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【完結】愛されることを諦めた私に愛を教えてくれたのは、愛を知らない冷酷公爵様でした  作者: るあか


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31話 考察-オスカーside-

 今日の任務はアーレンス領との境付近に蔓延る魔物の討伐。

 アーレンス領はここ数ヶ月で魔物の量が圧倒的に増えた。

 そのためこのシュナイダー領にも流れてきて、こちらの量も増えている。


 魔物は“黒い地脈”から湧き出る“黒い気”が具現化した化物だ。そして人々の魔力に反応して寄ってくる。

 奴らは意思などは存在せず、ただただ本能的に人々の魔力を食らわんと行動する。


 町や城など人が住む場所には結界が張られているため湧き出てしまうことはないし、門を突き破って中に入ってくることもない。


 ただそれは、魔物に至っての話。

 黒い地脈自体の暴走となると、結界なんてものは何の役にも立たなくなる。


 過去に遠くの地で黒い地脈が暴走したという噂を聞いたときは、一気に大量の黒い気がその地を埋め尽くし、その場にいたものは全員それを大量に吸い込んでまるで魔物のように、そしてゾンビのようにその地を徘徊し続けたという。


 やがてそのゾンビ共は共喰いを始め、数が減ったところで後々駆け付けた討伐隊により駆除されたそうだ。

 つまり、そうなってしまうともう助かる術はない。しかも魔物のような討伐対象となる。


 帝国の技術は発展をし続け、今や黒い地脈の動きはある程度予測ができる。

 そのため近年急速に活動が活発になってきたアーレンス領の黒い地脈の暴走を止めるため、その原因であるアーレンス城を制圧した次第だ。


 だが、ただ制圧をしてアーレンス領を帝国の支配下に置いただけでは事は解決しなかった。

 不本意ながらもフローラがこちら側に来てしまったがために、それまで彼女の加護によってかろうじて保たれてきた情勢が崩れさってきたのだ。


 向こうが勝手に押し付けてきただけの話だが、アーレンス領の国民には少々災難だったと思っている。

 いっそ完全にアーレンス王家を消滅させて帝国領にしてしまえばいいのに、皇帝陛下はあくまでアーレンスの自治を尊重している。


 良かれと思ってやっているのだろうが、今回ばかりはそれが裏目に出てしまっているようだ。


 だが、それももう後少しの辛抱だ。直にアーレンスの地下で黒い地脈が暴走をし、アーレンス王家は消滅をする。


 俺はそんな考え事をしながらも辺りの魔物を一掃し、愛するフローラの待つ屋敷へと帰ることにした。



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