話は正式には鳩電話1号らしく、学校設立以来の最高傑作らしい。デューク先輩は、アヤブさんに新人教育を依頼された際、この鳩電話を早速使う機会が出来て嬉しかったみたいだ。ちなみにこの現行型鳩電話1号は、今まであったベータ版での不具合をなくした完成版で、3年前に出来たらしい。
現行型の鳩電話1号には特異点物質を2つ使っているらしい。1つ目は鳩電話本体を異世界に飛ばすためのワープホールを作るため、2つ目は内部信号を通すために本体内部にある。
現在は現行型の鳩電話1号をもとにそれを進化させる、鳩電話2号機を作るための研究をしている。具体的には、送受信出来るデータ量の帯域幅を大幅に強化することらしい。そのためには、鳩電話内部に特異点物質を2つ作るのが手っ取り早いが、現行のままの設計でそのまま特異点物質を2つ実装すると、本体サイズが大きくなってしまい、ワープホールを通れなくなったりするそうだ。
また、ワープホール用の特異点物質は、データ転送用の特異点物質と違い、ワープホール用は一度に多くのエネルギーを消費するがその分ための時間が長いという特徴がある。データ転送用の特異点物質は持続的にONに出来るが、そのときにやり取りできる量は雀の涙だという差がある。
ただし、1号が出来てからもう3年も経ってることもあり、解決の目処はある程度経っているようだった。
今の現行型でやり取り出来るのは音声だけだが、いずれはデータの転送用も可能にするのが目標だそうだ。
ヤマダが喋る「そういえば、さっき教授が言ってた特異点物質って、どっから出てくるんだろうな」
サキ先輩「デュークさん曰くとーいとーい砂漠の中にある洞窟らしいけど」
ハタハラ、ニシカワ「先輩、こんにちは、」
サキ先輩「おう、よろしく、あたしも特異点物質班だからよろしく」
ハタハラ、俺「よろしくお願いします」
サキ先輩「あ、この前見学に来てた子じゃん」
俺「その節はどうも、」
サキ「いいよいいよ、そんな堅苦しいのは、みんなも普通に話してくれちゃっていいから」
ヤマダ「それで、サキ先輩は、実際どう思います?特異点物質の出どころについて」
サキ「そうだな、それはこの学部の一番の謎なんだよな。あたしの先輩たちもみんな知らないで卒業していったんだ」
こんな話をしているとデューク先生が来た。
「みんな、進捗はどうだ?先輩に教えてもらって、仲良く、良いものも作れるように頑張れ」
デューク先生が念話で俺に話してきた
「唯斗は、なんとなく特異点物質が誰が用意してるか想像つくだろうが絶対言わないでくれよ」
「分かってます、絶対言うわけ無いじゃないですか」
「よし、安心した」
サキ「出どころの話はまた後でにして、今はこの特異点物質研究班が何をやってるか、まずは軽く説明するね」
一同「はい」
「今やってることは、単純に言うと、特異点物質を効率的に基盤に配置して、従来型の1000倍の帯域幅を目指してるの」
ニシカワ「ふえー」
ニシカワさんはいろんな凄い技術に圧倒されているみたいだ
それじゃあ、今ある鳩電話2号機のプロトタイプがあるから、これを見てもらったら早いかな。鳩電話は、銀色の四角い箱10×15cm×20cmくらいに鳩の絵が書いてある。
ヤマダ「先輩、それってどうやって操縦するんですか?っていうかそもそも浮くんですか?」
サキ「そうね、特殊な専用のコンピュータを使って飛ばすみたいよ、飛ばすのは異世界観測班って言って、私たちの班とは別の班が担当してるからあんまり分からないの」
ヤマダ「それで、これってどうやって飛ぶんですか?」
サキ「あ、これって言って良いんだっけ?まあ、いずれ分かることだし、中に極秘の座標移動モジュールっていうのがあってそれを使うと自由に移動出来るみたいよ」
ハタハラ「それって反重力みたいなものなんですか」
サキ「いや、それともちょっと違うみたい。重力が無い場所でもある場所でも自由に動き回れるみたいよ」
ヤマダ「特異点物質もそうだけどこんなの世の中に流出したら絶対ヤバいやつじゃん」
サキ「だからここでの内容は絶対に他言無用だからね」
一同「分かった」
サキ「さ、本題に入りましょ。最近この鳩電話2に大きな進展があってね、私の同期のヒナちゃんが最近考案した極小ワープホールって方法なの。従来の方法だと、鳩電話内部の特異点物質に直接信号を当て、もう一つの鳩電話にデータを送るというものだったんだけど、鳩電話で作ることが出来るワープホールを常に開けさせて、そこに今の通信で使われている光ファイバーケーブルを通すという作戦なの」
なんともシンプルだがこういった古典的なアイデアが案外うまく行くのかもしれない。
サキ「でもこの方法だと欠点があって、従来の方法だと理論上複数の世界に同時転送出来るんだけど、この方法だと2つの世界しかつなげることが出来ないの」
俺「それで、その穴を開けるのはかなりのエネルギーを消費して大変なんじゃないの?」
サキ「それもそうなんだよね」
ヤマダ「連装ミサイルみたいに、特異点物質を沢山付けたらどう?」
サキ「現状取れる方法はそれだけね。だから、今年私達がすることは、その小型ワープホールの制作と、特異点物質の装置の小型化を目指しましょう。」
一同「分かりました」
知識ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
特異点物質とは、特殊な触媒と接触することにより、時空を捻じ曲げることができる物質。一つの特異点物質は分割すると、世界を跨いだとしても物質の兄弟性は維持しており、片方で取得した情報はもう片方に瞬時に反映される。このような特殊物質の制作はデュークが得意としており、異世界総まとめの総世界に対してのインパクトが大きすぎるため創造神の生みの親、アヤブは密かに監視している。第一研究室の黒板の裏が特殊コードを入力することで開くようになっており、その奥深くで厳重に保管してある。また、鳩電話及び特異点物質に関する知識は守秘義務があるという。
ニシムラとの表記揺れがありましたが、正確にはニシカワです。




