第4話「生々流転」するのですよ!
「えっと、罰を受けなくていいってことはわかったんですけど……私はこれからどうなるんですか?」
私がそう尋ねると、おばさんは「順を追って説明していきます」と言って、私のベットの上で背伸びをしました。とても寛いでらっしゃいます……。
「まず初めに、あなたは地球に生まれる前に、地球の神と契約をしています」
いきなりの神様ですか!
しかも契約なんて……
「記憶にないけど……」
全く覚えてないですねぇ……。
私の記憶は何処かへ行ってしまったの?
「今のあなたの記憶は、地球で母親から産まれる赤子にとって、安全な量に調整されています。覚えていなくて当然です」
「なるほど……」
難しくてよく分かんなーい! だからスルー!
。。。
ちなみに私の大部分の記憶は、霊界という場所にあるらしいです。今まで私の全てだと思っていた記憶は、私の本体の、ごく一部の記憶だったそうです。
それと霊界とは、私の故郷みたいな場所らしいです。そこに私の本体があるそうです。それから、人が住んでいる場所は地上界というらしいです。
私の本体っていうのが気になるところだけど……聞き始めると終わらなさそうなので、ここも華麗にスルーです!
スルースキルさんは本当に便利です! 自信を持っておすすめ出来ます! 私のような立派な引きニートさんになれます!
「そういった訳で、今のあなたの記憶にはない、神との契約ですが、その契約ではあなたが80年間を地上界で学ぶことになっています。なので、それまでは霊界には帰れません」
おばさんは、引き続き話を続けます。
私の場合80年間、そこに住むはずが、えーっと、今の私が29歳だったかな? だからあと51年を残して退去しちゃったから、その間、住む場所がない感じみたいです。契約違反みたいです。何か、ごめんなさい?
それにしても、あと51年かー、長いな……。何するの? 51年もホームレスな感じ? 素敵な幽霊生活でも始まっちゃうの? 幽霊ってなにすればいいの?
「霊界にはかえれませんが、このまま霊体で彷徨っていては、わざわざ自殺してもらった意味がなくなってしまうので、あなたにはまた地上界に、産まれ直してもらおうと思います」
あ、幽霊生活じゃないんだ、まぁ幽霊生活って自殺する前の生活とあんま変わらなさそうだもんね。なんか幽霊って、ただ彷徨ってるだけのイメージだから……実際は違うのかもだけど……。
って!そんなことより、ちょっと待って!え?産まれ直す!? そんなことできるの?
「えっと、私はまた地球で、やり直すってことですか?」
普通に考えたら、そういうことだよね。また地球に生まれ直して51歳まで生きるってことだよね? でもなー、正直もう……
「いいえ、違います」
あ、違うんだ。正直、また地球に生まれるなんて嫌だったし……どうやって断ろうか考えてたけど……違くて良かった。
「私としては、もう一度、地球で生まれ直して欲しいところなのですが、あなたの守護霊も引き篭ってしまいましたし、この過酷な地球環境下であなたをサポートするのには、流石に人員不足ですので……」
えっ! 守護霊さん、引きこもってるの……? まぁ責任感じてるって言ってたし、落ち込んでるのかな? 何かもっと軽い感じかと思ってたけど、結構ガッツリ鬱ってる感じなのね……。ホントごめんなさい。私が不甲斐ないばっかりに……。
ってまぁ、もうどうしようもないことで私まで落ち込んでもしょうがない!
スルーだ! スルー!
さて結局のところ、私は地球では生まれ直さないらしいけど……でも、地球じゃないなら一体何処に生まれ直すんだろう?
おばさんが続けます……
「次回はもう少し難易度を下げて、地球から派生した世界で、生まれ直してもらおうと思います」
「地球から派生した世界?」
何それ、そんなのあるの? あー、でも待って、もしかしてパラレルワールド的なやつかな?
「はい、地球の影響を受けて誕生した世界です」
「えっと、それってつまり……」
「簡単に言えば、異世界です」
○ 私の独り言 ○
異世界転生! なのですよー!
そういえば記憶に関しては、あなたが地上界でよりよく学ぶために、あなた自身が霊界の記憶を消して生まれてくるケースが多いと、聞いたことがありますが……
胡散臭いなのー。
非効率すぎるなのー。
よりよく学ぶ為なら、全部を消す必要なんてないなの。わざわざ最初からやり直さなくても、途中からやり直せばいいなの。その方がもっと先に進んで、より多く学べるの。
そうしないのは何故なの?