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プロローグ

沢山の異世界転生や転移小説や漫画を見ていて、神様から主人公が能力をもらったりしていますよね?

自分は昔から“日本刀”“武術”“流派”“侍”ってのが大好きでふと考えたんです。

“侍”それも幕末を生き抜いた侍は、果たして異世界でどの様な生き様を魅せるのかと。

そしたら書いてました!

と言うことで読んで頂けると幸いです!

時は、1868年10月日本は福島県。

新政府軍と旧幕府軍との交戦により“戊辰戦争”真っ只中であった。

当時の江戸幕府15代目将軍徳川慶喜の大阪から江戸への移動により旧幕府軍は隙をつかれ、総崩れの一途を辿りはじめていた。

戦場の会津一帯には火の手が上がり、地上には亡骸と血肉が悪臭を漂わせる。


「怯むなぁ!進めぇ!幕府軍を討ち取れ!」

「新しき夜を開けぇ!進軍せよぉ!」


新政府軍の士気は下がることを知らず吹き出す釜のお湯の様に勢いを増していく。

誰もが交戦する中で、ひときは目立つ二人の男が刀を交えていた。

一人は、黒い袴を身に纏い剣を振るう左利きの侍。

何を隠そうこの侍こそ、誰もが知る新選組三番隊組長斎藤一である。

一方、赤黒い袴を身に纏い背中には1輪の菊文様が目立つ侍。

────剣客 名を坂口諒乃介(さかぐちりょうのすけ)。後の佐々島刀侍郎(ささじまとうじろう)である。

彼がこの先、この物語の主人公として不思議な経験をする事は彼自身知る由もない。

互いの剣は幾度と交わり、刀特有の金属音が響き渡る。


「はぁ…はぁ…、坂口…お前…俺達新選組を裏切るつもりか……!」

「はぁ…はぁ…はぁ……、“裏切る”つもりは毛頭無い……っ!だがしかし…この機会、捨て去るには勿体なし……。はぁ…はぁ…吾は、御主等と共に剣を高められた事、誇りに思うっ!」


斎藤は、剣を構え苦笑いを浮かべる。


「お前は、つくづく食えない男だ…」


そう言うと、斎藤は燃え盛る家屋の柱を刀で斬り倒す。

支柱を失った家屋は、次々と崩れ瓦礫となり刀侍郎を襲う。


「…っ!なんのつもりだ!斎藤殿ぉ!」

「何つもりもねぇんだよ…はぁ…はぁ…お前と死合うのは悪くはないが…今はお前に構っている暇は無ぇ……」


斎藤は、燃え盛る戦場にその姿を消していってしまう。


「斎藤殿ぉ!まだ!まだ、決着はついておらぬぞ!ゲホ…ゲホ…くっ…吾は、まだぁ…………」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

至る所から瓦礫が崩れてくる音で佐々島の声は斎藤に届く事はなかった。


「はぁ……はぁ……勝ち逃げとは…参ったのぉ……。……………………。だがまずは、この戦いを生き抜かなければ…」


坂口は、己の欲を抑え戦場へと戻るのであった。

そして、1869年戊辰戦争は終わりを告げ新時代“明治”と変わり新たなスタートを迎えるのであった。

しかし、明治政府は過去の隠蔽を図る為旧幕府軍の元新選組斎藤一を始めとした者達を監視下におけるように政治を進めていった。

そんな中、政府はその隠蔽の一つとして佐々島刀侍郎の暗殺命令を企てていた。

一方、坂口は自身の最寄りの道場にて自身の剣術の鍛錬に勤しんでいた。


「ふぅ…泰平な世でも己の剣術を磨けるのならば悪くはないかもしれぬな…っと、日も暮れておったか…いかんそろそろ帰らねば…」


帰り支度を素早く済ませ道場をあとにする。

すると、一人の門下生が近寄る。


「佐々島先生、お帰りになられるのですか?」

「あぁ、いつも道場の鍵を任せてしまい済まぬな。」

「いえ!佐々島先生に指南してもらえるならこれぐらい問題ありません!」


門下生の発した名前、佐々島刀侍郎。

坂口諒乃介は、自身の名前を変え今は佐々島刀侍郎として生きていた。

当時、名前を変えることはそれ程珍しい話でもなかった。

新選組の斎藤一は“藤田五郎”と名乗り警官をしていると言う話もある。

そして、1878年冬。

自身の家でくつろぎうたた寝をしていると、三人の怪しき影が坂口の家に入っていった。

佐々島は、ふと何者かの気配を感じ直ぐに臨戦態勢へと入る。


(一体、誰ぞ?人の家に無断で踏み入る輩は…確か近頃、吾の事をかぎ回る者がこの近くを彷徨いておると話は聞いておったが…まさか…。)


刀侍郎の勘は、最悪な状態を当ててしまった。

三人は家の中をそれぞれ探していたのだろうか、ほぼ同時に四方を囲むように現れ、刀侍郎を囲むかのような状況になってしまった。


「佐々島刀侍郎だな?調べにより坂口諒乃介と分かっている。」

「御命頂戴いたす。」

「覚悟。」


三人が佐々島へ刀を振りかざす。

絶体絶命の窮地で佐々島が取った行動は、相手の度肝を抜くものであった。

一人に向かって低い姿勢で体当りし、鞘から刀を抜く事なく相手の刀を受け止め外へ飛び出す。


「くっ…こいつ…」


佐々島の咄嗟の判断は功を奏し、相手は反撃することなく倒れ込んでしまう。


(ここでこいつ一人を斬るのは容易いが…他二人はなかなかの遣い手だ、相手するのは流石に骨が折れる。夜が更け始めたばかりで視界も悪い…。ここは一旦、逃げるしかあるまいな…。)


佐々島は、その場を離れ走り出す。


「おいおい…こりゃ不味いな…」


佐々島が驚くのも無理はなかった。

家の外には他に二人が待機していたのだ。

不運に続く不運なのか物音に反応した二人は、佐々島と目があってしまったのだ。


「おい、待て!」

「追え、向こうに行ったぞ!」


家内にいた二人も飛び出し佐々島を追いかける。


「これ程の多勢に無勢とは、思わなんだ。果たして逃げ切れるか…」


走る夜道は、月明かりに照らされてもそれ程明るいわけでは無い、その為か佐々島は道に迷ってしまう。必死に逃げ辿り着いた先は断崖絶壁の崖の上であった。

崖に当たる波音は、佐々島の緊張を煽り始める。


「居たぞ!こっちだ!」


逃走も虚しく追ってきた男達に囲まれてしまう。


「上からの命だ…大人しくしてもらおうか」

「仕方あるまい…ここが墓場なら潔く受け入れよう。」


佐々島は刀を自身の目の前に翳して不敵に笑う。


「命はくれてやるが、首をやるつもりは毛頭ない!」

「まさか…お前ら!斬れ!」


追手の一人がそう言うと佐々島は地面を蹴り後方へ飛び込み夜の暗い海へと飛び込んでいった。


(御年27…なんとも短き人生…それもまた一興、さらばた…斎藤殿…御主とは決着を着けたいと思っておったが…あぁ…強くなりたかったなぁ…)


薄れゆく意識の中、そっと目を閉じ佐々島は深く深く海の底へと沈んでいった。

これはまだ序章、プロローグ。

でも、私の思い描く“侍”の一角が見えたのなら有り難い事です。

果たして、佐々島の命は?彼は一体、今後如何なるのでしょうか?

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