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【完結】愛されることを諦めた私に愛を教えてくれたのは、愛を知らない冷酷公爵様でした  作者: るあか


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21話 綺麗な身体

「悪いがもう待てん。少し大人しくしていろ」

「だ、ダメなんです……! 私……こんな身体を見られたらオスカー様に嫌われてしまいます……!」


 私は自身の傷だらけの身体を思い出し、涙ながらオスカー様へと懇願する。

 しかしオスカー様は優しく微笑むと、私のネグリジェの裾を大きく(まく)し上げ、私の太ももを露出した。


「あぁ、もう、おしまいです……。オスカー様に嫌われてしまいました……」

「フローラ、よく見てくれ。俺には綺麗な身体に見えるのだが、どこが“こんな身体”なのか教えてくれるか?」


「……あれ?」

 薄暗い中目を凝らしてみると、確かにあったはずの傷痕が全くなくなっていることに気付く。

 露出された太ももは、どこを見ても白く細くスーッと透き通っていた。


「あ、あれ? あの、確かに古い傷痕がたくさんあって……それで、自分の身体を見るのが嫌になって、ずっと、目をそらしてきたのですけど……」

 私が困惑していると、オスカー様はふっと吹き出した。


「フローラ、綺麗な身体だ。ということで、もう待てないから大人しくしていてくれ」

「あっ、オスカー様っ……!」


 彼に全てを脱がされても傷痕は全く見当たらず、私は安心して全てを委ねる事ができた。


⸺⸺


 翌日。

「……ローラ、フローラ、起きてくれ」

「うん……?」

 名前を呼ばれて目を薄っすらと開くと、オスカー様のたくましいお身体が視界いっぱいに広がる。


「わっ、わぁぁぁっ!?」

「そんなに驚かなくてもいいだろう。フローラ、おはよう」

 彼はそう言って軽く口づけをしてくる。


「おはようございます、オスカー様……」

「ちゃんと一緒に寝たことを分かってもらいたくて、起こさせてもらった。眠かったら、もう一度寝てくれ。俺は、仕事の準備があるから起きるぞ」


 オスカー様はそう言ってパンツ一丁でベッドから這い出ると、ベッドの横にあるクローゼットからお洋服を取り出し、私の目の前で着替え始める。

 わぁ……オスカー様の生着替え……。なんて艶めかしいのだろう……。


「オスカー様、毎日こうやって起こしてくださいますか?」

「お前が望むならそうしよう。寝る時も、これからはなるべく早くこの寝室へと入るようにする」

「はい、嬉しいです……」

 私は鼻まで布団を被り、目元だけを出して彼を見てうっとりしていた。


「……朝食までには布団から出てくるのだぞ? 一緒に食べるからな」

「はい!」


「では、俺は先に部屋に戻らせてもらう」

「はい」


 オスカー様がお部屋に戻られたところで、私も下着のみの姿で布団から這い出る。

 レースのカーテンから差し込む朝日に照らされて、先程までオスカー様が使っていた姿見に自分の全身が映し出される。


「嘘……本当に、どこにも傷痕が……あら?」

 古い傷痕はどこにもなかったけど、胸元に赤い虫さされのような痕がいくつもついていることに気付いた。


「な、何かしらこの痕……! まさかこんな身体をオスカー様に見られて……!? ば、ばあやー! レベッカー! 大変ですぅ!」

 私はサーッと青ざめると、下着だけの姿で自分の部屋へと飛び込んだ。



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