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未来をお知らせします

作者: 狸寝入り

 私には行きつけの喫茶店がある。


 その店はカウンター席が五席ほどの小さな店で、老齢のマスターが一人で切り盛りしていた。


 今日もその店で引き立てのコーヒーを飲んで、仕事の疲れをいやしていると背後から声が聞こえて、危うくコーヒーをこぼしそうになってしまう。


 その声の正体は、窓枠に置かれた古い型式のラジオだった。


 ノイズ交じりに男の声がする。


「マスター、ラジオがついてますよ?」


 この店に来て初めての事に驚きながらも、マスターに声をかけた。


「……」


 マスターは何も答えず、カップを拭いている。


 聞えなかったのかな?


 まぁ、そこまで気にしなくていいか……


 そう思いまたカップを傾けて、優雅な香りを楽しむ。


 ここのブレンドは酸味と甘みのバランスが私の好みで、この一杯のために仕事を頑張れてると言ってもいいくらいだ。


 それに他のお客さんを見たことがないのも、貸し切りみたいで気分が良かった。


 少ししてまた、ラジオから声が聞こえてくる。


 今度は耳を澄ませてみた。


『……七月二十八日晴れ……』


 何だ天気予報か……


 何か面白い番組でも聞けるかと思ったが、期待外れだった。


 カップを置いて、スマホの通知をチェックする。


 天気予報は雨になっている。


 このラジオと意見が違うな……


 何とはなしに、振り向いて外を見る。


 天気は良く晴れている。


 徹夜明けの目にはつらいくらいだ。


『加藤沙織さんが本日、午前八時に刃物で刺されて死亡します』


 その言葉にゾッとした。


 私と同じ名前だ。いや、偶然の一致かもしれないけど、しますは変じゃないかな?


 気味が悪くなって、マスターにお勘定を頼んで、足早に帰宅することにした。


 ・・・・・・・・・・


 この春から住み始めたワンルームマンションの下にたどり着いた。


 何事もなかった……当たり前だよね?


 自室に入って電気をつけながら、テレビの前に置かれたベッドに腰を掛けた。


 テレビの電源を入れて、ザッピングをしながら目的のニュースをつける。


 これで明日も会社の話題についていけるな。


 興味深いニュースがやっていた。どうやらこの街で殺人事件が起きて、犯人が逃げているようだ。


 念のために、玄関をもう一度確認しよう……


 立ち上がって、違和感に気が付いた。


 足元から生暖かい風がしている。


 私は恐る恐る数歩前に出て、ゆっくりと下を向く。


 ――誰かと目が合った。





お読みいただきありがとうございます。


少しは寒くなれましたか?笑


久しぶりに単発をかきましたが、もうひと作品くらい書きたいな~


最近は暑さもひどいので、皆様お気をつけてくださいね!


それではまたどこかでお会いしましょう……あ、新作の連載も開始してるのでよろしくお願いします(笑)


最後までお読みいただきありがとうございました。



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