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シルバーリング  作者: Yua
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第7話「餅は餅屋」に任せましょう!

「なーんてことは頼まないわー。ってか無理だろうしー」 サクッ




おばさんがそう言います。は、はい自分もそう思います。


(まぁー、やって欲しいことと言ったら……普通に幸せに暮らして欲しいわねー)


普通に幸せに暮らす? 自信ないです!


(まぁー、それも試練よ!)


試練かぁ……。うーん、出来るかな……? 普通に幸せに暮らすって私にとって、かなり高難度な気がするけど……?


(んー、まぁー、適当でいいわよー!)


テキトー?


(っそ、テキトー! テキトー!)


そんなのでいいの?


(いいわよー! 今回行く世界には、下がってきてるとはいえ、まだまだあなたみたいな霊格の高い魂がそこそこ居るはずだしー、気の合う人も見つかるはずよー)


ん? 私ってその霊格? 高いの? そんな気しないんだけど?


(高いよー、そりゃーさ、あの地球の低級さん達に囲まれた、劣悪な環境で汚染され続けてたら、そう卑屈になるのも無理もないけどさー、まぁもっと自分に自信を持っていいよー)


自信……?


(そう、今君に必要なのは自信と勇気と確信だー!)


え、えーっと、頑張ります!


(うむ、ってなわけであんまり時間もないから、どこの誰に生まれるとか、その他もろもろ、こっちでテキトーに見繕っちゃうけどいいー?)


あ、はい、お願いします!


(それじゃー、えーっと、種族は人種。寿命は順調に行けば、霊界に帰れるようになるまでの51年。赤ん坊だから地球やここでの記憶も、安全な容量に調整させてもらうねー。まぁでも今回はゆるい制限だから、成長するにつれて徐々に思い出していくと思うわー)


そう言っておばさんは、光の珠を取り出して楽しそうにいじり始めた。


(ってなわけでーここをこーして♪ こっちはこーで♪ これはこーしましょ♪)




 。。。


「出来たー!」


どうやら出来たみたいです。随分と楽しそうにいじってました。どんな感じになったのか気になったので、聞いてみようとしたけど、その前におばさんは、素早くその光の珠を「ほいっ」っと呑気な声で、私の胸の辺りに押し当ててきて、暖かいそれがゆっくりと私の中に入って来た。


(あ、そうそう、もし寿命を伸ばして欲しかったら、向こうでお願いしてくれたら伸ばすからー)


えっ、そんなこと出来るの? っていうか、向こうでお願い?


(出来るわよー、それじゃー、目つむってー)


え、は、はい (ーー)


(行ってらっしゃい……。見守っているわ……)


えっ、あっ、い、行って……きます?


         



  「私はあなたの幸せを、願っています」







 。。。



「あぁー、うぅー、わぁー」


村人A「無事に生まれたね、男の子だよ」



 。。。



「ふふっ、可愛いわ!」


産まれたばかりの我が子を抱き抱えて、彼女はそう声高に言う。


「ああ、本当にな……。まりー、体調は大丈夫か?」


ずっと彼女の側に居た男が、我が子の誕生を喜んでいる様子だ。

けれどそれよりも、彼の近くにいる彼女のことを気遣っているようだ。


「ええ大丈夫よ! でも少しだけ疲れたわね!」

「そっか、お疲れ様」


本当に疲れてるのかと言いたくなるほど元気に答える彼女の髪を、男はそっと撫で始めた。


「ありがとう……。でも……この子の髪色……」

「あぁ……黒色、だな……」 


「そうね……。黒色ね……。どうしてかしら……」

「黒髪の人なんて……この村には居ないはずだけど……」










「面白いわ! 不思議なこともあるものね!」

「ほんとだな!」 


「さすが私達の子供ね! 生まれた時から既に、個性と主張が強いわ! やるわね!」

「個性はともかく、主張が強いのはお前だけだろ……」




「まあ、そんなことよりも、この子の名前……どうしましょうか?」

「うっ……そうだなぁ……どうしよう……考えれば考えるほど分からなくなる」


「ええ、私も……。せっかくだから黒い要素も入れたくなっちゃったし……。また一から考え直しね……」




「ま、まあそれはまた今度に考えましょう! その頃にはいい名前が思いつくかもしれないわ!」

「そ、そうだな、そうしよう!」




 。。。


その後、この男の子の名前は、1才になり喋りだすまで決まらなかった。



村長「ほほ、呑気じゃのー」

男の子(呑気な家庭に生まれた。なんか幸せ)




 。。。




霊界…


あの子も無事に生まれて、ちゃんとあの子達が出会えるようにも導けたし、どうやら上手くいったみたいねー。


あの子には一応、偶然を装ってみてたけど、実はあの子をこの世界へ行かせる事は、あの子が死ぬ前から決まってたのよねー。うわっ……私の演技力、高すぎ!?


それで、あの子をこの世界へ行かせた理由はねー、少し会わせたい子がいたからなんだよー。その子は、あの子とは面白いくらい真逆の魂を持っていてー、この世界でこの子達が、どんな関係になるのか気になったんだー。理由はそれだけー。


でも本当に楽しみねー。もしかしたら、この子達は、因縁あるお知り合い魂さんかもー。まぁとにかく、引きこもっちゃった守護霊ちゃんに変わって、今度は私がちゃんと導かないとねー!

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